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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.02.07. | 

[Vol.2]「食」の世界を通じて、生き方の多様性を届けたい。 食卓写真家/オンラインスクールHarmo 丹下恵実さん

大学で栄養学を学び、管理栄養士の資格を取った丹下さんは卒業後、紆余曲折を経てフリーランスカメラマンとしてのキャリアをスタートしました。「カメラを通して食の大切さを伝えていこう」と決め、「食卓写真家」としての仕事がようやく軌道に乗ってきた中、どのような経緯でHarmoを運営することになったのでしょうか?
Vol.2は、Harmoの立ち上げから、現在の活動の様子までお伝えします。

「働き方とか、生き方みたいなところを含めて」、自分の体験を伝えたいと思った

−−フリーランスの「食卓写真家」として新たな活動をスタートした丹下さん。順調に実績を積む中で、Harmoの運営を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

丹下さん:きっかけはコロナでした。Harmoを立ち上げたのは2年半前ぐらい、コロナ禍が始まって一番世間がざわついていた、2020年の春です。現場に出向いて撮影するカメラマンの仕事が、2、3ヶ月の間、本当にゼロになったんです。これはまずい、と思った時、ずっとやりたいと考えていた、自分が社会に出て感じたことを伝えるコミュニティを始めるなら今なのでは?と思いました。

 

−−社会に出てから感じて、伝えたいと思ったこととは、具体的にはどういうことですか?

丹下さん:「食」に関することと、キャリアに関することです。

管理栄養士は食を通して健康を追求する職業ですが、ヴィーガンや食品添加物について、学校で質問しても明確な答えが返ってきませんでした。特にヴィーガンは、当時あまりいいイメージがなく、否定されることが多くて。卒業してから知ってみると、もちろん人にはよりますが、やっぱりヴィーガンが体に合う人もいます。健康といっても栄養価だけではなく、色々あるんだなと。教えられたことと、実際自分が目にして感じるものは、結構違うんだなと思いました。

また、学校で学ぶことはどうしても栄養素やカロリー計算がメインで、食の生産者のことや食料廃棄の問題などは学ぶ機会があまりありませんでした。知った上でどう選択するかは自由ですが、やっぱり知るということは大事だと思います。

 

−−栄養学も大切だけれども、もっと「食」を幅広く知るのが大事だということですね。もう1つのキャリアに関することとは?

丹下さん:私は周りが反対する中でフリーランスのカメラマンになりました。この道を選んでみたら自分の性格に合っていたし、今、すごく楽しく仕事ができています。もちろん向き不向きはあって、フリーランスを推しているわけではないのですが。

管理栄養士の仕事はとてもハードです。病院や保育園に就職すると、きつい割にお給料が安いというギャップに悩んで、転職後は管理栄養士と全く違う職業に就く人も多いです。それもちょっともったいないなって。もっと可能性はあると思うので。働き方とか、生き方みたいなところを含めて、伝えたいと思いました。

 

コロナ禍での立ち上げ。打ち合わせも授業もZoom開催

−−社会に出て感じたことを丁寧に捉えて、栄養学に関わる人たちに伝えたいと考えたのですね。Harmoの立ち上げは、発起人である丹下さんが独自に進めたのでしょうか?

丹下さん:ひとりではやはり不安だったので、SNSで声を掛けました。自分はこういう仕事をしていて、コミュニティではこういうことを伝えたい、と。興味を持って賛同してくれた2人(津守那哉さん、森美沙さん)と一緒にHarmoを立ち上げました。コロナ中はずっとオンラインでやり取りをしていたので、直接会ったのは何ヶ月か経ってからでしたが。

 

−−コロナ禍で、スクールではどのように授業を開催したのでしょう?

丹下さん:まず、毎月1回、講師の方をお招きして仕事内容ややりがい、どうしてその仕事を選んだのかなどを話してもらう授業を、Zoomで開催しました。色々な働き方があるということを伝えたかったし、様々な職業の人の話を聞くのが大事だと思ったので、管理栄養士に限らず、色々な人を呼んで開催していました。

毎度私から連絡し、オファーしていました。カメラマン時代、本当に様々な人との出会いがあったので、その中から声を掛けさせていただいている感じです。職種でいうと、建築デザイナーとか、海苔漁師さん、モデルとか俳優の方もいました。

 

リアルイベントは、全国のメンバー同士の交流が楽しめる

コロナが落ち着きを見せた昨年からは、月1回のオンラインの講座以外にリアルイベントも開催している、と丹下さん。例えば、どのようなイベントを開催しているのでしょうか?

丹下さん:1DAYカフェというイベントを年1回行っています。チームを作って、会場探しからメニュー開発まで自分達でやるカフェの開催を、全国で10地域ぐらいでやっています。すごく人気のある活動です。

「カフェをやりたい」という子でも、管理栄養士だけど将来カフェをやりたいという人もいれば、建築デザインに興味があってカフェの空間を作りたいという人もいます。色々な人がいるので、メンバーになって楽しんでもらえたらいいなと思います。

 

−−メンバーさん同士の交流もあることで、楽しみにしている人も多そうですね。他にはどのようなイベントがありますか?

丹下さん:福岡の糸島市に棚田があるのですが、田んぼを少しお借りして米づくりをする「糸島棚田PJ」を行っています。里山保全活動として力を入れているイベントです。

あとは、各種、食のイベントに、Harmoでチームを組んでスタッフ参加したりもしています。たとえばヴィーガン系のイベントでは、アレルギーに関する質問も多くいただきます。答えられる人はなかなかいないので、質問にも対応できるよう管理栄養士さんと学生さんでチームを組んで参加しています。

 

−−栄養学のプロフェッショナルである栄養士さんならではの活躍の場ですね。

 

学校では学びきれない様々な「食」の世界を知ることができるHarmo。昨年8月には、栄養士さんの働き方にも焦点を当てたイベント「食べる・暮らす・はたらく」展を開催しました。次回、詳しくお伝えします。

 

次回は2/9(木)に公開予定です。

 

– Information –
食卓写真家

Harmo
「食」の体験型オンラインスクール
公式サイト/Instagram/Twitter

ライター / 谷井 百合子

会社員からライターへ転向。腰の軽さで興味に乗っかる行動力で、ビジネストレンドやブックレビュー、食や旅にも題材を広げている。 目についた野菜を連れて帰り、レシピをググって調理するのが楽しいこの頃。

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文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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