2018.07.10. | 

[Vol.3]2人の淹れ手が織りなす、日本茶×カフェの新スタイル「Satén japanese tea」

店名「Satén Japanese Tea」の Satén は、日本ならではの喫茶文化、喫茶店の茶店(サテン)でもあり、サテン生地のサテンでもあります。日本茶という糸、そしてコーヒーという糸を織り重ねて、サテン生地のような良質なものを作っていきたい、という思いが込められています。

 

日本ならではのカフェスタイルを、Satén から世界に発信する

小山さん:「サテン行こうぜ」という、音の響きもいいなと思いましたね。
喫茶店って、もともとはお茶を喫する(飲む)場所だったんです。そこにコーヒーが入ってきて、喫茶店でコーヒーを飲むことが知識人の間でステイタスになった時期があって。どんどん西洋化して、いつの間にかコーヒーショップになっていったんですよね。
響さんと話しているのは、日本らしい喫茶文化というのがなくなり、海外の文化を取り入れたカフェが多くなっている中で、日本としてのカフェのスタイルを確立して、それを世界に発信していきたいね、と。

 

藤岡さん日本らしいお店、日本に馴染むスタンドですよね。なので、日本の四季を感じてもらうことも意識していて、夏暑くなってもギリギリまでクーラーをつけずに解放的にしていたり、季節のドリンクを提案していきたいと思っています。

 

 

日本茶、コーヒーに絡んでくる3、4番目の糸の可能性

日本茶とコーヒー。今は2本の糸を紡いでSaténを織り成していますが、これから3本目の糸、4本目の糸も絡んでくる可能性はあるのでしょうか。

 

小山さん:あり得ると思いますよ。今、やりたいねと話しているのは、牛乳です。さまざまな種類のこだわった牛乳をおいて、牛乳が選べて、あくまでコーヒーと抹茶はトッピング的にサブで、みたいな。同じように、アルコール類でもそういう展開ができるので、日本のカフェ文化をどんどん再構築していけたらと思っています。

 

藤岡さん:いろいろなお茶と素材の組み合わせだったり、新しい飲料の形を提案していって、これからカフェを目指す人が、コーヒーだけじゃなくお茶も取り入れてみようか、さらにはアレンジしたドリンクを作ってみようかなど、いろいろな飲料を発信してくれたらいいなと。新しいスタンドの形を提案していくことが、抽出者としての僕のやっていることの意味なのかなと思っています。

 

それと、コーヒーだと誰が淹れても味がぶれないよう、豆の種類や分量、淹れ方の基礎が固まっていて、美味しさもはっきりと数値化されているんですが、お茶の場合はまだ明確には打ち出せていないんですよね。まだまだ研究の余地があるので、淹れ方の基礎を作って、誰が淹れても美味しくなるようにしていきたいですね。

 

 

日本茶と出会い、新たな魅力に気づかせてくれる場所

そんな話をしていると、席を立った一人のお客様が話しかけてくれました。

「僕、実家が宇治なんです。友人がお茶屋さんをやっているんですけど、お茶って淹れる人によって全然違うんですよね。だから今の話にすごく共感しました。ぜひ、頑張ってください」

お客様を笑顔で見送った後、「嬉しいですね」としみじみと口にした2人。その笑顔がとても印象的でした。

 

小山さん:ここはお茶への最初の入り口だと思っているので、積極的に淹れ方の話や生産地の話をすることはあまりないんです。でも、こうやって何かに気づいてくれたり、同じように考えてくれる人と出会うことがあるんです。
抹茶ラテを飲んで、味が全然違う!と思ってもらえたら、それは一つのゴールです。抹茶ラテが美味しかったから、次はほうじ茶を飲んでみようかな、煎茶を飲もうかなといろんなものにトライしてもらえたら、それもまた一つのゴールだと思っています。そしてその先には、東京で暮らす人たちが茶畑につながるような仕組みを作りたいと考えています。

 

まるで以前からその場所にあったかのように街に溶け込んでいるSatén 。今までにない斬新な取り組みをしているのに、地に足がついているような安心感を感じられるのは、日本茶という和の素材に加え、2人の淹れ手としての経験や思いが、揺るぎない土台を築いているからなのでしょう。

西荻窪の地に生まれたばかりのSatén Japanese Tea。この後、ここからなにが発信されるのか、どんな変化を遂げていくのか、とても楽しみです。(終わり)

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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