鶏の照り焼き基本のレシピ
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<材料 1〜2人分>
・鶏もも肉 1枚(約300g)
【タレ材料】
・醤油 大さじ1と1/2
・みりん 大さじ1と1/2
・酒 大さじ1と1/2
・砂糖 大さじ1/2
・バルサミコ酢 大さじ1/2
<下準備>
①鶏肉は余分な脂や皮を切り落とし、肉の厚みを調整するため、肉が厚い部分に切り込みを入れる。
②両面に軽く塩(ひとつまみ程度)をする。5分ほどおくと肉の臭みを含んだ余分な水分が浮き出るので、キッチンペーパーで丁寧に拭き取る。
③皮を丁寧に伸ばし成形して、30分ほど常温においておき、皮の表面を乾かす。(扇風機を使って乾かしても良い)
<作り方>
④肉を乾かしている間にタレを作る。先に酒、みりんを鍋に入れ、強火にかけてアルコール分を飛ばすように煮詰める。
⑤醤油と砂糖を鍋に加えて煮詰める。沸騰し、小さかった泡が大きくなったらしっかりと煮詰まった状態。煮詰まったらバルサミコ酢を加えてひと煮立ちさせ、火を止める。
⑥鶏肉を焼く。皮面がしっかりと乾いたら、フライパンを中火で熱し、ほんの少しだけ油を引いて(テフロンパンだったら引かなくてもいい)、皮面を下にして、平たい鍋ぶたや鍋底で鶏肉を少し押さえつけながら焼く。
⑦そのまま3〜4分焼き続ける。途中で鶏の皮の脂が出て来るので、鶏肉を一度フライパンから取り出し、油をしっかりと拭き取り(フライパンについた焦げ目はそのまま)、もう一度皮面を下にして焼く。皮面の凸凹が平らになるように押さえつけるが、焼き目にムラがある場合は、その箇所をトングなどで押さえつけながら焼いて、焼き色を均一にする。
⑧鶏肉をひっくり返して、身側を焼く。タレを加えてまず身側にしっかりとタレを絡ませて、その後スプーンやレードルなどで皮側にタレをかけるようにしながら、タレが少なくなってきたら弱火にする。3分ほど焼き続ける。
⑨食べやすいように切り分け、盛り付けて完成
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ここから、最高においしい鶏の照り焼きに仕上げるため、分からないことや気になること、ドムさんに細かく教えていただきます!
冷めても美味しい!アレンジを加えた鶏の照り焼き
小倉:鶏の照り焼き、大好きです!和食の定番メニューは色々ありますが、照り焼きを選ぶことは多いですね。ただ、お店で食べるとおいしいのに、自分でつくると肉が固くなったりタレが焦げたり、難しいなと感じています。
ドムさん:今回のレシピは、冷めても美味しく、ぺろりと食べられる作り方なので、ぜひ覚えてほしいです。少し洋風なアレンジも加えているので、お家で作るといつもと少し違う味で、ご家族も喜ばれると思いますよ。
小倉:照り焼きを洋風にアレンジ!楽しみです。
どのひと手間にも意味がある!下準備は、きれいに、丁寧に
ドムさん:では、肉の下準備からいきましょう。冷蔵庫から出したら、皮を下にしてまな板に置きます。いらない脂を取り、白い筋を切って、肉の厚さが均一になるよう、厚みのあるところに切り込みを入れていきます。
小倉:どうして平らにするのですか?厚いところと薄いところ、両方あっても美味しいような。
ドムさん:焼いた時に均一に火が通るようにするためです。厚さが違うとムラが出て、焼き上げるタイミングが難しくなります。あまり厳密にやるとキリがないので、押さえつけるようにしてなるべく平たく。端っこの余分な皮も取っておくと、きれいな仕上がりになります。
ドムさん:厚さが調整できたら、3本指でひとつまみ程度、軽く塩をします。
小倉:下味をつけるんですか?
ドムさん:いや、これは味付けではなく、肉の中から余分な水分を出すための塩なんです。5分ぐらい置くと、浸透圧で水分が出てくるので、丁寧に拭き取ります。
小倉:ひとつまみの塩で5分待つ。難しくはないのですが、もし省略するとどうなりますか?
ドムさん:塩をすると、水分と一緒に鶏肉の臭さが浮き出てくるのです。なので、塩をしないと、鶏臭さがそのまま残ってしまいますね。特にお弁当に入れた時など、冷めると鶏の匂いが目立ちやすくなるので、やったほうがいいです。
このあと説明すること全てに言えるのですが、やらなくてもいいのだけど、やったらよりいいよね、という方法を紹介します。意味を学んだら、アレンジは自由です。まあ、全部省いたら僕に教わる意味がなくなっちゃいますけどね(笑)。
小倉:ひとつひとつのひと手間に、理由があるのですね!最高に美味しい作り方を、今日は学んで帰ります。
パリパリに焼き上げるための準備、「乾かす」
ドムさん:出てきた水分を拭き取ったら、成形して乾かします。ここは焼き上がりに影響する重要なポイントです。
小倉:成形して、乾かす・・・?もう少し詳しくお願いします!
ドムさん:まず、皮をしっかり引っ張って、きれいに形を整えます。ここで形を整えておくと、焼き上がりもきれいな状態を保ちやすくなります。大きめに広げてバットなどに置き、30分ほど乾かします。
小倉:焼く前にお肉を乾かすとは、あまり聞いたことがないです。どういう意味があるのでしょうか?
ドムさん:事前に乾かしてから焼くと、皮の水分が飛び、皮がパリパリに仕上がります。レストランでは、扇風機で風を当てたり、鶏以外の肉も冷蔵庫で何日も乾燥させたりしますね。
小倉:本格的な調理手順のひとつなのですね。でも今回は照り焼きですよね。最終的にタレで煮るとしっとりしてしまうのでは…?
ドムさん:確かに、表面をパリパリにする手法は、焼いて仕上げるチキンソテーなどに最適で、鶏の照り焼きではやらないレシピの方が多いです。でも、パリパリにすると、後で加えるタレの乗りとか食感が全然違ってきます。間違いなくやって損はないです。
小倉:食感に差が出る!楽しみです。あと、ちょっと気になったのですが、30分も室温に置いて大丈夫でしょうか?腐ったりしませんかね・・・。
ドムさん:常温に戻すぐらいの時間なら全然大丈夫ですので、ぜひやってください。ひとつは水分を飛ばすためですが、もう一つ、常温に戻した方が焼いた時に均一に火が入りやすくなるんです。30分も時間を置けないようなら、扇風機の前に置けば10分ぐらいで大丈夫です。時短になります。
みりん風調味料もOK。でも、本物のみりんは味に差が出る!
ドムさん:乾かしている間に、タレを準備しましょう。タレの材料は醤油、みりん、酒、砂糖、バルサミコ酢です。
小倉:バルサミコ酢?イタリアンの調味料ですよね。
ドムさん:私がやっている弁当の店には、和と洋をミックスするというコンセプトがあるので、バルサミコでちょっと風味を加えています。
小倉:先ほど仰っていた「洋風なアレンジ」ですね。いい香りがします。
ドムさん:では、まず酒とみりんを小鍋に入れて、強火でアルコール分を飛ばします。
小倉:みりんは「みりん風調味料」でもいいですか?家にあるのはたしかみりん風だったと思います。
ドムさん:僕は、みりん風調味料でもまあいいかなと思います、ご家庭でできる範囲で再現してもらえれば。
ただ、醤油、酒、みりんといった調味料のうち、どれか一つこだわるとしたら、みりんにこだわることをすすめます。ちょっと頑張って値段の張るみりんを買うと、味がかなり変わります。
小倉:なるほど、違いが出るのですね!「それでもOK」っていう気軽さと「本格的な味」にこだわる方法、両方知っておけるのはいいですね。
ドムさん:そうですね!アルコールが飛んだら、醤油と砂糖を加えます。最初は強火、砂糖が先に焦げてしまわないよう混ぜながら溶かし、沸騰したら中火にして煮詰めていきます。
小倉:タレは、肉を焼いたフライパンに直接入れて絡めるのかと思っていました。先に作っておくのですね。
ドムさん:焼いている時はどうしてもバタバタするので、準備しておくに越したことはありません。どうしても面倒だという人はその場でやっていただいてもいいのですが、僕のレシピでは、タレの完成形を100%としたらあらかじめ80−90%煮詰めておいて、最後に焼いた肉に絡めながら完成させます。
小倉:いい匂いがしてきました。
ドムさん:煮詰めるポイントですが、小さく沸騰していた泡が、とろみがついて泡がぽこぽこと、明らかに大きくなってきます。
酸味でも甘味でもなく、風味。バルサミコを使う理由
ドムさん:泡が大きくなってから弾けるぐらいになったら、バルサミコを加え、一煮立ちしたら火を止めます
小倉:バルサミコだけを最後に入れるのはどうしてですか?
ドムさん:バルサミコの香りを活かしたいので後に入れます。香りは、火を入れると飛んでしまうので。バルサミコは糖分があるので、煮詰めるとトロトロに甘くなりますが、ここでは甘さよりバルサミコの風味を生かしたいからです。
小倉:バルサミコがなかったら、他の酢でも大丈夫ですか?
ドムさん:バルサミコがなければ、酢は入れなくていいと思います。
バルサミコ酢は、酸味だけでなく果実感のある甘味もあり、独特の風味があります。今回のレシピは、バルサミコの風味を効かせた、基本の照り焼きソースに近いアレンジです。酸っぱくしたいわけではないので、酢の酸味は特にいらないかなと思います。
小倉:なるほど、バルサミコはこのレシピでもっとも大事な、肝となる調味料なのですね!よくわかりました。
ドムさん:これで、照り焼きのタレのベースができました。
次回はいよいよ、お肉を焼いていきます!美味しく焼くコツを、ドムさんにたっぷり伝授していただきます。お楽しみに!
次回は8/11(木)に公開予定です。