2023.09.28. | 

[Vol.4]MUJO一番人気の料理と日本酒で、口福のペアリング|日本酒のプロたっちゃんと巡る、おいしいたのしいお酒の世界

突然ですが、日本酒は好きですか? 
「大好き!」「日本酒しか飲まない」という方から、「うんちく語るおじさんが面倒くさい」「お正月しか飲まない」「毛嫌いして飲んだことがない」という方までいるのではないでしょうか。

日本酒に対する印象や思いは人それぞれだと思いますが、これまで体験したことのない、新しい日本酒の世界をのぞいてみませんか? 

ナビゲーターは、日本酒のプロで、創作和食「地のものバル MUJO」の店長、たっちゃんこと小原辰生さん。自ら料理もする小原さんだからこそ、日本酒がもっと身近に、そして楽しくなるお酒の世界を案内してくれること間違いなし!です。

シリーズ4回目の今回は、お酒に合う簡単な料理を教えていただきます。自宅で簡単にできるレシピなので、ぜひ試してみてください。

熱した油をジャーっとかけたら、
“ちょい足し”スパイスのクミンを使ったおつまみの完成!

−−それでは、日本酒に合う料理を教えていただきたいと思います。何を教えていただけるのでしょうか?

小原さん:では、やっちゃっていいですか?

 

−−いきなりジューーっという音がしましたが! ひょっとして、豆苗に油をジャーっとかけてますか!? 豪快!

小原さん:家で簡単にできて日本酒に合う料理を作ろうかと(笑)

豆苗をザクザクっと切ってバットに入れて、ホールのクミンをパラパラっと振り、そこに熱した油をかけました。使う油は、ごま油がベストです。

 

小原さん:そこにオイスターソースをかけて、混ぜて、ウーシャンフェン(五香粉)を振りかけて、完成です。ご自宅に花椒(ホアジャオ)があれば花椒もいいですね。

 

−−なんですか、このめちゃ簡単で美味しそうな料理は! こういうのすぐ飛びついちゃいます(笑)

 

小原さん:日本酒に合う料理のポイントは、一点だけ突出した香りを残しておくところです。この場合は、日本酒と合わせた時にクミンの香りだけを拾いやすくしたいんです。日本酒とペアリングするには、これぐらいシンプルにした方がいいかなと思います。

どの日本酒と合わせてもいいので、ぜひ合わせてみてください。

 

−−おいしっ!!  クミンがめちゃめちゃ合いますね。すみません、美味しくて日本酒をペアリングする前に飲み込んじゃいました(笑)もう一回いきます。

小原さん:ぜひクミンを口の中でゴリゴリしながら日本酒を含んでみてください。甘口のお酒は食事に合わせづらいというのがあると思うんですが、多少塩味があるものと口内調味をすると、一瞬だけ甘みが減るんですよ。なので甘口のタイプも食事に合わせてみて欲しいなと思います。

 

−−ああ、確かに! 幸せの瞬間ですね。

 

お互いのいいところをグッと引き出す、
日本酒と食材の組み合わせ

小原さん:この栄光冨士の酒未来は、香り系の日本酒としてすごく有名なお酒です。これをイワシの漬けとぜひ一緒に味わってください。

 

小原さん:お酒を単体で飲むとメロンみたいな香りがするお酒なんですが、どうですか? 口の中が果実!っていう感じになりませんか?

 

−−本当だ! メロンです。女性が好みそうな味ですね。

小原さん:すごく女性的だと思うんですけど、これとあえて青魚系とを合わせてほしいんです。青魚系統の香りとメロンの香りが合うんですよ。

青魚臭さをメロンの香りがいい感じに消してくれて、お互いのいいところだけを引き出してくれるんです。

 

−−お互いのいいところを引き出す組み合わせの仕方って、とても素敵ですね。では、合わせてみます。

ああ、確かに魚臭さが薄れました!

 

−−そして、この漬けはどうやって作りますか?

小原さん:九州の宮田醤油という醤油に2時間ほど漬けるだけでできます。

この宮田醤油はぜひ紹介したい調味料です。宮崎の女性しかいない焼酎蔵で作っていて、もう醤油単品で飲めちゃいます。

 

−−え? 醤油を飲む??

 

小原さん:飲めるんじゃないかなってぐらい甘いので(笑)

 

−−(舐めてみて)確かに! これは醤油せんべいみたいです! とても美味しい。

小原さん:お魚をこれに2時間とか漬けるだけで美味しくなりますよ。使い勝手が良いのでおすすめです。

 

−−お餅焼いてつけたら最高じゃないですか。これもぜひ、家で試してみます!

 

どのお酒とも合う究極の一品!
焦がしたナッツソースと日本酒が口の中でとろけ合う

小原さん:今、うちのお店で一番人気の料理を紹介させてください。ひじきと切り干し大根のナッツソースあえです。

 

−−ナッツソース? 

小原さん:そうなんです。ナッツのソースです。ひじきと切り干し大根の上にソースをかけたら、最後に焦がします。

 

−−かなりの火力で焦がしてますね。すごくいい香りがしてきました。

小原さん:これが究極的にうちのどのお酒とも合う一品です。特にこのナッツソースが焦げている部分がものすごくお酒と相性がよくって。

 

−−香ばしくってものすごく美味しい! そしてお酒を口に含むと、ソースの部分がお酒と混ざりあって、おいしさが口の中にずっとふわっと残っている感じがします。炙るのがポイントなんですね。

小原さん:炙ることでナッツの香ばしさが出ますからね。そしてこれは、ウイスキー、焼酎といった蒸留酒にも合います。蒸留酒は甘みと油分がないと調和しませんが、二つがあるとすごく合いやすくなるんです。ナッツソースは両方を含んでいますから、調和が取れるんです。

 

−−ナッツソースはどうやって作るんですか?

小原さん:それは秘密です(笑)

 

−−残念! でも、ぜひ、豆苗とクミンのおつまみを作ってみたいと思います。宮田醤油もお取り寄せします!

小原さん:ぜひ、いろいろなペアリングを楽しんでみてください。大切にして欲しいのは、正解を求めに行くことなく、失敗したとしてもその失敗を表現を変えて楽しむことです。「まずい」で止まったらそこで終わりですから。

 

– Information –
地のものバル MUJO

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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