2019.12.10. | 

[Vol.3]みんなで食の未来を創りたい「Mo:take」ヘッドシェフ坂本英文×「Yuinchu」代表 小野正視

レンタルスペースの「GOBLIN.」から始まった小野と坂本の挑戦。体験型ケータリングサービス「Mo:take」が世の中に注目されることで、食の世界でもひっぱりだこになりました。そんな二人は今後、なにを創っていくのでしょうか。現在地から見渡す未来を語っていただきました。

自分たちのサービスで
喜んでくれる人を増やしたい

まずはMo:takeヘッドシェフの坂本が、クリエイターの視点から話しました。

 

坂本:10年くらい前、小野と僕が独立して「GOBLIN.」を立ち上げた時に、最初に「空間」という観点があったんですね。当時は、その「空間」に「食」というコンテンツをどうかけあわせていけばいいのか、いろいろ試していました。次第に、「食」を五感で楽しんでもらう「体験」を提供したいと思うようになりました。味だけでなく、見た目にも楽しんでもらうことに力を入れていったんです。それも「空間」を演出する一部になるのかなと。もっと突き詰めて考えると、お客様にその空間で過ごす「時間」を買ってただいているんだなと思うようになって。今後は、時間と空間をより豊かなものにしていくことが僕の役割だと思っています。食は、味覚だけではなく、五感で楽しむ体験として経験すると記憶に残るし、食を通して何かに興味を持ったり、考えるきっかけにもなると思うんです。

 

続いて、Mo:takeを運営するYuinchuの小野が経営者の視点から語りました。

 

小野:今回、Mo:takeの事業(Mo:take CATERING、Mo:take PLUS、Mo:take MAGAZINE)をリニューアルするタイミングで、「人と人とが創り出す一度きりかもしれないその瞬間を、『食』がより印象的で豊かな時間にする」というメッセージを追加しました。僕たちが提供するものは、その瞬間の付加価値です。今後は経営者として、その頻度や数を増やすことを目指します。

僕たちがこれまでやってきた、目の前の人に寄り添うスタイルを残したまま、Mo:takeの体験型ケータリングサービスと、Mo:take PLUSで提供する食の総合プロデュースを、Mo:take MAGAZINEでさらに広めていく。そしてもう一つ、生産者さんたちにも、僕たちのサービスを使ってもらえる機会を増やします。生産といってもいろいろな形があります。農業や漁業に関わる方たちもいるし、加工・製造に関わる方もいます。そういう人たちとの接点を増やし、つながりを強固にすることで、さらに喜んでもらえる人数が増えると思っています。

 生産者や加工・製造業者のみなさんを世の中に紹介し、直接消費者のみなさんとつながると、僕たちの出番が減ることもあるかもしれない。でも、喜んでくれる人たちは増えます。そして生産量が増え、消費量が増えれば、これまでにない飲食業界の盛り上がりをつくることができます。そういう空気になっていく方がいいんじゃないかなと思っています。

 

 

何かを作りたい人を応援したい

小野:僕は長い間サービス業に従事してきました。そして、ずっと同じ課題にぶつかっています。サービス業は人が命です。人がやることは、どんな商売でも変わらない部分があると思います。人と人が交わることで豊かになり、そこから湧いてくるエネルギーがありますよね。でも、属人性が高くて、なかなかビジネスにならないという課題にぶつかるんです。どうやってそれを改善していくか。その方法の一つとして、いろんなプレイヤーをまとめることが重要だと思うんです。

食の分野のプレイヤーを取りまとめるには、素材を料理にすることができて、料理を量産する工程を知っていて、どうやって販売するのかまで、広い範囲の視野とスキルを持っていなければなりません。レンタルスペースやケータリングを事業化してきた僕たちが取りまとめることで、輝く人、喜ぶ人を増やすことができるんじゃないかと思うんです。僕たちも生産・加工することはできますが、そこにこだわりすぎず、キラリと光るプレイヤーがいたらその方に機会を作ってあげる。BtoBtoCの最初のBの役割を担うことで、間のBが喜び、Cが増えていくイメージです。

 

消費者に想いを馳せ、裏方のディレクションやプランニングの部分を手伝う。その役割に注力していきたいという小野。

 

小野:プレイヤーのみなさんをMo:takeのライバルだと考えたら、「ノウハウが持っていかれてしまう」とか「事業がかぶっている」とか思うかもしれません。でも、Mo:takeを続ける中で、「そんな小さなことを言うのって、つまらないよね」という覚悟が生まれました。食はサービス業で、人と人との接点が絶対に欠かせない事業なんだという思いがあるからかもしれません。その中で、ビジネスとしても成立させていく。そして飲食業界自体が豊かになって、ここに関わる人たちが豊かになることが大事だと思うんです。

 

坂本:食に関わっている人の可能性を切り拓いていきたいですね。僕たちがやっていることを見て、飲食でなにかを実現したい人が、「自分もなにかできるかもしれない」と思ってくれたらうれしい。料理ができる人は、店舗を構えるだけがゴールじゃないと思うんです。店舗を持たなくても、ケータリングというやり方で売上を伸ばすこともできるし。

 

小野:いろんな選択肢があることに気づいてほしいということですよね。たとえば、農家さんが自分の野菜を直接消費者に提供したいと思うとき、彼らが自分たちでお店を持つお手伝いをするのもいいなと思うし。

 

Mo:takeをやっている中で、食の分野のディレクションやプランニングへのニーズを感じてきた小野。そして、「自分たちでディレクションやプランニングをやりたい」という相談も増えたそうです。そんな時、積極的に「やってみるといいよ」と伝えているそうです。

 

小野:僕はリアリストだから、全部自分たちでやろうとは思わない。自分たちの力だけで、社会変革が起きるほどのことはできないからです。飲食業界にはいろんな問題があって、悲しんでいる人の姿もたくさん見てきました。だからこそ、自分が生きている間に、何かひとつでも変えるお手伝いがしたい。業界全体が良くなっていくのなら、誰がやるかなんて、小さなことだと思うんです。自分自身のキャリアの出発点がカフェの店長だということも、影響していると思います。

 

次回は12/17公開です。食に関わる人たちの人生の選択肢を増やしたいという二人の思いと行動について詳しく語ります。

 

– Information –
Mo:take
https://motake.jp/

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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