2018.12.25. | 

[Vol.2]熱々のご飯に削りたての鰹節。最高の鰹節を伝える「かつお食堂」

永松さんの鰹と鰹節への愛情は、丁寧に更新されるSNSからも伝わってきます。さらに感じるのは、お世話になっている人たちへの感謝の想い。たくさんの人からも応援されているのがわかる永松さんの今がどんなふうにつくられたのか、お話をうかがいました。
[Vol.1]熱々のご飯に削りたての鰹節。最高の鰹節を伝える「かつお食堂」
[Vol.3]熱々のご飯に削りたての鰹節。最高の鰹節を伝える「かつお食堂」

はじめて目にした、美しい女性

永松さん:鰹節が好きになったのは、今から6年くらい前、25歳のときです。それまで私は夜遊びに夢中で、仕事が終わるとクラブやバーに行くのが日常だったのですが、見かねた母から「福岡のおばあちゃんの家に帰ってみたら」と言われました。私が行くと、85歳の祖母が削り器を戸棚からとり出して、鰹節を威勢よく削り出したんですね。祖母が一生懸命削るその姿が衝撃的でもの凄くかっこよく素敵だと感動しました。
昔、母に「内面から美しい女性になりなさい」と言われたことがあるのですが今まではイマイチピンときていませんでした。
でも、祖母のその姿を見てはじめて「これか!!」と感じました。
削りながら祖母が「この削り器は、他界したお父さん(祖父)が結婚する時に私に贈ったものだというストーリー付きで。「昔は、こうやって鰹節を削って朝ごはんの出汁を取っていたんだよ」と祖母から聞いて、純粋に感動したんです。

 

このとき、鰹節を削る姿を生まれてはじめて見たという永松さん。「今でもこんなふうに削っている人はいるのだろうか」という思いがわきあがったそうです。そしておばあちゃんから削り器を譲り受けて、行動を起こします。

削り器をかかえて、鰹節を削る人を探す旅へ

といっても、永松さんに手がかりは何もありませんでした。てはじめに知人のいる山梨方面へ電車で出かけて、そこで出会った人との会話からバスで村へ。「田舎に行けばおじいちゃん、おばあちゃんがたくさんいて、かつお節を削っている人もいると思ったんです」。

そこでまた出会った人の畑仕事を手伝ったのをきっかけに、東京と山梨を行き来するようになって、2カ月ほど。ある日、子どもから「かつお節ってどうやって作るの?」と聞かれた永松さんは、「そういえば鰹節のことは好きだけど、何も知らない」と気付き、本格的に産地めぐりを始めたのでした。

 

永松さん:とにかく一番古いやり方をしている鰹節の工場に行きたかったので、ネット検索をして静岡県の西伊豆の方にある田子に行きました。そうしたら、そこで鰹愛にあふれた職人さんに出会えて、丁寧に説明をしてくれたうえ、鰹を切らせてくれたり、いろいろな体験をさせてくれたんです。そして、「ぜひいろいろな地域のかつお節にふれてください、それぞれによさがありますから」と教えてくれました。
私は鰹と鰹節のことがどんどん好きになって、次に生産量が一番多い鹿児島県に行って、高知、三重、沖縄と行き先を変えて、鰹と鰹節のことを学んでいきました。気づけば南は宮古島から北は気仙沼までまわるように。

 

当時、まだOLだった永松さん。10㎝ヒールを履いて、髪の毛もブリーチをしたばかりの茶系。鰹が好きな「ギャル」が来たといううわさはすぐに広まり、鰹に関係する人たちの間では不思議キャラとして認知されていったような気がします。笑
おばあちゃんの鰹節を削る姿に魅せられてから約半年後には仕事を辞め、鰹節屋のアルバイトをしながら産地の人たちとの輪を広げていくのでした。

ポップアップショップではじめて想いを形に

「鰹節伝道師」という肩書きで、「かつお節の美味しさを伝える」仕事に携わったのは、2016年12月。Katsuobushi Select Shop かつお舎を2015年に立ち上げていた永松さんは、Mo:take(モッテイク)とのコラボレーションでポップアップショップを開催することになりました。

ラインナップは、「きんぴらごぼうと半熟卵のかつおピザトースト」をはじめ、ライスバーガーやスープなど削りたてのかつお節をトッピングした料理3品。さらに、お客さんの目の前で削ったかつお節を袋につめて持ち帰れるサービスや、お客さんがかつお節を削るワークショップも行われました。

 

永松さん:フードクリエイターの坂本さんからお誘いを受けてやらせていただいたのですが、鰹節屋さんでアルバイトをしていた時には、あんなふうに自分の想いを実現できる日がくるなんてまったく想像できませんでした。またチャンスがあれば、今度はかつお食堂のオーナーとしてコラボさせていただきたいですね。

 

ポップアップショップの開催から約半年後、知人が開店したバーを間借りすることになり、2017年11月、永松さんはかつお食堂をオープンさせます。永松さんの「鰹節が好き」という純粋な想いが、たくさんの人とのかかわりの中で育ち、新たなスタートを生み出した瞬間でした。

 

次回は新年、1/3(木)公開です。
永松さんが描く、かつお食堂の未来図を語っていただきました。永松さんらしく、熱く、楽しく、まわりの人との関係を大切にしながら広げていく、かつお食堂と鰹節の可能性についてご紹介します。(つづく)

 

– Information –

かつお食堂
東京都渋谷区渋谷1-6-4 The Neat青山 1F
<平日>9:00〜14:00(なくなり次第終了)
<土日>10:00〜14:00(なくなり次第終了)
※不定休

Facebook:https://www.facebook.com/katsuoshokudou/
Twitter:https://twitter.com/katsuosha
Instagram:https://www.instagram.com/katsuoshokudou/

たかなしまき

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。