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小さな循環を可視化する人たち by FARM SPOT
2026.04.13. | 

読む・噛む・まちを知る。食でつながる小さな循環

Mo:take MAGAZINEでは、その視点から“小さな循環を可視化する人たち”の取り組みを追いかけています。今回は、コンポストを起点に場づくりを行うプロジェクト「FARM SPOT」メンバーがお届けする、小さな循環の現地レポートです。

都市の中で「土に触れることで、まちとの距離が少し近づく。」

そんな体験を届けてくれるのが、ニューマチヅクリシャが手がけるプロジェクト『つちとまちプロジェクト』です。

昨年、「つちとまちプロジェクト×FARM SPOT」コラボイベントのレポート」でもお届けしてきた彼らの取り組みが、2026年も開催!今回は、“読む・噛むして、まちを知る”をコンセプトとした「ヨム・カム・マルシェ2026」として、「 J Smile多摩八角堂」や公園、商店街といった“まち”の各所を舞台に展開されました。

今回は、そんなイベントの様子をお届けします。

“まち”がつながる、イベントのはじまり

「ヨム・カム・マルシェ2026」は、土と食、まちのことを再発見できる色々な体験コンテンツを味わえる特別な日。会場は、多摩ニュータウンにある「J Smile 八角堂」「豊ヶ丘商店街」「豊ヶ丘南公園」など、いくつかの場所にまたがります。

当日は、朝からあいにくの雨。それでも、いまか今かと会場に集まってくるお客さんの姿がありました。

「そろそろ始まりますね!」

笑顔をのぞかせるお客さんの声が飛び交う中、『つちとまちプロジェクト』の寺田さん、杉山さん、塚原さんをはじめ、出展者の皆さんが笑顔で準備を進めていきます。

雨の中でも、「J Smile八角堂」のまわりにはゆっくりと人が集まりはじめていました。 並んでいるのは、多摩市内や近郊の農家さんたちが持ってきた野菜たち。 どれも、土の気配をそのまま残しているような、生命力を感じるものばかりです。

 

観て、食べて、学ぶ。

屋内のコンテンツは『つちとまちプロジェクト』による映画上映会。 上映されたのは、 『食べることは生きること 〜アリス・ウォータースのおいしい革命〜』です。 「We are what we eat(私たちは、食べたものでできている)」 このドキュメンタリー映画をとおして、 食べることは、ただの消費ではなく、 どんな価値観で暮らしていくかという選択でもあるという、 そんなメッセージが ゆっくりと観ている人の中に伝わっていくようでした。

そして今回の上映会は、その余韻をそのまま“食べる”体験へとつなぐ食事付きの鑑賞会!そのメニューは、前回のイベント「つちとまちプロジェクト×FARM SPOT」のコラボイベントでMo:takeがプロデュースし、参加者に驚きを与えたオープンサンドです。

 

上映後に『つちとまちプロジェクト』のメンバーで、J Smile多摩八角堂のベーカリー「moi bakery」を営む杉山さんが参加者の皆さんに出来立てのオープンサンドをお届けすると、会場では映画の余韻に浸りながらの楽しい食事の時間がはじまりました。

循環野菜とドライドレッシングの“食べられる土”を使ったオープンサンドでの食体験は、学ぶこと、食べること、そして人や土とのつながりを感じる時間でもありました。

知ることと、食べることが自然に重なり合う時間は、参加者の皆さんにとって印象深い体験になっていたようです。

そして映画鑑賞と食事を終えた参加者の方々とともに、私たちもマルシェの方へ移動。

 

マルシェでは、『つちとまちプロジェクト』のオリジナルコンポストや、バッグ型のコンポスト、そして堆肥に向けて実際に分解が進んでいる土の様子が観察できるコンポストの展示もあり、それぞれのコーナーで質問が飛びかっていました。

「これ、自宅でもできるんですか?」「意外と簡単なんですよ!」

そんな会話も聞こえてくるマルシェ会場で、コンポストは“特別なこと”ではなく、日々の暮らしの延長にあるものとして、丁寧に紹介されていました。

ちゃんと伝えていきたいからこそ“ちょっとやってみようかな?”と少し背中を押すようなコミュニケーションの大事さにも気付かされました。

取材をしながら、その空気に触れているうちに、 自分自身も「どう伝えるか」だけでなく、 「どう届けるか」という視点を、改めて考えさせられる時間でもありました。

 

まちを歩き、様々な体験を通して“知る”

会場は「J Smile八角堂」だけではなく、公園や商店街へと広がります。

このイベントの面白さは、この“まち”を歩くことで、まちを知る様々な体験ができるという仕掛けになっているという点。

私たちも早速、地図を片手に各会場へと足を運んでみると、様々な体験コンテンツが目白押しでした。

例えば、公園では「ニュータウンの秘密を交換する」という不思議な屋台や、子どもたちに大人気のシールコーナーもあり、オリジナルのシール作りやシール交換で盛り上がる子ども達が賑わいを見せていました。どこか遊びの延長のようでありながら、自然と人と人とのやりとりが生まれていく様子が印象的でした。

商店街では、「まちのひとの選書本」や「路上書房」など「読む」体験ができるコーナーで、立ち止まってページをめくる人もいれば、静かに読書に集中する子どもの姿も!それぞれのペースで、“まちを読む”時間が流れていました。にぎやかな公園とはまた少し違ったこの場も、まちとの関わり方のひとつのように感じられます。

そして、一杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーを無料で楽しめる「フリーコーヒー」もあり、雨の中訪れた来場者の心と体を温めます。

 

他にも、まちの地面や壁などに紙を当ててこすり、模様や質感を写し取る“拓本”という手法で、まちを記録する体験コンテンツも。実際にやっていた親子に声をかけてみると、「いつもは気に留めないような足元や壁を、写し取ってみることで“まち”を知るっていうのが面白いですね」と、新しい発見もあったようです。

歩いてみることで、場所ごとに違う表情があり、それぞれの楽しみ方があること、
そのどれもが、“まちと関わる”という体験につながっていることを実感したイベントでした。

最後に「ヨム・カム・マルシェ2026」を手がけた『つちとまちプロジェクト』のメンバー・寺田さん、杉山さん、塚原さんはどんな想いでこのイベントに取り組んだのか、皆さんにお話を伺いました。

 

それぞれの立場から見た「つちとまち」

−−今日はお疲れさまでした!まずは寺田さんにお伺いしたいのですが、これまでも「ヨム・カム・マルシェ」では、近隣の農家さんと一緒に朝市を開催したり、野菜を使ったオリジナルメニューを企画されたりしてきましたよね。今回は、映画上映というかたちで「知る」体験をつくられましたが、どんな意図があったのでしょうか?

寺田さん:これまでのヨム・カム・マルシェでは、まちを使った体験を通じて「気づき」や「発見」を得る企画を大切にしてきました。ただ、その気づきをきっかけに「もっと知りたい」「もう少し深く考えてみたい」と思った方に応えられる場が、あまりなかったことに気づいたんです。

「まちのひとの選書本」も学びのきっかけにはなりますが、本は読むタイミングが人それぞれで、同じものを同時に共有しにくい面があります。その点、映画は時間を共有しながら、世代を問わず同じ体験がしやすい。また、同じ価値観や関心を持つ人と出会いたいという気持ちもあって、映画上映会の企画につながりました。

実際に開催してみると、「同じ釜の飯を食う」とまではいかなくても、「同じものを一緒に観る」という体験を通じて、自然と仲間意識のようなものが生まれていたような気がします。コンポストの分野で長く地域で活動されている方々に参加いただけたことも、嬉しかったです。

上映後のアフタートークでは、「これからは食べ物を選ぶときに、一回立ち止まってみます」「久しぶりに友人に連絡をとって、この映画で感じたことを伝えてみます」といった言葉が生まれていて、それぞれの小さな一歩につながっていることが、とても印象的でした。

 

−−鑑賞後、オープンサンドを囲みながら自然と会話が生まれていたのも、とても印象的でした。まさに「同じ釜の飯を食う」という体験に近いものがあったように感じます。そんな映画の余韻を食へとつなぐ、今回の食体験の企画を担当された杉山さんの想いもぜひ伺いたいのですが、いかがでしょうか?

杉山さん:ありがとうございます。今回の映画『食べることは生きること』を鑑賞後に、実際に「食べる」ということを追体験するような形で行ったことで、参加者の皆さんに映画も含めてこのイベントをしっかりと噛みしめていただけたという実感がありますね。おいしいだけではなく、その奥にある何かを考えながら、サンドを召し上がっていたように思います。

今回のオープンサンドは、DOJOYラボのメンバーでもある「ないとう農園」さんと「Mo:take」さんにご協力いただき、土というテーマでお作りしました。日々、土と向き合う農家さんや農家さんとともに活動する方への大きなリスペクトを込めて、参加者の皆さんへお伝えすることができたのが嬉しかったです。

「食べる」という日常の当然の営みのなかに「つち」を感じていただける機会をもっと増やしていきたいです。

 

−−コンポストの展示や体験にも映画上映会に参加した方々をはじめ、多くの方が足を止めていましたね。現場の対応をされた塚原さんにお聞きしたいのですが、実際にお客さんの反応はいかがでしたか?また塚原さんがこの場で伝えたかったことについても教えていただけますか?

塚原さん:当日は雨で気温も低く、誰も足を止めてくれないのではと正直不安でしたが、開始早々、若いご夫婦が声を掛けてくれました。自治体のコンポスト助成金をスマホで調べて「これ使えますかね?」と聞かれたりして、その前向きな感じに、こちらもテンションが上がってしまいました。

今回は新たな試みとして、室内でも置ける円柱型の紙管コンポストとステッカーをセットでモニター販売しました。「格好いい」「おしゃれ」と反応は上々で、日常使いのモノだからこそ、場に馴染むデザインは大切なのだな・・・と改めて感じました。

この日は、上映会で、食とそれを育む農家や土をテーマとして取り上げていたので、鑑賞された方々は、生ごみを土に還せるコンポストにもより関心が高まったのではないかと思います。映画の後に、一人一人が実践できる具体的な選択肢まで提示できたことは、意味のあることでした。

会場では、循環やエコの視点もさることながら、純粋にキッチン回りが快適になり暮らしの質が上がることを、私自身の実体験からお伝えしました。

コンポストを活用することで、日々の暮らしの中で循環のサイクルを生み出せること、そして、実は身近にある「つち」の存在に気付いてもらえたら、この上ない喜びです。

 

小さな循環は、まちと一緒に動き出す

寺田さん、杉山さん、塚原さん、それぞれの言葉に耳を傾けてみると、「知ること」「食べること」「暮らすこと」が分かれているのではなく、ひとつながりの体験として、この場の中に組み込まれていることが見えてきます。

今回の「ヨム・カム・マルシェ2026」は、特別な何かを体験するイベントというよりも、
普段の暮らしの中にあるものに、少しだけ目を向け直す時間だったように感じました。

食べること。
土に触れること。
まちを歩くこと。

どれも当たり前のことだけれど、少し意識を向けるだけで、その見え方は変わっていく。

そして、その気づきは、きっとこの日だけで終わるものではなく、
それぞれの日常の中へと持ち帰られていくはずです。

「読む・噛むして、まちを知る。」

その言葉の通り、このまちの中には、まだまだ読みきれていない面白さがあり、噛みしめていくことで、少しずつ関係が深まる、そんな“余白”を感じさせてくれる一日でした。

 

– Information –

つちとまちPTOJECT
ニューマチヅクリシャ
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ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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Mo:take MAGAZINEは、食を切り口に “今” を発信しているメディアです。
文脈や背景を知ることで、その時、その場所は、より豊かになるはず。

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