SERIES
Food Future Session
2022.03.10. | 

[Vol.3]食に関わる時間を豊かにするために、機会を創出する【界外亜由美×Mo:take】

「Food Future Session」という壮大なタイトルで展開する、×Mo:take の座談会。
今回は、Mo:takeとの関わりが長く、Mo:take MAGAZINEの食コラムでもおなじみの界外亜由美(かいげ・あゆみ)さんとの対談です。

界外さんがインタビュアーになってMo:takeの小野正視と坂本英文にインタビューしたのは2020年5月。初めての緊急事態宣言が出され、飲食店の営業自粛や営業時間の短縮など、新型コロナウイルスの影響が広がった時でした。

あれから2年。「コロナを経て食の価値や存在意義がどう変化したか」をメインテーマに、ここからMo:takeがどこに向かおうとしているのか、という問いから対談の続きが始まります。

研ぎ澄まされた感覚は
「まるで現代のインディアン」

界外さん:ここまではコロナ禍の2年間について話してきましたが、「これから先どうなっていくか」も話したいですね。

 

坂本:コロナ禍を経験して改めて、食の価値基準を上げていきたいと思っています。食からどういうことを感じ取れるか、どういうための食事なのか、食を通してどういうことに気付かされるか、これまで以上に大事だと思っています。

前から言っていることと中心は変わっていないんですが、自問自答はずっと繰り返してるかもしれません。そして、自問自答を繰り返してきたからこそ定まってきた部分もあるのかなと思います。

 

界外さん:坂本さんって、料理を始めるとスイッチが入るんですよね。瞬間的に別の人になって、完全に外界を遮断して、食と自分だけの世界に入っているように見えます。直感的なセンスのするどい人だと思うんです。

 

坂本:確かに新しいレシピを考える時、場合にもよりますが、事前に考えているのは50%くらいのことも多いですね。実際に厨房に立ってから調整している部分が大きいです。レシピも事前には書かず、できあがったものをレシピに起こしている感じですね。

 

界外さん:さすが。坂本さんって、インディアンみたいです。直感で生きている彼らは、落ちている棒をみて、何に使えるかわからないけれど「これは必要な気がする」と言って持ち帰るんですって。そうすると1年後くらいに、ぴったり役立つことが見つかったりするんですって。先ほどのエピソードから、坂本さんの直感ってインディアンのように研ぎ澄まされているなと感じました。

 

小野:僕から見た坂本さんって、ゼロからイチもできるけど、むしろ1歩目から2歩目へ秒殺で進んでいくタイプなんですよね。生産的に思考回路が回るし、クリエイティブを知っているから早いんですよね。

「こういうことをやってみたい」「Mo:take MAGAZINEをこう展開したいと考えている」と伝えた時に、ついてきてくれるのって料理業界では断然坂本さんなんだと思うんです。インスタの展開も坂本さんとだからできると思っていますし。僕が狼煙をあげて、それを理解した瞬間に坂本さんは秒で動いてくれる。

 

界外さん:坂本さんにとって小野さんの存在は、クリエイティブのための環境要因みたいなものなんですね。

 

食に関わる時間を豊かにするために
その機会を創出していく

小野:今後に話を戻しますが、実は本当に決めてないんですよね。

 

坂本:将来的なビジョンはなんとなく見えているんですけど、今って先のことがわからないじゃないですか。だからこそ、本当に楽しみながら追求していくってところは今後も変わらないんだと思います。

 

小野:結局、Yuinchuのビジョンの言葉を借りると、「ヒト、コト、モノに触れる接点を増やす」ということなんですけど、「食」が一番接点が増えるんですよね。機会創出と言ってもいい。機会を創出する責務が僕にあると思っています。

特に、坂本さんが接点作りをしやすい環境を作るのは僕の仕事の一つですが、高額なケータリングの受注をビジネスモデルとしていた時は、ある意味すごくわかりやすかったんですよね。それがラボになった瞬間に、社会にどうやって自分たちを認めてもらうかという課題が出てきて。そこは僕の腕の見せどころなので、ラボとMo:take MAGAZINEとで自分の力を駆使しています。

今回、Mo:takeも少しだけブランドフィロソフィーを変えたんですが、前よりもっとファジーにしたんです。

その中で輪郭がくっきりしてきたのは、「食に関わる時間をより豊かにする」ということ。生きている中で「食」の時間は多いからこそ、その時間をデザインしてあげる必要がある。

それこそが機会の創出だと思うんです。食に関する仕事をしているメーカーの人や野菜を作っている人たちが豊かになっているのかということに対して、広い情報を捉えるためのマガジンがある。もう少しディープに伴走したい時には、ラボで並走する必要もある。Mo:takeとしてやっていくのは、機会の創出に関われる時間を豊かにすることなんですよね。

だからMo:take MAGAZINEは一番広範囲に向けた情報源として捉えていきたい。インスタグラムはもっと広いのかもしれないけれど、たまたまアクセスしたという人もオールOKにするため、展開しています。

 

「空間」「時空」から、「時間」へ
小野の言葉から「空間」が消えた理由とは

界外さん:最近、小野さんから「時間」に関する話をよく聞きますが、最初のころはもっと「空間」寄りでしたよね。少し前までは「時空」とおっしゃっていたのが「時間」になってきている感じがします。

 

小野:Mo:takeはコンテンツです。「コトを起こすためにはモノを良くしなければいけない」というソリューションな訳ですが、それは、コンテンツが場所の制約なく「時間」に関われる要素だからなんです。だから、「食に関わる時間を豊かにする」と掲げました。

今回、Mo:take MAGAZINEの中にHYPHEN TOKYOのチャンネルを作った背景には、「デイリーな食に関する『場』の話はHYPHEN TOKYOのチャンネルに任せる」という意味がありました。Mo:takeが場所の話をしなくても、HYPHEN TOKYOがここで代弁してくれるんでしょ、ということなんです。

 

界外さん:HYPHEN TOKYOができて「場所」の部分を任せることができ、役割分担がきっちりしたので、Mo:takeを語る時は「時間」の話題が増えているんですね。

Yuinchuさんは、レンタルスペースとして場所(空間)を貸すという事業から始まっている中で、そこから気づいたことをアップデートして、今があると思うんです。だからこそ、「空間」への思いも強いと思うんです。

今回、「空間」の話があまり出ていなかった理由を伺えて、すごくスッキリしました。

 

次回は3/15(火)に公開予定です。家庭の中に取り入れたら家庭の食卓が大きく変わりそうなある“装置”について盛り上がり、Mo:takeの可能性へと話が展開していきます。(つづく)

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。
あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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