たとえば週替わりで工房をシェアする。豆腐づくりの新しい形
工藤さん(まめちゃん):後継者の話でいうと、今、寿司業界にはお寿司の学校があって、海外からも学びに来る人がいます。そのやり方はひとつのヒントになると思っています。他にも、共同で使える工房があって、そこで何人かが週替わりでお豆腐をつくる場がある、なんていうことも考えられると思うんです。豆腐のシェア工房、いいと思うんですよね。
最近、豆腐屋さんを取材し、紹介する活動もしているというまめちゃん。豆腐屋さんのバックグラウンドやストーリーを伝えていきたいと思っているそうです。
工藤さん(以下、まめちゃん):もっとひとつひとつの豆腐と、ひとりひとりの作り手の個性を知って、それを元に選べるようになるといいと思っています。パッケージだけだとやっぱり違いがわかりにくいのですが、その違いをできるだけ伝えていきたくて。
お店にいろいろな種類の豆腐が並んでいて、自分の好みやその時の状況に合わせて選ぶことができたら、確かに楽しそうです。
まめちゃん:豆腐も、コーヒーみたいに「豆で選ぶ」ということがあってもいいんじゃないかと思うんですよね。「わたしは北海道産のこの豆の豆腐が好き」みたいに。
そうすると、全国どこにいても買える通販の仕組みはがほしいですよね・・・。実は、お豆腐の定期便のシステムをつくりたいと、ここ2年くらいずっと考えています。まずは声かけて集まってくれる人たちと一緒に始めてみる、というのはひとつあるかもしれません。
ファッションや音楽との融合で、豆腐をより身近に、面白く
まめちゃんは、豆腐のイメージが少し一面的になっていると感じているようです。
まめちゃん:メディアでも、美容にいいです、とかダイエットに効きます、という話にどうしてもなりがちです。豆腐の魅力はイソフラボンだけじゃないのに(笑)。
「食」以外の切り口だってあると思っています。たとえば、ファッションやデザインの中に入る余地だって絶対あると思うんです。
豆腐とファッション?すぐには結びつかない気もしますが・・・
まめちゃん:原宿では、目玉焼きの形をしたリュックを背負った女の子たちがいるでしょう(笑)?豆腐も大豆も、デザイン的には「あり」だと思います!モチーフとしてかわいいですもん。
この日のまめちゃんの耳元には、豆をかたどったかわいらしいアクセサリーが揺れていました。なるほど。
まめちゃん:他にも、銭湯でイベントやったら面白そうだな、とか、音楽とコラボレーションできないだろうか、とかいろいろ考えてますよ。そうやってコラボレーションしていくことで「豆腐ってこんな面白さがあるんだな」って知ってもらいたいし、豆腐屋さんにも「豆腐ってこういう業界でも面白がられるんだな」と知ってもらいたいなという思いがあります。
豆腐業界の中からは、そういう新しいアイディアって出てきにくいと思うんです。だからこそわたしが外の世界の人たちとたくさん話してインスピレーションを受けていかないとな、と思っています。
目指すのは、豆腐を仲立ちとした文化交流
日本と世界を豆腐でつなぐ取り組みについても伺ってみました。
まめちゃん:英語慣れすることがグローバル化することだと思ったり、国際交流といったら海外からのお客さんに日本文化を紹介することだとばかり思ってしまうのはもったいないと思っています。
特に、日本語学習者に向けた取り組みはあまり聞きません。外国人向けイベントに行けば、英語ですべて説明されてしまうからつまらない。かといって日本の社会にいきなり入るのも難しい。日本が大好きで、だから日本語を学んでいる、という人たちが喜んでくれるコンテンツがないんです。
まめちゃんは、将来的に、日本語教育現場への企画導入を考えているそうです。日本語教育を学ぶ過程で「豆腐を文化として普及したい」という思いを持つようになったまめちゃんならではの取り組みです。
まめちゃん:今は、いろいろな国で豆腐が食べられています。豆腐が、世界をつなぐひとつのコンテンツになってきているんです。だからこそ、日本をお手本とする一方的な文化理解ではなく、たとえばフランスではこういう食べ方しているよ、とか、こんな味付けをしているよ、という風に、豆腐を仲立ちにした文化交流が生まれるんじゃないかと思っています。
シンプルで淡白な味の豆腐がもつ自由さが、国や立場の違う人と人とがつながる可能性をどんどん広げていく。まめちゃんの言葉からはそんな未来が見えてきます。
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「まめちゃんのダイズバーズシティ計画!」