皮の全面を、ぴたーっと強く押し付けて焼く
小倉:ドムさんに教わって、お肉を焼く前の丁寧な準備がとても大切だと知りました。冷蔵庫から出したら塩をパラパラしてジャッと焼くという、ワイルドなイメージがくつがえされました。
ドムさん:では、いよいよお肉を焼いていきましょう。美味しく焼くためのポイントが続くので、しっかりついてきてくださいね!
ドムさん:フライパンにオリーブオイルをほんの少し入れます。皮から脂がたくさん出てくるので油はなくてもいいぐらいですが、皮から脂が出やすくなるので、誘い油として、ほんの少し。火は中火です。皮を下にして、丁寧に、きれいに置きます。
小倉:丁寧に、きれいに。
ドムさん:そうそう。置いたら一度軽く浮かせて、皮の面全体に油が行き渡るようにします。
ドムさん:皮がめくれ上がったりしないよう、平らに置いたら、すぐに準備しておいたふたで強く押さえつけて、弱火にします。
小倉:なぜふたがあるのだろう、と不思議に思っていましたが、ここで使うのですね!
ドムさん:皮をぴったり鍋にくっつけるように押さえつけて、そのまま3分。皮の面が全部フライパンに接するようにして焼くと、全体がカリカリになります。
小倉:結構熱いですね。脂もすごく出てきてます!
ドムさん:熱ければふたではなく、ひとまわり小さい鍋を乗せて押さえつけて、そのまま放置、でも大丈夫ですよ。とにかく、皮の全面をぴたーっと押し付けて焼くこと、それが大事なポイントです。
きれいなきつね色になるまで、弱火でじっくり
ドムさん:広げて固まってしまえば、離しても大丈夫です。大量に出てきた脂を容器に移して取り除きましょう。一度火を止めて、肉をバットに一時的に避難させて。これは鶏油と呼ばれる、美味しい脂です。中華料理などの風味付けに使えます。
小倉:いい脂なのに、どうして取り除くのですか?
ドムさん:これも、皮をパリパリに焼き上げるためです。脂をそのまま残すとギトギトするし、揚げ焼きにはしたくないので。
脂を拭き取ったら、さらに皮面を焼いていきます。たまに裏面の様子を確認しながら、ムラがあるところはトングで押し付けて、全体がきれいなきつね色になるまで、弱火でじっくり焼いていきます。
小倉:焼いてる間、触ってもいいですか。
ドムさん:パリパリに焼きたいので、基本的に触らない方がいいですね。たまに焼き加減を見る程度にしましょう。
小倉:わあ、きれいなきつね色。パリッとしているのが見てわかります。このままで、もう美味しそうです!
タレは泡の様子を観察し、しっかり煮詰める
ドムさん:きつね色にきれいに焼けたら裏返し、タレの2/3を加えて絡めながら焼いていきます。最初は身の方に絡めながら焼いていきます。
小倉:パリパリした皮にはかけないのですね。
ドムさん:タレが煮詰まって少なくなってきたら、弱火にして、スプーンで上から皮にもかけながら焼いていきます。
小倉:美味しそう!!照りが輝いてます!
ドムさん:完成、ここまででだいたい3分ですね。
ドムさん:鍋に残しておいた1/3のタレを、さらに煮詰めていきます。
小倉:1/3残したのはどうしてですか?
ドム:最後の仕上げ用です。脂が入ったタレは冷めるとギトっと固まった状態になります。お弁当に入れることも想定し、ピュアな状態のタレを上からかけたいので。この手前の大きな泡が中心まで全体に広がったら、・・・はい、火を止める。
ドムさん:これが100%煮詰めた状態です。鍋の大きさでも煮詰め具合は変わるので、泡の大きさで判断するのがいいですね。
小倉:とろみがつくと泡が大きくなる。観察が大事ですね。
裏返して切ると、パリパリに焼けた皮はザッと鳴る!
ドムさん:では鶏肉を切って盛り付けていきましょう。切り方のコツは、皮を下にして置くことです。皮を上にして切ると、皮は固いので、柔らかい身の方だけが切れて形が崩れます。
小倉:盛り付ける状態を想像して、これまでは皮を上にして切ってました!
ドムさん:そうですよね。盛り付けと逆になりますが、先に柔らかい方を切って、最後に固いところを切るときれいに切れます。こんな感じです。
小倉:なるほど。柔らかい方を上にして、と。
ドムさん:そう、左手の指は中に入れて卵の形です。いい感じですね。包丁で切る時のポイントは、包丁の刃全体を使うこと。包丁を前後に動かすことを意識して、皮に達したら、ザッと切る。
小倉:ほんとだ!今、ザッと鳴りました!気持ちいいです。タレを上からかけたのに、パリパリがしっかり残ってる。きれいに火も通ってます。
ドムさん:上手に切れてます。お皿に盛り付けましょう。
小倉:あの、切ってみたら赤かった、みたいに生焼けだったらどうしたらいいですか?
ドムさん:鍋に戻してもう一度焼くか、電子レンジを使ってもいいと思います。焼き時間が裏も表も3−4分で、短く感じるかもしれませんが、水分を出して乾かす手順を省かなければしっかり火は通っているはずです。焼く前にお肉の中心まで常温に戻しておくことも、火入れの一つのプロセスと考えてください。
小倉:しっかり乾かす時間は、皮をパリパリにするだけじゃなく、常温に戻して肉に火を通しやすくするという意味でも必要な時間なのですね。
ドムさん:盛り付けは、緑色を添えるときれいです。洋風のアレンジなので、レタスとかチャービルとか、味が強めのルッコラでもいいですね。
小倉:緑のものが入ると、茶色い照りが映えますね。
ドムさん:タレを最後にかけて。ハケで塗ってもいいですよ。
小倉:完成!美味しそうです!
パリパリの皮にタレが絡んだ、絶妙な食感・・・誰かに食べさせたい!
小倉:では、さっそく味見をしてみます。
・・・最高!タレをかけたのに、皮がまだ本当に、パリパリです!お肉は柔らかいし、タレは甘くて、でもさっぱりしてますね。
ドムさん:パリパリに焼いた肉に、煮詰めて味がぴたりと決まったタレを絡める。そんなタイプの照り焼きです。
小倉:本当に美味しいです!今回はたくさん学びました。まずはバルサミコを買って、家族にも食べさせてあげようと思います。
鶏の照り焼き(照り焼きチキン)「どこよりも細かい」レシピ
<下準備>
①鶏肉は余分な脂や皮を切り落とし、肉の厚みを調整するため、肉が厚い部分に切り込みを入れる。
どこよりも細かいレシピポイント
焼いた時に均一に火が入るよう、押さえつけるようにしてなるべくまっすぐ平らにする。
②両面に軽く塩(ひとつまみ程度)をする。5分ほどおくと、肉の臭みなどを含んだ余分な水分が浮き出るので、キッチンペーパーなどで丁寧に拭き取る。
どこよりも細かいレシピポイント
塩は浸透圧で水分を出すために振る。省略すると、特に冷めた時に肉の臭さが目立つので、スキップせずに。
③皮を丁寧に伸ばし成形して、30分ほど常温においておき、皮の表面を乾かす。扇風機で乾かしても良い。
どこよりも細かいレシピポイント
乾かすことで、焼いた皮がパリパリに仕上がり、タレの乗りも食感も良くなる。
同時に、中までしっかり常温に戻すことが生焼けのリスクを減らす。
扇風機の前に置けば10分で乾くので時短にも。
<作り方>
④乾かしている間にタレを作る。先に酒、みりんを鍋に入れ、強火にかけてアルコール分を飛ばすように煮詰める。
⑤醤油と砂糖を鍋に加えて煮詰める。沸騰して泡が小さい状態から大きくなったらしっかりと煮詰まった状態なので、バルサミコ酢を加えてひと煮立ちさせて火を止める。
どこよりも細かいレシピポイント
バルサミコを最後に入れるのは香りを残すため。バルサミコがなければ、他の酢で代用しなくてOK
⑥鶏肉を焼く。皮面がしっかりと乾いたら、フライパンを中火で熱し、ほんの少しだけ油を引いて(テフロンパンだったら引かなくてもいい)、皮面を下にして焼く。平たい鍋ぶたや鍋底で鶏肉を少し押さえつけるように焼く
どこよりも細かいレシピポイント
フライパンに肉を置いた後、一度軽く浮かせて皮の面全体に油を行き渡らせる。
⑦そのまま中火で3〜4分焼き続ける。鶏の皮の脂が出て来るので、鶏肉を一度フライパンから取り出し、油をしっかりと拭き取り(フライパンについた焦げ目はそのまま残す)、もう一度皮面を下にして焼く。皮面の凸凹が平らになるように押さえつけるが、焼き目にムラがある場合は、その箇所をトングなどで押さえつけながら焼いて、焼き色を均一にする。
どこよりも細かいレシピポイント
鶏肉から出た脂は、鶏油として使える。
全体がきれいなきつね色になり、パリパリになるまで、あまり動かさずに焼く。
⑧鶏肉をひっくり返して、身側を焼く。タレを加えてまず身側にしっかりとタレを絡ませて、その後スプーンやレードルなどで皮側にタレをかけるようにしながら、タレが少なくなってきたら弱火にする。⑧の工程で3分ほど焼き続ける。
どこよりも細かいレシピポイント
焼いた鶏肉に加えるタレは2/3。残りの1/3はそのまま煮詰めて、切り分けた後にかける。
⑨食べやすいように切り分け、盛り付けて完成。
どこよりも細かいレシピポイント
切り分けるときは、パリパリに焼けた皮を下にして、身の部分から切る
包丁は、刃全体を使うように、前後に動かして切る。
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「どこよりも細かいレシピ」。レシピに書いてあることには、どんな意味があるの?全部やらないとやっぱりダメなの?そんな疑問をMo:takeフードクリエイターが解決します。次回は、人参のラペ。香りや食感が味を決めるレシピのコツを、ドムさんに学びます。乞うご期待!