2019.09.24. | 

[Vol.3]誰もが「美味しい食材」にたどり着けるように。 「yoloz」片山由隆×「Mo:take」ヘッドシェフ坂本英文

量り売りの八百屋「HACARII」について、「将来的は多店舗展開したい」と片山由隆さんは話します。常連さんが集まるお店を増やしていきたいのだそうです。Mo:takeヘッドシェフの坂本英文との対談も今回が最終回。何やらこれからおもしろい仕掛けも生まれそうです。

美味しいから食べよう、が当たり前になるように

片山さん:HACARIが地域のコミュニティのような場になるといいですね。たとえばナスにはトゲがあること、ナスの花の色など、みなさんは知っていますか。畑が身近にないと、知らないですよね。だから、「ナスはトゲがあるんですよ。刺さらないよう気を付けてくださいね」とか、「ナスの花は紫色で、小さくて可憐なんですよ」と伝えるだけでもコミュニケーションが生まれるんです。

 

坂本:僕がHACARIの野菜で一番いいなと思っているのはキュウリですね。キュウリにもちゃんとトゲトゲがついているんですよ。これって新鮮な状態で届いているからこそだと思います。見る人が見たら、本当にちゃんとした野菜を揃えていることがわかります。

 

片山さん:坂本さんのように本物の野菜だとわかってくれる人が増えたらいいなと思います。それにはまずきっかけが大事だと思っています。僕も都内出身で、農業のバックグランドは何もありませんでしたが、いろんな農家さんの野菜を食べてその美味しさを知ったんです。美味しい野菜が食べたいという人は多いんだから、そのきっかけさえ作れば食材への関心も高まると思うんです。

 

坂本:今は、どちらかというと健康のために野菜を食べなきゃという気持ちが大きいのかもしれないですよね。そうではなくて、美味しいからという理由で食べてもらいたい。夏には夏の野菜があるといった、旬についても美味しく、楽しく知ることができればいいですよね。

 

片山さん:野菜には旬があるのに、なぜ一年中購入できる野菜があるのか。そういうことも知ってほしいです。そのうえで、「美味しいから食べよう」という世の中になれば、野菜摂取量も自然と増えると思うんですよ。すごくシンプルな話だと思うんです。

 

 

素材を活かすためにあえて何もしない、も調理法のひとつ

この夏、片山さんは、HACARIに関わる生産者やワイナリーが集まるイベントを開催しました。料理をプロデュースしたのはMo:takeの坂本です。これからも何か楽しいコラボレーションの計画はあるのでしょうか。

 

坂本:イベントだけでなく、これからもなにか一緒にやりたいねと話しています。たとえば、Mo:takeのケータリングにyolozプランをつくるとか。yolozさんの得意とする産地直送の野菜と、Mo:takeが得意とする料理をかけあわせるんです。

Mo:takeのケータリングは、五感で楽しんでもらうことを大事にしています。食べて美味しいのは当たり前で、見て驚いて、さわって確かめてもらって、人間の五感を最大限に使って、その時の気持ちや空間をまるごと体験してほしいと思っています。

yolozプランの料理なら、キュウリのトゲトゲを体感してもらうために、「そのままかじってみよう」とするのも面白いですよね。あえて調理しない、またはシンプルな調理だけにする。シンプルな方が実は難しいんですよ。イタリアンのペペロンチーノのようなもので、かえって料理人の腕が試されますから。そういったシンプルな提案も、yolozさんの産直の食材なら安心して作ることができます。

 

片山さん:生産者さんにHACARIに来てもらって、直接で販売してもらう日があってもいいなと思っています。

 

坂本:あ、いいですね! それを僕がHACARIのキッチンで調理して、その場で食べてもらうとかどうですか。

 

片山さん:それいいですね! ぜひやりましょうよ。

 

おもしろそうなアイディアが次々と生まれる片山さんと坂本。今後どんなふうにお披露目されるのか、野菜の美味しさを伝えてくれるのか、楽しみでなりません。

 

 

食に関わることを一緒に面白がれる関係に

yolozとMo:take。お互いにケータリング事業を行っていることで、「ライバルなのになぜ?」と言われることもあるそうです。ですが、片山さんも坂本も、「そういう関係ではないんですよね」と笑って答えます。

 

片山さん:競うのではなく、食に対する強い想いをもった仲間として一緒に何かをすることで、食に興味をもってくれる人たちがさらに増えると思っています。そう考えたほうが可能性があると思いませんか。

 

坂本:僕もライバルだとは思っていないし、狭い世界でいがみあってもしかたないですよね。yolozさんには、全国各地の美味しい産直野菜を東京の消費者の方々に届けられるという大きな特徴があります。そこに惹かれたし、Mo:takeとコラボできたら面白いことができるだろうなと思って、イベントなどをやっているんです。自然な流れですよね。

なにより、おもしろいことをしたいですよね。その方が気持ちいいし、自分たちのリソースだけでやっていたら行き詰ってしまう気がするんです。新しい風ってすごく重要で、yolozさんとはお互いにいい影響を与え合えると思います。

 

片山さん:僕らの事業はまだ始まったばかりで、ライバルなんておこがましいです(笑)。これからは、坂本さんをはじめ、シェフの方たちとのコミュニティをつくるなど、「食のことだったらあそこに聞けばおもしろくなる」と人が集まる場をつくることができればうれしいですね。食って幸福感や人生観につながる大きなテーマだと思います。大変なこともありますが、食材のプラットフォームのような存在になるよう頑張ります。



「美味しい」へのこだわりがそれぞれ表現された片山さんと坂本との対談。みなさんの中ではどんな「美味しい」が思い浮かびましたか? ふたりの想いが、一人ひとりの「美味しい」へのヒントになればうれしいです。(おわり)

 

 

– Information –

株式会社yoloz

東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー 21階 WeWork 城山トラスト

https://www.yoloz.co.jp/

HACARI

東京都目黒区中目黒4-4-10

https://twitter.com/HACARI_NAKAME

※HACARIで販売したい農家さん、仕入れの希望があるシェフを募集しています。
下記URLの「Contact」からお問い合わせください。
https://www.yoloz.co.jp/

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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