2019.10.15. | 

[Vol.1]「ぶどうに来てもらう」都市型ワイナリーの実験と挑戦 深川ワイナリー東京 上野浩輔

みなさんは、産地から「ぶどうに来てもらう」都市型ワイナリーの話を覚えていますか?都内にいながらにして、醸造の様子を身近に体験しながら東京産のワインが楽しめる深川ワイナリー東京のお話を聞いたのが今年8月のこと。(詳しくは、 [Vol.2] 「美味しいもの」を「選ぶ」世の中に。生産者の想いの温度感を発信するイベントを開催 をご覧ください)

ぜひもっとお話を聞きたい!と、醸造責任者の上野浩輔さんにお願いして、深川ワイナリー東京におじゃましてきました!

[Vol.2]「ぶどうに来てもらう」都市型ワイナリーの実験と挑戦 深川ワイナリー東京 上野浩輔

[Vol.3]「ぶどうに来てもらう」都市型ワイナリーの実験と挑戦 深川ワイナリー東京 上野浩輔

年間2万本をつくる、下町の小さなワイナリー

大小様々な運河に囲まれ、下町情緒を現在に伝える深川エリア。2016年にこの地に誕生した深川ワイナリー東京は、年間生産数2万本の小さなワイナリーです。山梨や山形といったぶどうの生産地から輸送されたぶどうを用い、美味しい東京産ワインを提供しています。

通りに面して醸造所があり、その裏手に試飲のできるバー「テイスティング・ラボ」と、会員制のレストラン「WineMan’s Table」があります。

まず、醸造所の中を見せていただきました。

銀色のステンレスタンクが7つ、ぎっしりと並んでいます。片方の壁際には、出荷待ちらしきたくさんの段ボールが、これまたぎっしりと積まれています。チューブがついた機械は、瓶詰めのためのものなのでしょうか。ログハウス風の外観からは、中がこんな風になっているとはとても想像がつきません。

 

上野さん:ここに生産地から来たぶどうを運び込んで、醸造工程はこの中で全部やっています。輸送車がついて運び込むと、ぶどうの香りでわーっといっぱいになるんですよ。

 

とにかく狭いからね、と笑う上野さん。実際に、上野さんたちがここでどんな風にワインをつくっているのか、想像をかきたてられます。

そこで上野さんが、紙芝居風に製造工程を説明してくださいました。1枚目はぶどう畑とぶどう農家さんの写真です。ワインづくりはここから始まっているんだと、当たり前のことに気づかされます。

ワインにつながる「体験」を生む、都市型ワイナリーの魅力

ぶどうの到着後、ワイナリーでは「除梗・破砕」という作業に入ります。果実と茎や枝を分けたり、果実を粉砕する作業です。

 

上野さん:ぶどうがたくさん来るときには、とても自分らだけではやりきれないので、ボランティアさんを募集してこの作業を手伝ってもらってます。

 

作業に参加できるのは1回につき5人ずつ。SNSで募集しているそうです。

 

上野さん:ありがたいことに、割とみなさん来てくださるんです。ワイン好きな人ってやっぱりワインづくりに関わってみたいっていう興味のある人が多い。楽しんでやってくださってます。

 

機械のハンドルを回し続ける、ぶどうの箱を次々に運ぶ、など、作業は完全に手作業。なかなかの力仕事です。

 

上野さん:半日みんなで仕事して汗を流して、終わったらワインの味見ができて食事して帰れる、というのもいいでしょ?だいぶ出来上がって帰る人も多いです(笑)。

 

ここで一緒に作業していた人たちがその後結婚したと教えてくれたりもして、そういうのも嬉しいですよね、と上野さん。

 

上野さん:こういう体験ができる所が電車乗ってすぐ来られる場所にある、というのもうちみたいなワイナリーの良さなんじゃないかと思っています。

楽しそう、おいしそうなことを何でもやってみたくなる

続いて、赤ワインと白ワインの仕込みの違いについて話してくださった上野さん。流行中のオレンジワインについても教えていただきました。

 

上野さん:オレンジワインは、白ワインの原料で、赤ワインの仕込み方をするんです。朝夕かきまぜて、発酵させてから絞ります。オレンジが入ってるわけじゃないんですよ(笑)。

 

上野さんはさらに新しいワインづくりにもトライされているのだそうです。

 

上野さん:赤ワインの原料から白ワインができるかなと思って、やってみたんです。赤ワインのぶどうをすぐ絞ってみた。

 

どんなワインになったのでしょうか。

 

上野さん:それがね、最初はロゼ色なんだけど、発酵が進むと脱色されて白ワインになるんです。面白いなあと思って。

 

これをやってるのはうちだけ、と上野さんは笑います。

 

上野さん:面白そう、とか、やってみよ、と思ったことをどんどんやってますね。あれとこれ混ぜてみようかな、とかね。なんでもかんでもやってみたくなる。

 

そこには、20年近くワインと向き合ってきた上野さんならではの思いが伺えます。

 

上野さん:真面目につくるという前提がある上で、楽しそうなこと、おいしそうなことをどんどんやっていきたい。だから、こんなに長い間ワインづくりを続けていられるんだと思います。

 

次回は10/22(火)に公開予定です。試飲のできる「テイスティング・ラボ」に場所を移し、深川ワイナリー東京自慢のワインを試飲させていただくことに!味わってみて感じた魅力や、上野さんの考える「深川ワイナリー東京らしさ」についてお伝えします。(つづく)

 

 

– Information –

深川ワイナリー東京

東京都江東区古石場1-4-10高畠ビル1F

<平日>15:00~22:00

<土日祝日>12:00~22:00

・17:00からバータイム(L.O 21:30)

・試飲は17:00まで
※定休日:火曜日

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八田吏

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。