2019.03.22. | 

農家と飲食店をつなげて、こくベジを国分寺市の文化にしたい -国分寺三百年野菜 こくベジ

2019年3月14日、国分寺の農家と飲食店のみなさんが集まる交流会があるとのことで、Mo:takeケータリングチームとMo:take MAGAZINE編集チームが参加しました。こちらの交流会を主催するのは「こくベジ」のみなさんです。国分寺市で盛り上がる、農家と飲食店をつなぐ「こくベジ」プロジェクト。いったいどんな取り組みなのでしょうか。

仲間と始めた配達で、農家と飲食店がつながっていった

まずはこくペジプロジェクトの中心メンバーである、南部良太(なんぶ・りょうた)さんにお話を伺いました。

 

南部さん:こくベジは、2015年、国分寺市が地域の農業と野菜を盛り上げるために始めたプロジェクトです。最初は国分寺市の野菜を使ったご当地グルメをPRするという企画だったんですけど、地元の方の意見を取り入れながら方向性を変えていって。その結果、国分寺市の農家さんが作る野菜をこくベジと名付けて、市内の飲食店でこくベジを使ったオリジナルメニューを提供することになったんです。

当時、4軒の農家さん、10店舗の飲食店から始まったこくベジですが、少しずつその輪は広がり、4年目を迎えた今では提携する農家さんは10軒になりました。そして、こくベジのオリジナルメニューを作る飲食店はなんと約100店舗にまで増えました。

 

ここまで増えた理由について、「配達の影響が大きいと思います」と南部さんは話します。

 

南部さん:こくベジが始まった頃は、農家さんと飲食店が直接ふれあう機会がほとんどありませんでした。そこで、僕たち有志が勝手に野菜の配達を始めたんです(笑)。農家さんから新鮮な野菜を預かって、それを飲食店に届けて。そうしたら、少しずつ農家さんと飲食店がつながっていきました。うれしかったですね。今、僕たちは40店舗くらいのお店に野菜を配達しています。

 

野菜の配達を始めて4年目。本業はデザイナーという南部さんは、こくベジが始まって2年目からはアートディレクターとしても関わっています。こくベジプロジェクトにはなくてはならない存在として活動に参画している南部さんですが、なぜそこまで頑張るのでしょうか。何が南部さんを頑張らせているのでしょうか。率直に聞いてみました。

 

南部さん:こくベジは地方創生の一環として始まったからこそ、しっかり市民同士で盛り上げたいという思いが強くありました。こくベジを国分寺市の文化にしたかった。自分も関わった一人として、想いのある農家さんと飲食店をつなげて、こくベジをより国分寺市に根付くようなブランドにしたいと思いました。正直、最初の頃は「いつかプロジェクトは終わるのでは」といった厳しい意見もたくさんいただきました。そういう状況もあるからこそ、盛り上げていきたい。その役割を担いたいと思ったんです。

 

 

自分たちで走る準備はできている

南部さん:こくベジは、この3月で行政による補助金が終了します。そうすると自分たちだけで運営していく必要がありますが、これまで僕たちは自走することを目標に続けてきました。

 

補助金が終わっても、こくベジは終わらない。これからが本番だと南部さんは言います。

 

南部さん:長く続けるためには、こくベジを応援したいと思っていただける方がひとりでも増えることが大切。だから、もっと盛り上げたい。こくベジがみなさんにとって1つの転機になるようなムーブメントを起こしたいです。

 

ムーブメントの先にあるのは、関わる人すべてがハッピーだと感じられる未来。

 

南部さん:国分寺市民の方、行政の方、そしていろいろな団体の方たちが、おもしろがりながら支えてもらえるブランドになるといいですね。何か新しい活動を始める時に使ってもらえるようなブランドになるとより楽しいと思います。こくベジを使ったマルシェや収穫体験など、地域を盛り上げるイベントに自由に企画していただけるとうれしいです。自由なこくベジになってほしい。たとえるなら、くまモン。目指せ、くまモンです(笑)。

 

 

飲食店で、お客さんに農家のストーリーを伝えてもらえるうれしさ

南部さんのインタビューを通して、こくベジの取り組みが伝わったでしょうか。こくベジには、南部さんの他にもたくさんの方が関わっています。今回の交流会に参加していらっしゃった方にもお話を伺いました。

 

清水雄一郎(しみず・ゆういちろう/清水農園)さん:今回、交流会の主催メンバーとして準備してきたのですが、始まる前は盛り上がるか心配でしたね。Mo:takeさんに、美味しいのはもちろん、とても美しく調理していただいたおかげで、とても賑わいのある会になりました。

農家って、忙しいんです。いつも畑にいるので。新鮮な野菜を毎日食べられるけれど、こんな風に手の込んだ料理はできません。盛り付けなど、見せ方までなんて、とても手が回らないんです。でも、野菜は調理され、「美味しそう」と思ってもらうことで、より多くの方に食べてもらうことができます。驚きやうれしさなど、野菜を食べてもらう上で欠かせない要素だと思っています。

だから、自分たちがつくった野菜が飲食店で丁寧に調理され、提供されているのを見ると本当にうれしいんです。お店に来ているお客さんが美味しそうに食べている姿を見ると、最高の気分ですよね。

こくベジの取り組みによって、飲食店さんとの関係ができて、お店でお客さんに私たち農家のことを紹介してもらえる機会が増えました。そういうことが、農家のモチベーションアップに繋がるんです。

 

中村克之(なかむら・かつゆき/国分寺中村農園)さん:こくベジのプロジェクトが始まった頃は、ここまで農家と飲食店の連携が進むとは想像していませんでした。地域創生プロジェクトとして、補助金をいただいてはじまった取り組みですが、今後は自走していくフェーズに入ります。すでに連携が深まっているので、続けられそうです。

今後は飲食店の方に畑まで来てもらい、野菜づくりのストーリーを知ってもらいたいと思っています。そして、そこで聞いてもらったストーリーを、お店でお客さんに伝えてもらえたらうれしいですね。

 

清水さんや中村さんのほかにも、農家と飲食店のみなさんが、それぞれの取り組みを自己紹介する時間があったのですが、みなさんそれぞれの工夫や苦労、ストーリーがあり、時間を大幅にオーバーするほど盛り上がりました。その様子を見て、普段、現場で懸命にがんばっているみなさんにこそ、こういったつながりが必要だと痛感しました。そしてここから、新しい食のシーンが生まれるに違いありません。

今回、Mo:takeケータリングチームが担当した料理は、どれも圧倒的な野菜の美味しさに支えられたものばかりでした。中でも、鮮度抜群のキャベツと人参のアンチョビバターステーキは息を飲む美味しさでした。東京で食べるなら、東京で採れる野菜が最も鮮度が高いはずです。地産地消は、美味さそのもの。そんなことを改めて感じさせてくれました。

今後、こくベジを通して、農家や飲食店のストーリーが世の中に伝わっていく未来がありありと想像できる夜でした。

 

<Today’s Mo:take Menu>

・大根とザーサイのコリアンダー炒め
・豚とブロッコリーの冷しゃぶ仕立て
・ゆで鶏 〜うどのポタージュソースかけ〜
・キャベツと人参のステーキ 〜アンチョビバター〜
・ライスボール3種(人参塩麹のきんぴら/うどの梅肉のせ/菜花とツナのガーリック和え)

国分寺のカフェ「SWITCH」で行われた、こくベジ収穫&クッキングイベントの記事はこちら。
https://motake.jp/magazine/harvest-cooking01/

 

 

ライター / 界外 亜由美

数社の広告制作会社でクリエイティブ・ディレクター/コピーライターとして活動。2018年2月14日、mugichocolate株式会社を設立。コピーライターとして培った言葉の力と、デジタル・ソーシャル・マーケティングを掛け合わせた、総合的なコミュニケーション設計を行う。夫と2008年生まれの息子の3人家族。料理、お酒、詩歌が好き。