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抽出家、藤岡響さんに聞いてみた
2023.02.23. | 

[Vol.4]おいしいコーヒーを抽出するコツを教えてください:抽出のプロ、藤岡響さんに聞いてみた

ドリンクやフードの世界で、近ごろ「抽出」が注目されていることをご存知ですか?美味しさや成分をさまざまな方法でひきだす「抽出」。その奥深さに魅せられ、抽出を探求し、広めているのが、抽出家の藤岡響さんです。Mo:takeサポートクリエイターでもある藤岡さんに、編集部メンバーが「抽出」のことを教わります。皆さんも、藤岡さんと一緒に抽出の世界をのぞいてみませんか?

おいしいコーヒーを抽出するコツを教えてください

抽出家の響さん、こんにちは。
もともとコーヒーが好きで、コロナ禍になってから、ドリッパーとミルを買って家でも淹れるようになりました。いつも同じ豆を買っていますが、日によってかなり味に差が出ます。我ながら店で飲むぐらい美味しく淹れられたな!というときと、同じ豆なのにぜんぜん美味しくないときがあります。

初心者でも美味しいコーヒーを抽出できるコツを、わかりやすく教えてください!

東京都/Hさん

コーヒーの美味しい抽出は豆選びから始まる

Hさん、ご質問ありがとうございます!
ドリッパーとミルをご購入されてドリップ実践中とのこと!
たしかに日によって味が変わってしまったり、なかなか難しいですよね。
では、今日は誰でも美味しく珈琲を淹れる為のポイントを説明させて頂きますね!

ようやくバリスタらしいコラムになりそうです笑

まず、最初の難関は豆選びです!!
抽出の説明にいかないの?とツッコミが入りそうですが、世の中にたくさん種類がある中でどうやって選べばいいの?
と迷われる方も多いのではないでしょうか。
また、抽出レシピや淹れ方にも影響するので、ここからスタートさせてください。

そう、あえて言わせてください。

まずは豆が超重要!!!

豆を買う際は、産地、プロセス、味わい、フレーバー、焙煎度合、ブレンドかシングルか・・・等々。たくさん選択肢がありますよね。 

珈琲も、野菜や果物といった生鮮食品と同じように、収穫時期や天候、鮮度によって都度味わいが変化しますし、ワインやお茶などの飲料同様に、収穫年によってもその味わいは異なります。毎回同じ銘柄や同じ珈琲店で購入しても全く同じものには出会えない、一期一会の感覚なのです。

ではどうやって選ぶべきなのか。
シンプルな答えにはなってないとは思いますが・・・

結論としては、珈琲は好みが分かれる分、好きに選んでいいと考えております。ジャケ買いの感覚でパッケージがかっこいい、地元のコーヒー店を応援したい!!きっかけはなんでもいいです。

と言ってしまうと元も子もないですね笑

ただし、どんな豆を選ぶにしても、焙煎されてからの日数が経過し過ぎていないことやトレーサビリティがはっきりとしているものを選択することをおすすめします!

最初は産地や味わいの特徴など判断が難しいと思います。深煎りか浅煎りかだけでも好みが分かれるポイントなので、選ぶ基準にしてみてください。
慣れてくると自分の好きな香りや味わいがはっきりと認識出来るようになり、そこからより深くはまっていきます。是非、その際は私や、お近くの珈琲専門店のバリスタにご相談ください。

本当はもっとゆっくり説明したいのですが、長文になるので、より詳細な豆選びについては今回は割愛させて頂きますね。また別途ご質問くださいね。

 

違いを知るために、毎回の抽出環境を整えて

では、本題に戻ります。

珈琲を美味しく淹れたいと思った方に、まず実践して頂きたいことがあります。

それは、毎回の抽出の際の環境を整えるということです。

味わいを調整したり、繰り返し美味しく珈琲を淹れるには、昨日の珈琲と何が変わったかを認識する必要があるからです!

なるべく、毎回抽出する時の条件を揃えてみてください。

条件というのは、

①豆の挽き具合
②珈琲豆の量
③お湯の量
④お湯の温度
⑤お湯を注ぐ速度

といったところです。厳密には更に沢山ありますが、最初はこのぐらいを意識してみてください。

珈琲を量るスケールと時間を測るタイマー、温度を測る温度計を是非用意してください。料理で使うものでも、安価なものでも、最初はなんでもいいと思います!

それでは、順番に見ていきましょう。

 

①豆の挽き方

何気なく行っていますが、この豆を挽いて使うという工程も非常に大事です。なぜなら、挽きたての豆と挽いてから時間が経った豆では、含まれている二酸化炭素量が変動するからです。

抽出では、珈琲とお湯が触れている時間で溶け出す成分の量が変わります。
二酸化炭素が多いと珈琲とお湯の間に隙間がある状態なので、成分は溶け出しにくくなるんですね。

 

②美味しい珈琲豆 ③お湯の量

これも扱う珈琲によって変わってきますが、珈琲1gに対してお湯15g、もしくは16gの割合がおすすめです。深煎りの珈琲を使う場合や濃いめがお好きな方は珈琲に対してのお湯の量を減らしてみてください。珈琲1gに対してお湯12gぐらいがおすすめですね。

 

④お湯の温度

お湯は、なるべく常に一定の温度のものを使用してください。基本的にお湯が熱ければ成分が溶け出しやすい。冷たければ成分は溶け出しにくい、という点を覚えておくといいでしょう。

 

⑤お湯を注ぐ速度

お湯を注ぐ温度や、お湯と触れてる時間によって味が薄くなったり、濃くなったりします。

 

厳密には豆から溶け出しやすい成分や溶け出にくい成分があるので細かくレシピ化し、酸味、甘味、質感、フレーバー、後味などに注力し、注ぎ速度、触れ合う時間を調整していきますが、今回は初心者の方でも取り入れやすい方法をお伝えします。

まずは、お湯をいっぺんに注ぐのではなく、何回かに分けて注ぐだけで味わいが変化するので、ぜひ試してみてください。

回数を分けて注ぐだけで、風味が濃くなっていくのが体感出来ると思います。ただし、風味が濃くなる分、雑味が増えるリスクも増えるのですっきり飲みたい方は2回か3回ぐらいの注ぎで終わらせてあげるといいと思います!

とにかく、美味しく珈琲を入れるためには条件をなるべく揃えて、何度も抽出に挑戦してみて下さい!!その上で味わいが足りなければ粉を細かくする、味わいが苦かったり嫌な後味が気になる様でしたら粗めに挽いてみてください!

さあ、珈琲の沼へようこそ。

まだまだ話したりませんが、長文となりましたのでこの辺で。

ライター / 藤岡 響

2005年よりバリスタの道を志す。cafékitsune 等、多くのカフェ、コーヒーショップの立ち上げに携わり、2015年ブルーボトルコーヒー清澄白河の立ち上げに参画。トレーナーとして多くのバリスタの育成に携わる。日本の日常に寄り添う独自のカフェスタイルの構築を目指し、2018年西荻窪に「Satén japanesetea」をオープン。2020年より独立、珈琲に限らず、水を介して抽出する抽出物全般を扱うバリスタとしてコーヒー、日本茶等の商品開発、店舗監修、専門学校講師等を行なっている。ユニット香飲家としても活動し、著書に「飲食店の為のドリンクの教科書」がある。

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