2019.08.22. | 

抽出舎ならではのプロデュースとは? 今、そしてこれから

抽出舎の茶リスタ・小山和裕さんとバリスタ・藤岡響さんが、日本茶スタンド「Satén Japanese Tea」をオープンしたのは2018年4月。実はその前に、プロデュースを手がけた店舗があります。国分寺市のカフェ「SWITCH KOKUBUNJI」。ここから始まった抽出舎のドリンクプロデュース事業はこれから先、どこへ向かおうとしているのでしょうか。これからの展望について、お2人にうかがいました。

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身近な日本茶だからこそ、

産地や淹れ方を説明できるようになってほしい

抽出舎として初めてのドリンクプロデュース店舗となった「SWITCH KOKUBUNJI」では、国分寺という場所柄、そして駅から離れている立地ということもあり、少人数で回すオペレーションを考えることが不可欠だったといいます。

 

小山さん:店長ともう1人のスタッフをトレーニングさせてもらったのですが、常時お店を2人で回せるようにすること、そしてオープン後はこの2人が他のスタッフに淹れ方を教えられるようになることを目指してトレーニングしました。なので、最初はメニューの数もかなり少なめでスタートしました。

淹れ方とは別にトレーニングの際に注力したことは、日本茶について説明できるようにしたことです。日本茶は日本人にとって、コーヒーよりも身近です。だからこそ、まずは2人にお店でお金をもらって提供することの価値を見出してもらい、味の違いを知ってもらうことから始めました。

そして、なぜこういう淹れ方をするのか、茶葉の産地はどういうところなのかなど、ある程度お客さんに説明できるようにすることも、トレーニングに盛り込みました。“淹れる”ということのハードルが、日本茶の方がコーヒーより低い分、お客さんに伝えるのも難しいんですよね。

 

“淹れる”という技術だけでなく、そのバックグラウンドとなる部分も含めて行ったトレーニング。2人が伝えたかったことは店長さんの心にしっかり届いたようで、トレーニングが終わってからしばらく経つ今でも、店長さんがサテンに遊びに来たり、2人が新しいメニューを味わいに行ったりする関係が続いているそうです。

抽出舎がプロデュースする意義は、

“淹れ手”を育てることにある

日本茶の淹れ手とコーヒーの淹れ手、双方が揃っているのが抽出舎の何よりの強みですが、抽出舎にプロデュースを依頼する人たちは、何を期待しているのでしょうか。

 

小山さん:そこは、依頼があった時に最初に確認するところですね。自分たちにどういうストーリーが求められているのかな、と。ただメニューを考案して、マシンをセッティングするだけなら、別に僕たちが入るストーリー性というか、意味がないと思うんです。

そうではなくて、こういうお店にしたいから、この茶葉やコーヒー豆を使いたい。だけど自分たちだけではそれを淹れる技術がないから、抽出舎さんにトレーニングも一緒にお願いします、というようなストーリー性や関係性があると仕事として受けやすいですし、その期待に応えるようにしています。

道具だけなら、意外と誰でもそろえられます。でも、その先に淹れ手がいないと、せっかくの道具と素材があっても、適当な形でお客さんに出されてしまいます。そうならないように淹れる技術を伝えていくことにこそ、自分たちがやる意味があると思っています。

 

藤岡さん:僕らがプロデュースする以上は、いい品質のものを伝えていかなければいけないのは絶対だと思っています。僕らが関わったお店で美味しくないものが提供されていたりすることはあってはならないことなので、そこが、僕らがやる一番の意味なのかなと思っています。

 

生産者と消費者の間に位置する、淹れ手という存在。淹れ手がいて初めて、美味しい日本茶やコーヒーが、消費者へと届きます。淹れ手の大切さと必要性を世の中に伝え、淹れ手を育てることが、2人の使命なのかもしれません。

サテンのような日本茶スタンドを

“日本スタイル”として発信したい

抽出舎としてプロデュースの実績を積み重ね始めたお2人ですが、今後はどんなお店をプロデュースしたい、という夢を描いているのでしょうか。

 

藤岡さん:サテンを始める時にも、日本らしいお店を作りたいという思いがありました。なので抽出舎としてはやはり、日本茶を軸とした日本スタイルのお店をプロデュースしたいという意識が強いですね。メニューの考案やトレーニングだけではなく、器具やカトラリーの選定からインテリアまで、トータルでプロデュースできたらいいなと思っています。

そして地方でやるなら、地方の食材を取り入れたり、地域の人たちを絡めたお店にすることを考えていきたいですね。

 

小山さん:これまでは、日本が北欧やアメリカのお店を取り入れてきました。これからは逆に、海外の方から「サテンみたいなお店を作りたい」「日本らしいお店を作りたい」と声がかかるようになるといいなと思っています。

2020年には東京オリンピックもあります。“日本らしさ”を求める需要がすごく高まっている時代でもあると思うので、このタイミングで日本茶を淹れる正しい技術や本当の美味しさを、世の中の人に伝えていきたいです。

 

西荻窪の地に根付いている、日本らしい日本茶スタンドが、”日本スタイル”として海外に広がっていくーー。その日が来るのは、そう遠くないかもしれません。

 

– Information –

 

株式会社抽出舎

東京都杉並区善福寺3-16-13

https://saten.jp/profile

 

Satén japanese tea

東京都杉並区松庵3-25-9

<火~木、土日>10:00~21:00 

<金>10:00~23:00

https://saten.jp/

平地 紘子

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身