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コーヒースタンドを起点に場づくりを行う人たち
2022.02.03. | 

[Vol.1]コーヒースタンドが「経済」と「想い」をつなぐ。Yuinchu代表・小野正視が語るHYPHEN TOKYOの使命

コーヒースタンドやカフェを軸とした場づくり、場のプロデュース事業を展開するHYPHEN TOKYO。その中心人物にして、株式会社Yuinchuの代表を務めるのが、小野正視。改めてHYPHEN TOKYOとはどういうものか、また激動のこの2年間で気づいたことや今後の展望などについて、インタビューを行いました。

非日常から日常へ。HYPHEN TOKYOが生まれた瞬間

コーヒースタンドの企画・プロデュース、食料品・生活雑貨の企画・販売、複合的な場の活用、この3つを柱とし、カフェの立ち上がり段階から開業支援や運営サポートまで行っているHYPHEN TOKYO。

これまでに、自社運営のOPEN NAKAMEGUROをはじめ、ホットサンドの提供をメインとした日本橋にある・mm、バスケコートが併設された宿河原のコーヒースタンド・ONE_THROWなど、個性あふれる店舗をサポートしてきました。そもそもは、レンタルスペースとケータリング事業から始まったYuinchu。現在に至るまでの変遷について語ってもらいました。

 

小野:初期のころは「GOBLIN.」というレンタルスペース事業と、「Mo:take」というケータリング・食に関する事業を柱としていました。非日常としての彩り豊かな空間演出、食の体験などをメインに展開していたんですが、一方で人々の生活に浸透するようなデイリーさはなかった。

レンタルスペースもケータリングも、利用者の目的が決まっているサービスです。そうした中で、「ふらっと来ちゃった」「ちょっと仕事したいな」といった広いニーズに応えられる、予定不調和な場を作りたいな、と思うようになりました。

そのようなタイミングで「日常的にコミュニケーションができる場所が欲しい」といったオーダーが、デベロッパーさんやオーナーさんから寄せられるようになったんです。

自分の欲求とニーズがマッチしたこのタイミングで、新しい事業を進めていこうと。そして、もうちょっと人々の生活に近いところで場を解放していきたい、と思いを突き詰めた結果、「カフェ」というキーワードに行き着きました。この辺りが、HYPHEN TOKYOの始まりです。

 

導き出した「場×コーヒースタンド=カフェ」という式。

現在では、コンセプトとして「コーヒースタンドを起点とした場作り」をうたっているHYPHEN TOKYO。「カフェ」と「コーヒースタンド」では、似たような意味合いを持ちつつも、一般的に持たれるイメージは異なります。この違いについて、小野は「空間」と「機能」という2つの言葉を用いて説明してくれました。

 

小野:まず僕の解釈でいうと、カフェは空間込みのイメージで、コーヒースタンドはあくまで装置、機能といったイメージです。つまり、日常を演出できる場としてのカフェに対し、そのカフェがカフェであるための機能というのが、コーヒースタンドなんです。

逆にいうと、コーヒースタンドさえあれば、それが公民館であれ家であれ「カフェ」という空間になります。もっと極端な言い方をすると、街の入り口にコーヒースタンドがあれば、街全体がカフェになる。「周辺の場×コーヒースタンド=カフェ」という式なんです。

このように「カフェ」を「コーヒースタンド」という最小単位に分解して考えることで、たとえば「焙煎を自らして美味しいコーヒーを作りたい」といったミクロなニーズから「コミュニケーションスポットとして空間を広く活用したい」といったマクロなオーダーまで、広く応えられるようになると考えたんです。

 

小野:コーヒースタンドというのは、常に「余白」があるんですよね。どの場所にも染まり、それを置くことで空間全体が「カフェ化」するという意味で、拡張性もある。

そしてこれは事業をやりながら分かってきたことなんですが、場としての余白だけでなく、経済・経営的な余白もあるんです。

たとえばカフェをオープンしようと思ったら、当然ながら投資額もランニングコストもかかるから、腹を決めてやらなきゃいけない。でもコーヒースタンドであれば「ミニマムでいいから一旦やってみよう」となる。

カフェというものが広く浸透している概念だからこそ、「月額費用はこれくらいで」「敷地は、人件費は…」といろいろ想像できてしまう。その反面、コーヒースタンドにはある意味での不透明さがあって、ハードルが低く感じられる。

コーヒースタンドという言葉の持つイメージは多少の気軽さがあると感じていて、カフェというと、どちらかといえば空間ありきで考える。結果的にコーヒースタンドを置けば、その場所が「カフェ化」すると考えているので、最初のきっかけは少しでも入りやすい方が良いなと。

 

「チェーン店と個店の距離を埋める」それが、HYPHEN TOKYOの使命

紆余曲折を経て、徐々に輪郭を帯びてきたHYPHEN TOKYO。これまでOPEN NAKAMEGUROや宿河原のコーヒースタンド・ONE_THROWなど、その街に溶け込みつつ、個性を放つ店舗を生み出してきましたが、一方で課題も存在するといいます。

 

小野:個性豊かな個店のように、そこに関わる人のアイデンティティで変化が生まれる仕組みをつくること。これは、HYPHEN TOKYOのモットーのひとつです。ただその一方で、やはりチェーン店のように、店舗設計や運営方法を一定のフォーマットで固めることの重要性も、この2年間を通じて強く感じるようになりました。

チェーン的な基盤を、最低基準の価値を、ミニマムでつくってあげる。その上で、個性を乗せる、というかたちです。一定の仕組みの上に成り立つからこそ、個性というものが真価を発揮する。そういう構図を取らないと「経済」と「想い」がちぐはぐになってしまいます。

それをわかりやすい形にしたのが、現在のHYPHEN TOKYO。だからイメージとしては、チェーン店でつくっていく価値や安定感と、個性あふれる個店の乖離を埋めるソリューションがHYPHEN TOKYO、という感覚でおります。

 

次回は、2月8日に公開予定です。

今回のインタビューでは、HYPHEN TOKYOの成り立ちや使命について、その苦悩とともに語ってくれた小野。次回のインタビューでは、この2年間実際に舵を切りながら何を感じてきたのか、また今後の展望についても伺います。

そもそもHYPHEN TOKYOが立ち上がったのは、2019年の末。すぐに新型コロナウイルスの猛威が振るうなど荒波がやってきましたが、四苦八苦しつつも今日にいたるまで、着実に事業を進めてきました。このあたりの過程について、率直に語っていただきます。

 

– Information –

HYPHEN TOKYO
WEB:https://hyphen-tokyo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hyphen_tokyo/

ライター / 清水 翔太

横浜市在住。大学卒業後、官公庁にて約7年勤務。その後ライターに転身し、オウンドメディアなどを中心に執筆活動をおこなっています。

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