2019.05.15. | 

[Vol.3]家族でつくり、家族で伝える梅干しの魅力 – 紀州福の梅本舗みやぶん –

2019年に入り、「紀州福の梅本舗みやぶん」の森本奈津子さん、健太さん姉弟は、関東を飛び出して地方のマルシェに出店したり、公式サイトをリニューアル予定など新しいことにチャレンジしています。この先、どんな展開を考えているのでしょうか。

[Vol.1]家族でつくり、家族で伝える梅干しの魅力 – 紀州福の梅本舗みやぶん –

[Vol.2]家族でつくり、家族で伝える梅干しの魅力 – 紀州福の梅本舗みやぶん –

梅干しのあるリアルな
食卓を再現したい

東京近辺のマルシェに出店しながら、オンラインで販売している姉・奈津子さんと弟・健太さんが、お店に携わり始めた時から大切にしている思いがあります。それは、梅干しのある食卓を増やしたい、ということ。

 

奈津子さん:梅干しは日本の代表食品のひとつです。でも、最近はご飯を自宅で食べない人たちが増えているので、梅干しを食べる機会も少なくなっているんですよね。そこで私達は、梅に触れる環境を提案していきたいと考えています。例えば、今進めているのが、日本人ならではの食卓を楽しんでいただけるイベントや、お酒に合う梅干し料理のイベントです。

Webサイトには、家庭でも簡単にできる梅干しを使ったレシピを載せる予定ですが、毎日忙しく、自宅で試す時間のない方も多いと思います。だけど、仕事や家事で疲れている方々にこそ、梅干しを食べてもらいたいと思うんです。そのまま一粒、丸々で食べるのもいいですが、私達が発信した情報によって、こんな使い方もあるんだ!」と知ってもらって、普段の生活の中でふと食べたくなるものになればいいなって。

 

健太さん:マルシェでは梅干しそのものを試食していただいていますが、料理になった梅干しを提供できる場があれば、自宅で料理をしない方々にも梅干しをもっと身近に感じてもらえると思うんです。だから、今後はちょっとずつ、いろんな梅干しの実体験ができるリアルな食卓を展開していきたいと考えています。

実は和歌山のソウルフードに、「おかいさん」と呼ばれるほうじ茶がゆがあるんです。和歌山ではどこの家にもそれぞれの味があって、お腹が空いてキッチンに行けばそれがある、みたいなものなんですけど、すごく体に優しい主食で、梅干しとの相性も抜群なので、そのうち、おかいさん食べれてもらえる機会を作りたいなと思っています。

「ご飯のお供」から調味料へ

梅干しの概念を変えていきたい

さらに、そのイベントを通して発信していこうと思っているのが、梅干しの概念を変えること。これまで「ご飯のお供」という存在だった梅干しを、調味料として新しく提案していく試みです。炊き込みご飯に入れたり、和え物にしたりといった使い方はもちろんのこと、今年に入ってからは、調味料としての梅も展開し始めています。その一つが、「うめまよ」。

 

健太さん:「うめまよ」は、マルシェで隣り合ったクラフトマヨネーズ屋さんとのコラボで生まれた商品で、2種類あります。

はちみつに漬けた味梅を使った「あじまよ」はブラックペッパーが効いているのでマスタードっぽく、サンドイッチやハンバーガー、サラダにオススメです。しそ梅を使った「しそまよ」は塩分の高い梅干しを使っているので、唐揚げやステーキ、カルパッチョに添えるとすごく合いますし、ゆで卵と混ぜるだけで簡単にタルタルソースにもなるんです。

 

さらに目下、Mo:takeのヘッドシェフ・坂本英文さんのプロデュースで、料理にかけて食べられる梅のドレッシングのようなもの、も開発中なんだそうです。正しく理解したいのは、ドレッシングの「ようなもの」であって、ドレッシングではない、ということ。

 

健太さん:ドレッシングという名前にしちゃうと、サラダにかけるもの、と思われてしまうと思うんです。でも今作っているものは、鶏などお肉を焼いたものにかけてもいいし、茹でたパスタにかけてもいい、いろんなものにかけられる、梅の調味料として使ってもらいたいんです。どんなネーミングにしようか思案中なので、ぜひ完成を楽しみにしていてください。

 

奈津子さん:これからは、「うめまよ」やドレッシング的なもののように、「みやぶん」の梅干しを使った商品がもっと増えていくと思っています。例えば「みやぶん」の梅を使った和菓子なども可能性があると思っていますし、私たちが考えたこともないような、未知数な可能性がまだまだ梅にはあると思っています。

いつか、自分が育てた梅で

梅干しを作りたい

2018年、台風24号による塩害がニュースになりました。海水が台風などで巻き上げられて運ばれ、塩分が付着して植物が枯れたり、電線がショートしたニュースを見た記憶がある人もいると思います。

 

奈津子さん:当時の和歌山では、ミカンなどの被害が大きかったのですが、梅は大丈夫だろうって。でも、本来梅の花が咲くはずの1月末に、花の咲いていない木がたくさんあったんです。農家の人に「なんでだろう」と聞いたら、花が咲いていないのは、海風が吹き付ける場所にある木だったんです。塩分を含んだ海風をたくさん浴びてしまって「下手したら、この木はもうダメだねえ」って。

実は私は、自分たちで梅を育てていないことがずっとコンプレックスでもありました。今回、自然の影響というものを目の当たりにしたことや、後継者がいなくて続けられないという梅農家さんが少なくないという現状もあり、梅を実から作ってみたいという気持ちが今、むくむくと湧いてきているんです。いつか、自分たち育てた梅で、梅干しを作りたいと思っています。簡単なことではないですけどね。

 

梅の木を育て、梅の実を収穫する。その梅を使い、梅干しを作り、販売する。さらに、梅干しを使った料理や、調味料としての梅干しを提案していく。

梅を漬け、販売するところから始まった森本家の梅干し作りは、その上流へも下流へも、大きな広がりを見せ始めています。5月中には、公式サイトもリニューアル予定。サイトで、SNSで、そしてマルシェで、「紀州福の梅本舗みやぶん」のこれからのさらなる飛躍を、楽しみにしてます。

 

 

– Information –

「紀州福の梅本舗みやぶん」

https://www.miyabun-ume.com

オンラインショップ:https://www.miyabun-ume.com

Facebook:https://www.facebook.com/miyabun.ume/

Instagram:https://www.instagram.com/miyabun_ume/

平地 紘子

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身