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意外と知らないローカルフード
2026.03.02. | 

【北海道】寒さを吹き飛ばす北海道のホットな逸品とは!? | 意外と知らないローカルフード

食の歴史や文化、そして土地の魅力がぎゅっと詰まった“地域の味”を再発見して楽しく紹介する「意外と知らないローカルフード」。このコーナーでは“誰もが知っているあのメニュー”ではなく、知る人ぞ知るローカルフードや、昔から変わらないその土地ならではのこだわりの逸品、時代を超えて今もなお愛される一皿、その「食」の背景にある物語をひも解きながら、その地域ならではの味とは何なのかをカジュアルにお届けします!
第22回となる今回は『北海道』。

去る2月4日から11日までの8日間、日本最大級の冬のイベント「さっぽろ雪まつり」が開催されました。1950年に市内の中高生が大通公園に雪像を作ったことから始まり、やがて自衛隊の協力によって雪像は大型化し、市民主体の催しから全国的な観光イベントへと成長しました。

雪や寒さを「厄介者」ではなく「資源」として活用してきた北海道の人々の発想、寒さを楽しむ文化が結晶したこのお祭りと同様に、北海道民ならではの発想が生んだホットなソウルフードを見つけてきました!

港町・釧路で長く愛される「鉄板」メニュー

今回紹介するソウルフードの発祥の地は、北海道東部、太平洋に面した釧路です。雪まつりが行われる札幌からは直線距離で約230km、移動距離にして約300kmの港町。釧路湿原や阿寒湖など、観光名所も数多くあります。この街を訪れると、夏であっても肌寒さを感じる日が少なくありません。この時期は雪はもちろんですが、吹き抜ける冷たい風も観光客にとって印象的。そんな釧路の街に暮らす人々にとって、欠かすことのできない一皿が「スパカツ」です。

スパカツとは、その名の通り、熱々の鉄板皿に盛られたミートソーススパゲティの上にトンカツを乗せた、ボリューム満点のメニュー。スパゲティとトンカツという二つの主役が同じ皿にそろう、洋食好きにはたまらない一品です。栄養面でも非常に合理的で、炭水化物と脂質を一度にしっかり摂れて、腹持ちがよく満足感も高い。食した人の胃袋をまっすぐに満たすガツンと系のソウルフードです。

 

洋食のスターたちが一皿に集う「スパカツ」

そもそもスパカツは、1960年代、高度経済成長期に港湾や工場で働く人々の「お腹いっぱい食べたい!」という願いから、とある洋食店で生まれました。太めのスパゲティに、甘みと酸味のバランスが取れたミートソースを絡め、その上に揚げたてのトンカツをのせる。鉄板の余熱でソースは少しずつ煮詰まり、時間とともに味が変化していく。

鉄板の上で音を立てるスパゲティに、たっぷり絡んだミートソース。トマトの酸味は穏やかで、ひき肉の旨みと玉ねぎの甘さが前に出てきます。鉄板の余熱でソースが少しずつ煮詰まり、最初はやさしく、後半になるほど深みが増していきます。

その上にのせられたトンカツは、衣がサクッと軽く、噛めば豚肉の脂がじんわり広がる。ミートソースを吸った衣、もちっとした麺が一緒に口に入る瞬間、完成する味わい。不思議とくどさはありません。何より、スパカツの味は、派手さよりも安心感に満ちています。

 

鉄板に込められたアツアツの思いやり

今や釧路市内のレストランの定番メニューとなったスパカツ。スパカツが根付いた最大の理由は、料理を「最後まで温かく食べてほしい」という強い思いです。釧路の寒さでは、皿で提供すれば数分で温度が下がってしまう。熱々の鉄板はただの演出ではなく、料理を冷まさないための重要な手段だったのです。そこには、見た目の美しさや派手さよりも食べる人の体感を優先する思いやりが溢れています。

そして、洋食店や喫茶店が果たしてきた役割。かつて地方都市における洋食店は、単なる飲食店にとどまらず、人が集まり、次の仕事に備えて休憩し、会話を交わす“街の居間”のような場所でした。鉄板スパゲティは、冷めにくく、慌てて食べる必要がない。長居できる店の空気を生み出してくれる、これ以上ないメニューだったのです。

名古屋の鉄板ナポリタンなど、他地域にも鉄板スパゲティ文化は存在します。しかし、それらが名物として語られるのに対し、釧路のスパカツはもう少しローカルの人たちとの距離が近く感じられます。日常食として提供され続け、派手な進化を遂げてこなかったことこそが、この料理の凄みです。

冷めない工夫、腹を満たす工夫、生活の知恵の証ともいえる一皿をぜひ味わってみてください。

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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