すべてにおいてインパクト大の日本きくらげ
日本の流通量はわずか1.5%という希少な日本きくらげをメインにした「KIKURAGEバーガー」。そもそもの始まりは、日本きくらげの販売代理と普及活動をしている株式会社おいせの担当者さんから坂本に「おもしろい食材があるんです」と紹介されたことがきっかけでした。
坂本:おいせさんは、日本全国の珍しくて、美味しい食材をいろいろと扱っている会社さんなんですが、最初、日本きくらげの料理を体験させてもらった時は本当に驚きました。「なんじゃこれ」、でしたね(笑)。
手のひらほどはあるその大きさ、つや、肉厚さ、ジューシー感。どれをとってもインパクトが大きく、坂本が抱いていたきくらげのイメージが覆されたそうです。
坂本:みずみずしくて栄養価も高い日本きくらげは、現在、高級食材として料理店などに流通されています。今後は一般の方にもその存在や美味しさを知ってもらいたいということで、僕たちにメニュー開発のご依頼をいただきました。
そうして決まったのが、誰にとっても親しみがもてるメニューを生み出すことでした。
高級食材を気軽に食べる、という発想を形にするまで
坂本:多くの人に楽しんでもらえるメニューとして浮かんだのが、ハンバーガーでした。表参道で販売することが決まっていたのも大きいですね。歩きながらでも気軽に食べられるし、日本きくらげの肉厚な食感も活かせる。そこを出発点に試作を重ねていきました。
日本きくらげのハンバーガー。まだ世に出ていない、もちろん坂本自身もまだ食べたことがないからこそ、開発の軸の部分はとても大切に創られていきました。
坂本:軸は2つあって、1つはビジュアルです。表参道という土地柄、お客さんにおもしろいと感じてもらえるものにこだわりたかった。じゃあ、日本きくらげにあわせてバンズもパテに真っ黒にしようと決めました。2つ目は、日本きくらげのもつ豊富な栄養素を活かすことを大切にしました。
真っ黒にするには、イカ墨を使うなど、いろんな食材や方法があるのですが、デトックス効果があるといわれているチャコール(竹炭)なら、日本きくらげの食物繊維とあわせてその効果がさらに引き立ちます。そこでチャコール(竹炭)を練り込むことにしたんです。
日本きくらげ、というネーミングにあわせて、味付けは和風テイストに。パテと一緒に、日本きくらげを生姜焼き風のソースで焼いて、食べやすい和風のハンバーガーを創りあげました。
“どこにもない”を、おもしろがりながら追求する
坂本:おいせの担当者さんに初めて見てもらった時の感想は、「これ、ヤバイですね!」でした(笑)。きっと、予想外の展開に驚かれたんだと思います。これくらい喜んでいただけると、うれしいですね。
実は真っ黒なハンバーガーを創る前に、一度、通常の色のバンズを使って、味も完成させていたそうです。
坂本:でも、もっとおもしろいものが作れるんじゃないかと考え続けていたら、真っ黒なバンズが思い浮かんで。真っ黒なバンズなんてどこにもないから自分で焼き上げたら、すごくおもしろいものができて。うれしかったですね。
SNSで公開した後も、いろんなお客さんから「ヤバイ」というコメントをいただきました。SNSでの反響も興味深かったです。僕自身は、「しめた!」と大きな手ごたえを感じていました(笑)。
また、「KIKURAGEバーガー」を包む紙は、表参道のキャンピングトレーラーカフェ「エアストリームガーデン」という場所での販売をイメージして、クラフト紙を選ばれたそうです。包装や提供場所も含めてビジュアルを考えていると言う坂本。販売期間中はお店で接客もしたそうですが、実際、お客様の反応はどうだったのでしょうか。
坂本:最初はとてもドキドキしました。ハンバーガーを食べ歩くのは、ビジュアル的に原宿っぽいイメージがあると思っていたので、表参道で受け入れられるかどうか、挑戦でもありました。でも、実際に販売してみたらとても反応がよかったので、すごく安心しました。
店頭には日本きくらげのサンプルを置いて、実際に触ってもらったりしたのですが、外国人の方をはじめお客さんがとても興味を持ってくれて。楽しんでもらえてよかったです。
“漆黒のクレンズバーガー”「KIKURAGEバーガー」で表参道から、日本きくらげという新しい食材を発信した坂本。次回の記事では、「生産者と食べる人をつなぐ」という役割やチャレンジしたいことについて語っていただきました。どこにもない食べ物を創り続ける坂本の想いにぜひ触れてください。(つづく)