2021.12.14. | 

[Vol.3]日常のちょっとした時間の価値を食で高める【藤岡響 × Mo:take】

「Food Future session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:take の座談会。
今回は、フリーランスのバリスタ、カフェプロデューサーとして活躍している藤岡響さんとの対談です。

藤岡さんにとっても、Mo:takeの小野正視と坂本英文にとっても、ドリンク、そして食は仕事でもあり、生きていくうえでの毎日の営み。日々、食と向き合いながら、食についてどんな未来予想図を描いているのか、食に関するテーマで自由に語りあってもらう座談会を通して、その地図をちらりとのぞかせていただきました。

今回の座談会には、事前に複数のトークテーマをおみくじ形式で用意。3人それぞれに1枚ずつ選んでもらい、選んだテーマについて、3人で話していただきました。

 

今回3人が選んだテーマはこちら
ー各自のスキル×食で広がる可能性/藤岡さん
ー食に向き合う時間の価値最大化/坂本
ー料理×○○=地域コミュニティーの活性/小野

“食事に合わせられるコーヒー”を生み出したい

小野:このあたりで、坂本さんが選んだテーマ「食に向き合う時間の価値最大化」に入っていきましょう。

 

坂本:先日、フードプロデューサーの方と話す機会があり、その方がおっしゃっていたんです。「多くの人は一日に2、3食は食べていると思うので、野球の打席で考えるなら、お風呂に入るよりも寝るよりも、食べることが人間の生活の中で一番打席が多い」と。それを聞いて、だからこそ食にはさまざまなタッチポイントがあるんだな、と改めて思いました。

ひとくくりに“食”と言っても、健康という視点から考えた食もあれば、嗜好品としての食もあるように、食べるという一つの行為でもさまざまな角度で感じることができます。だからこそ、1回1回の“食”の価値を最大化したいし、食べたり飲んだりしている時間そのものを有意義な体験に変えていきたい、と思っています。

 

藤岡さん:ドリンクはさらに打席が多いですよね。でも、朝に飲む1杯のコーヒーや、寝る前のお茶など、食に比べてドリンクはそんなに時間をかけるものではありません。であるならば、ゆっくり楽しむ食事の時にその食事に合ったドリンクをペアリングをすることで、さらにドリンクの価値を高めることができると思っています。

でも実際は、コーヒーに合うのは甘いもの、小麦粉を使ったもの、などと固定観念が付きまとっています。なので“食事に合わせられるコーヒー”を提案していくことは、業界全体の課題かなと思っています。

 

ペアリングとは、1+1が2以上になること

藤岡さん:以前、ハンバーガーにコーヒーのソースを使ったものを食べたことがあります。ケニアのナチュラルプロセスのコーヒーを、胡椒代わりにスープに入れたものを作ってみたこともあります。コーヒー豆を口の中で噛んだ時にコーヒーの香りが口の中に広がるので、香辛料のような役割を果たすんです。

 

坂本:コーヒー豆を黒胡椒の感覚で使うってすごく面白いですね。酸味のあるコーヒー、スパイシーなコーヒーなどいろいろあるので、豆によっても印象が代わりそうですね。

 

藤岡さん:でもペアリングって難しいですよね。香りのペアリングもあれば、成分的、科学的なペアリングももあるし、ストーリー性で合わせにいくこともありますし。

 

坂本:確かに一般的には食事とドリンクを組み合わせることがペアリングと言われていますが、今の話を聞いていて、それだけじゃないなと思いました。同じ地域で採れた野菜と水のペアリングも考えられますよね。

 

小野:まだいろんな可能性がありますね。

 

藤岡さん:飲食の固定観念を越境していくと、これからさらに複雑になっていくんじゃないかなと思います。1+1=2以上になるのがペアリングなのかもしれないですね。

 

毎日のことだから、コーヒーを飲む5分をより豊かに

小野:「食に向き合う時間の価値最大化」というテーマを、日常か非日常かという視点で考えてると、旅行先でいいお店に出会った、都内のラグジュアリーなお店に行った、という非日常の価値最大化もありますが、日常的で瞬間的な「うまいじゃん!」もあると思っています。まさにさっきの打席論ですよね。

ファストフードでも「うまいじゃん!」の瞬間はありますよね。遠くまで出かけて高価なものを食べることだけが価値ではなく、瞬間の最大風速はコスパで判断しよう、という考え方もあると思うんです。例えば、地元のカフェで店員さんが丁寧に淹れてくれたドリップコーヒーを歩きながら飲む、という5分が価値あるものであってほしいと僕は思います。

 

藤岡さん:これまでちょっと雑に飲んでいた1杯のコーヒーを豊かにしよう、という考え方は、打席が多いからこそ受け入れやすいし、いつもの日常の中で比較的手軽に幸せを感じられますよね。

 

小野:まさにそうですよね! ルーティンの価値ってあるじゃないですか。1日1回くらいコーヒーを飲む人もいると思いますが、その場合、1年間だと300日くらいコーヒースタンドに行く可能性もあると思います。その時間の価値を最大化したら、後で振り返った時に「毎日のコーヒータイムが自分の活力の源だったのでは」と思うかもしれない。そう考えると、これまでちょっと雑に扱ってきたかもしれない飲食の時間の価値を最大化することに、もっと取り組んでいきたいですね。

 

藤岡さん:昨今、1分であっても人の時間をもらうことって本当に難しいと思います。SNSを見ている5分をコーヒーショップの店員さんとのトークに使ってもらうって容易ではないと思いますが、でも、だからこそ使ってくれた時にはその時間の価値を最大化していきたいと僕も思います。

 

12/16(木)公開の次回は、「料理×○○=地域コミュニティーの活性」をテーマに、どんな場所を作ったら地域が活性化していくのか、そして、これから進んでいきたい方向性について、それぞれの想いを語っていただきます。どうぞお楽しみに!(つづく)

– Information –

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ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身