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Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ
2023.01.24. | 

[Vol.1]冷蔵庫に眠るあの調味料で、いつものおかずが激変!「刺身の柚子胡椒タルタル」|Mo:takeクリエイターに教わる、どこよりも細かいレシピ

家飲みが当たり前になったここ数年。気軽な家飲みですが、気がつくとおつまみはマンネリになりがちです。見栄えがよくて、美味しくて、しかも簡単なおつまみのレシピがあれば、気楽に仲間を呼んで、うちで乾杯できるのに・・・。そんな料理素人のライター谷井百合子が、Mo:takeフードクリエイターに弟子入りします。レシピを読むだけでは気がつかない、美味しく仕上げるためのコツやアレンジがいっぱいの「どこよりも細かいレシピ」を一緒にキッチンに立って教わります。

今回のMo:takeフードクリエイターは、雑誌やテレビ番組でメニュー提案やレシピ制作を手がけ、ご自身のレシピ本も出版されている料理家・フードコーディネーターの下条美緒(しもじょう・みお)さん。以前、Mo:takeマガジンのインタビューにもご登場いただいています。

[Vol.1]美味しい料理のある空間を演出する 料理家・フードコーディネーター下条美緒 ×「Mo:take」ヘッドシェフ坂本英文

そんな下条さんに今回教えていただくのは「刺身の柚子胡椒タルタル」です。手抜き料理として登場しがちな刺身の盛り合わせが、香味野菜や調味料の組み合わせで、パンにもご飯にも合うおしゃれな一品に変身!とびきりおいしく仕上げるコツを、下条さんに教わります!

「刺身の柚子胡椒タルタル」基本のレシピ

<材料 2人分>

・刺身(ブリ、サーモン、鯛等)100g
・紫玉ねぎ 50g
・大葉 10枚
・スプラウト 1株
・a
 おろしニンニク ほんの少々
 おろししょうが 小さじ1/4
 ごま油 大さじ2
 レモン汁 醤油 砂糖 各小さじ1/2
 柚子胡椒 小さじ1/4〜1/3
・塩 小さじ1/4
・醤油 適宜

<作り方>

①刺身は塩を振って15分おく。水気を拭いて1cm角に切る 
②紫玉ねぎはみじん切りにして水に15分さらす。
③大葉、スプラウトはみじん切りにする。
④ボウルにaを混ぜる。刺身、②、③を加えて和える。味を見て薄ければ醤油で整える。

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ここから、最高に美味しい刺身のアジアンタルタルを作るため、わからないことや気になることを、下条さんに細かく教えていただきます!

 

下条さん:今日はお刺身を使ったアジアンタルタルをつくります。

 

谷井:タルタルっていうと、マヨネーズ味のソースのイメージがありますが、今回は違うんですか?

 

下条さん:そうそう、みなさん「タルタル」と言ったらエビフライなどにかけるゆで卵やたまねぎを細かく切ってマヨネーズで作る「タルタルソース」をイメージしますよね。本来「タルタル」とは細かく切って調理したもののことを言うんです。

 

谷井:そうだったんですね!
「タルタルソース」のことを「タルタル」と思ってました。こうやって、食材を並べてみると彩りがきれいですね!なんだかワクワクしてきました。

 

下条さん:今回の味のポイントは柚子胡椒。柚子胡椒って買ってもなかなか使いきれないですよね?

 

谷井:はい……うちにも、冷蔵庫に眠ったままのものがあります。

 

下条さん:今日は、そんな柚子胡椒を使っておいしいおつまみをつくりましょう。

 

谷井:楽しみです!

 

刺身はその時の気分次第で
盛り合わせでも1種類でも、さくでもOK

谷井:お刺身の盛り合わせはたまに買うことがありますが、食材として使ったことはなかったです。

 

下条さん:そうですよね!そんな風に、普段はお刺身として食べる魚を、いつもとは違った食べ方としてアレンジしてみようと思います。今回は、マグロ、カンパチ、サーモンを使います。

 

谷井:その組み合わせが一番いいのでしょうか?

 

下条さん:いえ、刺身は赤身でも白身でもいいですし、一種類でも美味しくできます。さくをスライスして使っていただいても大丈夫ですよ。

 

谷井:自由に、その時買えるものでいいんですね。

 

下条さん:まずは、お刺身のぷりっと感を残すために、まず塩を振って締めます。

 

谷井:なぜお刺身のぷりっと感を残すんですか?

 

下条さん:お刺身をそのまま使うと、この後合わせ調味料で和えた時に、ちょっとだれてくるんです。塩を揉み込むと、刺身がきゅっと締まります。特に酸味のあるスパイス系の調味料を入れる前は、塩で締めておくとだれないんです。

 

谷井:上から振るだけじゃなくて、揉み込むのですね。

 

下条さん:塩をまんべんなく均等に全体に揉んだ方が浸透が良くなります!

 

谷井:なるほど!分量の塩を全部使っちゃっていいのでしょうか?

 

下条さん:そうですね!
100〜150gの刺身に対し、塩が小さじ1/4の分量がちょうどいいと思います。
そして揉み込んだらこのまま、15分から1時間ぐらい置いておきます。

 

紫玉ねぎにスプラウト
それぞれの切り方で下準備

下条さん:その間に香味野菜を切っていきましょう。紫玉ねぎは3〜4mm角ぐらいの細かいみじん切りにして、15分ほど水にさらします。

 

谷井:今、みじん切りにする前に、半分の玉ねぎの脇を包丁でトントンって叩いてましたよね?どうしてですか??

 

下条さん:そうですね、みじん切りは、繊維に沿って縦に切り込みを入れてから、向きを変えて繊維を切るように細かくしていくのですが、縦の両端が面のまま残ってしまわないよう、切込みをいれました。

 

谷井:確かに端っこの部分が面として残ることありますね。こうやって最初に切り込みをいれておくと、きれいにみじん切りになるのですね!紫玉ねぎがなかったら、白い普通の玉ねぎでもいいですか?

 

下条さん:新玉ねぎでも良いと思います。普通の玉ねぎだとちょっとエグみが出るので、エグみを和らげるために普通のたまねぎとセロリのみじん切りを半分づつにするといいと思います。

 

谷井:なるほど!セロリを使う場合は、セロリのみじん切りも水にさらした方がいいですか?

 

下条さん:セロリはそこまでエグみを感じないと思うので、そのまま、水にさらさなくても大丈夫ですよ。

 

下条さん:紫玉ねぎをさらしている間に、スプラウトを切っていきましょう。1cm幅に切ります。

 

谷井:スプラウトは、カイワレ大根とは違いますか?

 

下条さん:スプラウトは「新芽」という意味で、発芽野菜のことです。ブロッコリーのスプラウトとか色々あって、なんでもいいのですが、今回は大葉のスプラウトを用意しました。カイワレでも大丈夫ですよ。

 

谷井:大葉のスプラウトもあるんですね。初めて知りました!それぞれ味もやはり違うんですか??

 

下条さん:マスタードのスプラウトだとちょっとピリッとしたりして、それぞれ若干の特徴がありますが、まあ、あまり変わらないかな。同じスプラウトでも、今回の料理にはアルファルファみたいな小さすぎるタイプじゃない方がいいです。

 

谷井:どうしてですか?

 

下条さん:この料理では、スプラウトの歯ごたえと瑞々しさを活かしたいんですよね。アルファルファだと、ちょっとモサッとしてしまうかな。

 

谷井:そうなんですね!

 

大葉は洗ってから保存
濡れたペーパータオルで挟んでピンと長持ち

下条さん:次に、大葉は粗みじんにします。まず巻いて細く切ってから、みじん切りにします。

 

谷井:いい香りがしますね。大葉って、洗って使いますか?洗うと香りが飛んじゃったりしないか心配で……

 

下条さん:ものにもよりますが、私は基本的に洗ってますね。買ってきてゴムがついた束のまま水洗いして、濡れたキッチンペーパーを敷いたタッパーに置き、その上にもう一枚乗せて保存すると、すごく長持ちするんですよ。

 

谷井:なるほど!洗ってから保存するんですね。濡れたキッチンペーパーで挟む感じですか?

 

下条さん:そう、挟む感じです。大葉だけじゃなくて、色々なハーブも同様にタッパーで保存すると、5〜6日はしおれることもなくピンとしてますよ。

 

谷井:そうなんですね!いいことを聞きました。やってみます!

 

紫玉ねぎは、さらして、洗って
エグみは徹底的に取り除く

下条さん:そろそろ紫玉ねぎの水気を切りましょう。ここで一回、水で洗うのがコツです。

 

谷井:ザルにあげるだけではなく、洗うのですか?さらして水気を切るだけじゃダメなのでしょうか?

 

下条さん:さらして水気を切るだけだと、エグみが出た汁が紫たまねぎのみじん切りについたまま残ってしまうのです。そのエグみが出た汁をサッと一回洗うとスッキリした感じになります。

 

谷井:なるほど、エグみをきちんと取り除くのですね。わかりました!

 

下条さん:一回洗ってザルに上げたら、混ぜたときに水っぽくならないように、ペーパータオルでしっかり絞ります。

 

谷井:ペーパータオルを使ってしっかり絞るのですね。私もサラダのように生で玉ねぎを食べるときはさらして使ってましたが、今までは適当に手でぱぱっと水気を切って済ませてました。

 

下条さん:そうですよね!水気を切るとき、こうやってペーパータオルを使うと、ちゃんと水分を吸い取ってくれます。

 

谷井:ここはポイントですね!エグみを洗い流して、水分をきちんと絞る。ていねいな作業が美味しさをつくるのですね!

 

味を決める調味料は、きちんと計る

下条さん:では、ボウルに調味料を混ぜていきます。まず、ごま油を大さじ2杯。ちょっと多いように感じますけど、油を入れた方が口の中のまとまりが良くなるんです。

 

谷井:なるほど!そういったアレンジもできるんですね!
入れる順番は、油が最初ですか?

 

下条さん:いえ、この料理に関しては、順番に気を使わなくて大丈夫ですよ。準備しておいた調味料をどんどん入れて下さい。レモン汁は、ほんのちょっと、小さじ1/2程度。そして、柚子胡椒は小さじ1/4としていますが、柚子胡椒ってものによって辛みが違うので、お使い頂く柚子胡椒の味に合わせて、確認しながら少しづつ入れて調整してください。

 

谷井:今回使ってる柚子胡椒はすごく緑色がきれいですね!美味しそうです。

 

下条さん:これはね、私がいつも愛用しているお取り寄せの柚子胡椒で、美味しいんです。

 

谷井:私が使ったことがあるのは、スーパーで買った色が薄い、小さい瓶のものです。

 

下条さん:柚子胡椒って、スーパーに売ってるものはだいたい常温でお店に並んでいるけど、地域の名産品のようないいものだと冷蔵だったりしますよね。そういったものは保存料が入ってないので酸化しやすく、風味も落ちやすいのでそのまま冷蔵庫に入れるより、冷凍庫に入れて保存するのがお勧めです。

 

谷井:へぇー、冷凍庫ですか!?

 

下条さん:そう、冷凍庫に入れておくと色もきれいなまま保てるし、使う時に必要な分だけジャリジャリってスプーンでかき出すと、フレッシュな感じのまま使えます。

 

谷井:そうなんですね!美味しそうな柚子胡椒を見かけても、使い切れずに最後は捨てることになるしなぁ、ってあきらめてました。冷凍保存すればいいのですね。今度買ってみます!

 

下条さん:あと、意外かもしれませんが柚子胡椒には砂糖が合うんですよね。甘みが入るとバランスがよくなります。なので、今回は砂糖を小さじ1/4加えます。

 

谷井:柚子胡椒の辛さに、砂糖の甘み。量は少ないですが、それぞれに大事な役割があるのですね。

 

下条さん:そうなんです。バランスをみながらこのようないろいろな味を入れることで奥深い味わいになっていきます。続いて、お醤油とおろしショウガも同じく小さじ1/4入れます。おろしニンニクはほんのちょっと。少々っていうのが肝です。

 

谷井:少々って、案外難しいです。小さじ1/4よりも少ないということですよね?

 

下条さん:そう、昔私がアシスタントとして一緒に仕事をしていた料理研究家さんは、「耳かき1杯ぐらい」って表現されてました。

 

谷井:本当にほんのちょっとですね!

 

下条さん:入れ過ぎると強烈ですが、これだけでも入れるとコクが出て、味わいがだいぶ変わります。

 

谷井:たったそれだけでコクが出るのですね。ちょっとだからって省略しちゃダメですね。

 

-infomation-
下条さんの新著「うちで乾杯 ほろ酔いつまみ」(成美堂出版)

今回ご紹介いただいた「刺身の柚子胡椒タルタル」のように、シンプルな食材の組み合わせが絶妙な、家飲みにぴったりのおつまみがたくさん紹介されています。分量と時間が的確で、手順が究極にわかりやすいレシピは「お酒を飲みながら、ほろ酔いでも作れる」ものばかり。ひとつひとつのレシピに添えられたPointは、下条さんならではの、より美味しく作るコツが詰まっていて、必読です。

 

次回は1/26(木)に公開予定です。ていねいに下ごしらえをした具材と調味料は、最終的にどのようなおつまみに仕上がっていくのでしょうか?お楽しみに。

ライター / 谷井 百合子

会社員からライターへ転向。腰の軽さで興味に乗っかる行動力で、ビジネストレンドやブックレビュー、食や旅にも題材を広げている。 目についた野菜を連れて帰り、レシピをググって調理するのが楽しいこの頃。

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