「コミュニティ」を仕事にしている人は何をしている?
最近、いろいろなところで聞く「コミュニティ」という言葉。ところで、コミュニティを仕事にするとは一体何をするのでしょうか。加藤さんはコミュニティの仕事は「コミュニティデザイン」と「コミュニティマネジメント」の2つに分けられると言います。
加藤さん:コミュニティデザインというのは、まだそのコミュニティに誰も居ない状態から始まるもの。コミュニティマネジメントは、デザインした空間を現状に合わせて運用していくことで。コミュニティデザインの第一歩は「ここはどんな場所なのか?」を問うことから始めます。
加藤さんの場合、コミュニティを作って欲しいというクライアントが課題を抱えていてコミュニティを求めている人へのヒアリングから仕事がスタートします。
そして、集めた情報から目的やコンセプトを作り「その場に会員として来る人達はどんな人なのか?」を考えます。その先に様々なプログラムが誕生します。
加藤さん:例えば、僕が今いるQWSというコミュニティには「問い」というコンセプトがあって。背景には、AI時代に答えの価値よりも、問いの価値が上がるという認識がある。だからまずは「問いを深める」ことから始める。
そのために「問うとはなにか?」を考えた時、問いには「感性」が必要だと。その感性を磨くためには多様な人びとが必要になる。
僕らはこの「問い」というコンセプトを実現するために、この場に多様な人びとが集う場にはどんな人が来て、どんな内装になっていて、どんなプログラムがあるのかを考えます。
加藤さんはこんな風に目的やコンセプトを作る時、リサーチから始めることを大切にしているそうです。
このプロセスはMo:takeが新しいカフェを立ち上げる時のプロセスと非常によく似ています。違うのは、コミュニティスペースがプログラムや備品を設計するのに対し、カフェはメニューや内装を設計する、という表現の部分ですが本質的には同じです。
「食」はコミュニティを仕事にする人の強力な武器
ゼロから全てをデザインしていくコミュニティデザインに対して、コミュニティマネジメントは日々を充実させることを指します。例えば、会員の人が自由に場を使えるようにサポートしたり、毎月の入会者数を調べてちゃんと目標が達成できているかを調べたりすることが含まれています。
しかし、コミュニティマネージャーにとって最も重要なことは会員の人との会話に参加できるようにすることだそうです。
加藤さん:例えばコミュニティマネージャーにとって、コーヒーマシンをどこに置くかはとても重要な意思決定なんです。
コーヒーを飲みに来るっていうのは、リフレッシュだったり切り替えの瞬間なので。そこって絶対にコミュニケーションのポイントとしては大事だと思ってます。
コミュニティマネージャーの間では「コーヒーマシンは最新のものよりも古いものを置け」とまで言われているそうです。というのも、古いマシンの方が抽出に時間がかかるので会話が生まれやすくなるから、とのこと。
そのため、コミュニティマネージャーにとってはコミュニケーションのきっかけを意図的に作れるコーヒーマシンのようなツールはとても重要な武器になります。
良いコミュニティには「活気」がある
なぜコミュニティマネージャーが会員の人たちとの会話を大切にしているのでしょうか。加藤さんはその理由をこう語ります。
加藤さん:良いコミュニティには「活気」があります。活気っていうのは目に見えないけれど、ある種の現象として現れてくる。
例えば、受付のあいさつとか、席を荷物で専有していないかとか、スタッフとのコミュニケーションとか。でも「いい挨拶」がされてるからといって「いいコミュニティ」とは限らない。無数の要素の関係性の総和でしか見れないものが活気なんです。
日々のコミュニケーションの中から見えてくるコミュニティの活気。単純に測れる指標ではないからこそ、時間をかけてコミュニケーションを重ねることが大切だと加藤さんは語ります。
次回は6/30(火)に公開予定です。
加藤さんのお仕事はコミュニティにまつわるあらゆる領域に広がりますが、次回はより食と深く関わる活動についてお聞きします。(つづく)
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