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意外と知らないローカルフード
2025.02.10. | 

【東京】「べらぼう」にうまい、東京の味を探せ!

食の歴史や文化、そして土地の魅力がぎゅっと詰まった“地域の味”を再発見して楽しく紹介する新コーナー「意外と知らないローカルフード」がスタートします!
このコーナでは、 “誰もが知っているあのメニュー”ではなく、知る人ぞ知るローカルフードや、昔から変わらないその土地ならではのこだわりの逸品、時代を超えて今もなお愛される一皿、その「食」の背景にある物語をひも解きながら、その地域ならではの味とは何なのかをカジュアルにお届けします!
第1回目にご紹介する地域は、『東京』。
今回は江戸時代の浮世絵にも描かれた料理に着目し、江戸っ子が愛した味とその魅力、そして令和に繋がる食文化を一緒に見ていきましょう!

べら‐ぼう〔‐バウ〕
[名・形動]
1 程度がひどいこと。はなはだしいこと。また、そのさま。「今日は—に寒い」「—な値上がり」
2 普通では考えられないようなばかげていること。また、そのさま。「そんな—な要求はのめない」
3 人をののしっていう語。たわけ。ばか。「何をぬかすか、この—が」

 

江戸の町を襲う大火の中から主人公が初登場、女郎の全裸遺体が地面に捨てられている衝撃的なシーン…。年明け早々、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が話題をさらっています。
そもそも、「べらぼう〜」の主人公・蔦屋重三郎(蔦重)とは何者か、ご存知でしょうか?

蔦重は吉原大門前(現在の東京都台東区)で書籍の編集・出版業を開始。江戸町民文化が花開いた18世紀半ばに、「洒落本」や「黄表紙」などのヒット作を連発しました。
そして、蔦重最大の功績として外せないのは、なんといっても喜多川歌麿や葛飾北斎、東洲斎写楽など、今やクールジャパンの代名詞として日本が世界に誇る浮世絵の絵師達を発掘し、彼らの名作を次々と世に送り出したことです。

 

浮世絵にも『東京カレンダー』があった?

蔦重が世に送り出し、江戸時代の庶民に親しまれた浮世絵。
浮世絵には日常の風景や当時の流行、人気歌舞伎役者、お祭りなど、さまざまな風俗が描かれました。今でこそ芸術的価値の高いものとして扱われていますが、当時は江戸の風俗を手軽に知ることができるメディアとして、情報誌やファッション誌など、雑誌のように親しまれていました。もちろん「食」もテーマとして取り上げられ、数多くの作品が描かれています。

まずは歴史上の有名な武将を描く武者絵で人気を博した歌川国芳による『春の虹蜺(こうげい)』。2本の串に刺された鰻の蒲焼を食べようとしているところに、虹が現れ目を奪われる女性が描かれています。
当時、「江戸前」という言葉は江戸で捕れる鰻を指すほど、江戸っ子にとって特別な食材。醤油やみりんなどの調味料が普及したのもこの頃で、鰻の蒲焼はまさに当時バズったメニューのひとつでした。

 

『風俗三十二相 むまさう』は、月岡芳年が描いた美人画の代表作のひとつで、美女と食にフォーカスした一枚。
当時江戸の庶民に親しまれていた天ぷらを食べる遊女が描かれた美人画です。「むまさう」は「うまそう」を意味し、天ぷらがおいしそう、ということがストレートに描かれています。

美女が当代きっての人気メニューを食すこれらの浮世絵は、まさに江戸時代の『東京カレンダー』といったところでしょうか?

 

令和の東京で「浮世絵」を食す!

今や東京は「ミシュランガイド」の星付きレストランの数が世界最多の183店舗という国際的な美食都市。上質なレストランからラーメン店まで、世界に存在する料理ならなんでも楽しめるような気さえします。
しかし、東京ならではの料理ってなんでしょうか? そんな時、浮世絵にも描かれている、江戸時代の食文化と浮世絵がヒントになりそうです。

浮世絵には上記の作品のように、すし、鰻、天ぷらなどおなじみの江戸前メニューを描くだけでなく、当時の名店を描いたものも存在します。
例えば、あの『東海道五十三次』の作者として知られる歌川広重は、『江戸高名会亭尽(えどこうめいかいていづくし)』という作品を残しています。30にも及ぶ有名料理店の座敷の様子、建物の外観や庭園などが、風景画の名手・広重ならではの描写で表現されています。
風景画もまた、地方の人々に江戸の名店を伝える、重要な役割を果たしたのです。

そして、『江戸高名会亭尽』に描かれた名店が今も東京・王子に存在しているという。気になった方はぜひ調べて、江戸から続くその味を堪能してみてはいかがでしょうか?
「江戸っ子は三代続かなければ江戸っ子ではない」という言葉があるように、生粋の江戸町民として認められるためには、3代続いていることが必要条件とされていました。
江戸時代から連綿と味を守りつづけるこれらの名店こそ、真の東京名物として今、知らしめたい味と言えるかもしれません。

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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