2021.12.07. | 

[Vol.1]料理人のスキルは、飲食店以外でも生かせる【藤岡響 × Mo:take】

「Food Future session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:take の座談会。
今回は、バリスタ、カフェプロデューサーとして活躍している藤岡響さんとの対談です。

藤岡さんにとっても、Mo:takeの小野正視と坂本英文にとっても、ドリンク、そして食は仕事でもあり、生きていくうえでの毎日の営み。日々、食と向き合いながら、食についてどんな未来予想図を描いているのか、食に関するテーマで自由に語りあってもらう座談会を通して、その地図をちらりとのぞかせていただきました。

今回の座談会には、事前に複数のトークテーマをおみくじ形式で用意。3人それぞれに1枚ずつ選んでもらい、選んだテーマについて、3人で話していただきました。

 

今回3人が選んだテーマはこちら
ー各自のスキル×食で広がる可能性/藤岡さん
ー食に向き合う時間の価値最大化/坂本
ー料理×○○=地域コミュニティーの活性/小野

水を使い、素材の成分を抽出する

小野:藤岡さんには現在、Yuinchuが運営を行う HYPHEN TOKYOのスタッフ教育などをサポートしてもらっていますが、まずは自己紹介をお願いします。

 

藤岡さん:本業はバリスタです。16年間コーヒーの仕事に携わっていて、昔ながらの喫茶店スタイルのお店、シアトル系カフェ、イタリアのバールのようなカフェ、コーヒー豆の品質にフォーカスしたサードウェーブなどさまざまなスタイルのお店を経験しました。
そこから抽出の技術を生かして日本茶の抽出にチャレンジしたり、飲料に限らず出汁の抽出をしてみたり、わかりやすくいうと、水を使って素材の成分を抽出する専門家です。

 

小野:水を使って素材の成分を抽出する専門家という説明の仕方、すごくいいですね。
そもそもバリスタになろうと思ったきっかけも聞かせてください。

 

藤岡さん:当時働いていた飲食店に最新のエスプレッソマシンがあったのに、バリスタがいなかったんです。宝の持ち腐れのような状況だったので、自分で美味しいコーヒーを淹れられるようになりたいと思い、淹れ方の本を買い集めて勉強し、練習しました。完全な独学でのスタートでした。

小野:そうだったんですか!? 藤岡さんと知り合って約3年になりますが、その話は初めて聞きました(笑)。僕が先に藤岡さんと知り合って、その後坂本さんに紹介しましたが、二人を引き合わせたらシナジー効果が生まれると思ったんです。

 

坂本:実際にお会いして食やドリンクに対しての想いをお互いに話してみて、すごく面白い人だなと思いました。

 

藤岡さん:お互い飲食という大きなくくりの中で、まだ世の中でははっきりとした形になっていないものを使ってチャレンジしているという点が共通していたのかもしれません。

 

高いスキルは世界観を狭くする?

小野:では、藤岡さんが選んだテーマ「各自のスキル×食で広がる可能性」から座談会に入っていきましょうか。

 

藤岡さん:一般的にバリスタとしては、コーヒーの品質を見極める目や抽出技術が重要なスキルとされています。ただ、専門性を高めれば高めるほど、コーヒー好きな人にとっては魅力的ですが、コーヒーにあまり興味がない人にとっては近付き難いお店になってしまうんです。

バリスタになる方には他業種から参入する方も多く、トレーニングをしているとさまざまなセンスを感じるのですが、コーヒーショップを経営するとなると世界観がかなり狭まってしまう傾向にあり、スキルがあってもお客さんがなかなか増えない場面も見てきました。
だからこそ僕自身は、映画館の中のカフェの立ち上げや、アパレル併設のカフェにチャレンジしてみたりと、最近はコーヒー以外の要素を模索し、他業種の方とコーヒー一つでつながるお店づくりにも取り組んでいます。

 

小野:専門的なスキルで他業種の方とコラボできる藤岡さんに対し、僕はある意味飲食の専門家ではありません。でも、食と他のカルチャーの連結という点で、考えていることは一緒だと思います。最初から器やフィールドを作りにいくという点で、僕のスキルは経営力や専門性というよりは、多様化力と言えるかなと思います。
当然、専門性を持つ人からは「そんなに甘くないよ」と言われることもありますが、クライアントに多様な視点を持ってもらうため、食を媒介や機能として使っています。

 

執着を手放し、外にも活躍の場を見出す

坂本:バリスタ同様、食に従事している人も料理の技術を磨くことにこだわりがあり、独自の美学を持っている人が多いです。もちろんそれも素晴らしいのですが、僕はその技術はもっといろんなところで活用できると感じていて、もったいないと思うんですよ。
コロナ以前は、飲食店はお店を構えて待っていて、そこにお客さんが行く、というスタイルがほとんどでした。でも、コロナ感染拡大防止のためにテイクアウトというツールができ、これまでなかった方向にも飲食の技術を活用することが増えてきました。
僕はMo:takeでケータリング事業を立ち上げた経験から、できたてのものをその場で食べてもらうことができなくても、料理という技術は違う形でも生かせることを知っています。そういうことを伝えていけば、業界全体がもっと多様な環境に変わっていくんじゃないかな、と思っています。

 

藤岡さん:僕がコーヒーを機能や道具として使うことで他の業種の中に入っていったように、料理のスキルを持って活躍の場を飲食店以外にも広げていく、ということですよね。

 

12/9(木)に公開予定の次回は、“コーヒーは●●である””料理は●●けでなければならない”という固定観念をどう越境するか、という話題に踏み込んでいきます。(つづく)

– Information –

HYPHEN TOKYO
WEB:https://hyphen-tokyo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hyphen_tokyo/

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身