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コーヒースタンドを起点に場づくりを行う人たち
2022.04.14. | 

[Vol.2]「あのカフェどこに貸したの?」と聞かれる。そのたびに言う「貸したわけじゃない。共につくっていくんだ」【RJオフィス岸田×Yuinchu小野】

ゆりかもめ「テレコムセンター駅」から徒歩5分の位置にあるスモールオフィスビル「the SOHO」。その玄関口となる1階のカフェ・SWTCH STAND ODAIBAをテーマに、Vol.1の記事につづき、the SOHOの管理会社である株式会社RJオフィスの岸田浩治さんと株式会社Yuinchuの代表・小野正視が対談を行いました。

カフェを起点に、ビル全体の価値を上げる。「ビジネスモデルとして確立させたい」

湾岸エリアのスモールオフィスとして、約360室、1,500人の入居者を抱えるthe SOHO。コーヒースタンドやカフェを軸とした場のプロデュース事業も行うYuinchuと、RJオフィスが手を組み、その1階に入るカフェをリニューアルすることに。

「SWITCH STAND ODAIBA」の名で、ビル内の空きテナントを利活用したカフェ併設型のレンタルスペース・撮影スタジオとして、今年2月に新たに始動。

Vol.1では、YuinchuとRJオフィスが合意に至った経緯、スモールオフィスにおけるカフェや飲食の存在意義などについて語り合いました。Vol.2では、前回の続きとして、どのようにカフェを盛り上げていくか、というテーマから始めていきます。

 

小野:前回の記事では、テナントとカフェのコラボレーションについて話しました。たとえばカフェをひと月に1回、スナックとして開いて、オーナーをテナントさんから公募するといったものが挙がりましたが、これはとてもいい案だと思います。
カフェが盛り上がるという点でも良いですが、それを通して、こちら側がテナントさんの情報や性格を知ることができる、という点もメリットだなと思いました。
テナントさんの個性を知ることで、それを今度は「サービス」として活かしていける。カフェの客層のほとんどがこのビルの入居者であるからこそ、入居者さんの好みに合わせた、普通のカフェより解像度の高いサービスを提供できるんじゃないかと。
そういう意味では、もっとダイレクトに、たとえば入居者さんにアンケートを取る。正の字が多かった料理を提供するとか、そういうこともできるのかなと感じました。

 

岸田さん:面白いですね。ターゲットが限定的だからこそ、解像度を上げる。スモールオフィスビルに入るカフェならではかもしれません。
そうやってカフェが盛り上がっていけば、最終的にはこのSWTCH STAND ODAIBAがthe SOHOのアイコンになる。そしてゆくゆくは、RJオフィスの施設プロモーションの拠点になってほしいと思います。

 

小野:もっと言うと、いま僕たちがやっていることを、ビジネスモデルとして確立したいですよね。カフェを装置とした施設、建物全体の価値の向上。RJオフィスとYuinchuが企業として、ここを起点にどういう文化を作っていくか。それを見て、他の企業さんが「あ、このモデルに挑戦したい」と思ってくれたら嬉しいです。

 

岸田さん:さらに言うと、これが成功するかどうか、という点は二の次でもいいのかもしれません。こういう挑戦的なことをやっているという事実を、知ってもらうだけでいいのかも。
よくいろんな会社さんから「あのカフェどこに貸したの?」と言われるんですよ。でもそのたびに「貸してるわけじゃない」と言っている。Yuinchuさんとは共につくっていっているわけで、今後もそのように言い続けたいです。

 

小野:そう言っていただけると、とても嬉しいです。RJオフィスさんとYuinchuが、カフェを起点にどういう文化、経済圏をつくっていくのか、周囲の方々にも見届けてもらいたいです。

 

”大義”と”経済”のバランス。「大義が良いものなら、経済は付いてくる」

岸田さん:実際、ビルの施設価値を上げることだけを目標にするなら、家賃を上げればいい話なんですよね。とくに1階であれば、そもそも価値は高いから、さらに引き上げることで、施設価値が向上したように見せることはできる。でもそうすると、ビル全体の色というか、バランスというか、大事なものが損なわれてしまうんです。

 

小野:「1階の価値が高いから、その建物の価値が高くなる」という文化から、「その1階の価値をさらに向上させて、それを建物全体に振っていく」という文化にできたらいいですよね。ここでいうと、やっぱりカフェの価値を上げること。難しい挑戦ですけど。
結局のところ、経済と大義のバランスが大事なんですよね。もちろん、言うまでもなく経済は大事で、それが6割から7割ほどはないと、施設自体を維持するのが難しかったりする。でも一方で、「こうなってほしい」という大義がないと、これもやっぱり難しい。

 

岸田さん:むしろ、本当に大義が良いもので、それが上手くいっていれば、経済的なことは後から付いてくるはずですからね。

 

小野:その経済と大義のバランスを突き詰めた先にある、岸田さんの最終的なゴールみたいなものって、どういった感じですか。

 

岸田さん:まあやっぱり、ここをひとつの文化圏、経済圏にしていくっていうところと、最終的には街、というかお台場に貢献していきたいというところですね。
コロナ禍に入る前からお台場への人の入りは減っている印象でしたけど、ここ2年間で、やっぱりさらに減った。この場所が地域に寄与するためのアイコンになって、街の人や周辺施設から見て「ここちゃんとやってるな」「なんか楽しそうだな」となったらいいなと。
実際、たまに地域の方が、お客さんとしてお昼時に来てくれたりするんですよ。ここのカフェとか、中庭のキッチンカーとかに。そういう光景がもっと見られるようになると嬉しいです。そのためにはまず、カフェからthe SOHOを盛り上げること。Yuihchuさんには期待しています(笑)

 

小野:頑張ります。個人的にも、このSWTCH STAND ODAIBAは、僕が若いときに憧れたカフェって感じなんです。多分、Yuinchuの人間じゃなかったら、店長やりたいと名乗り出てると思います(笑)。だから思い入れはとてもあります。これから頑張って、共に盛り上げていきましょう。

 

Vol.1、2の2回にわたって2人が語った、the SOHOにおけるカフェ・SWTCH STAND ODAIBAのあり方。カフェを”カフェ”として終わらせず、施設全体を盛り上げる。最終的には、地域の人々、街全体に寄与していきたいという想いも共通のようです。

また、もうひとつ重要な要素として上がった経済と大義の両立。小野は以前、自身のインタビューでこの”大義”を「文化的価値の向上」と表現し、その重要性、一方で成し遂げることの難しさも語っています。岸田さんと2人だからこそ、そうした困難なビジョンにも、近付いていけるのかもしれません。

 

ーInformationー

the SOHO
WEB:https://thesoho.net/

HYPHEN TOKYO
WEB:https://hyphen-tokyo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hyphen_tokyo/

GOBLIN.
WEB:https://goblinspace.jp/

ライター / 清水 翔太

横浜市在住。大学卒業後、官公庁にて約7年勤務。その後ライターに転身し、オウンドメディアなどを中心に執筆活動をおこなっています。

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