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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.02.09. | 

[Vol.3]「栄養士」の枠を外し、業種間の壁を崩す。目指すのは「食」の体験型スクール。食卓写真家/オンラインスクールHarmo 丹下恵実さん

食やキャリアに関する情報発信を行うオンラインスクールHarmo。スタート2年目となる2021年からは、月1回のオンライン授業に加えリアルイベントを積極的に開催してきました。

Harmoを立ち上げた丹下恵実さんへのインタビューVol.3は、2022年8月にSWITCH STAND ODAIBAで開催した「食べる・暮らす・はたらく展」について伺います。会場には当日、学生さんや社会人が100人以上も集まり大盛況となったとのこと。盛況の背景からは、食に関わって働きたいと願う若者の思いや未来図が見えてきます。

現役で活躍する管理栄養士さんの生の声を聞き、ライフスタイルを知る

「食べる・暮らす・はたらく」展について、当日の写真を見ながら丹下さんに教えていただきました。

 

−−「食べる・暮らす・はたらく」展はどのようなイベントだったのでしょうか?

丹下さん:Harmoの講師として毎月授業をしていただいていた管理栄養士さんをリアルイベントにお招きして、実際にどういう仕事をしているのか、どんな思いで活動しているかを聞かせていただくというイベントです。
スポーツ栄養士さんや保育栄養士さん、メニュー開発をされている方やスイーツを作るパティシエさんなど、職種もさまざま、フリーランスの方もいれば企業で働いている方もいて、働き方もさまざまでした。

 

−−プレゼンターの中には、お子様連れでお話された方もいたそうですね。

丹下さん:はい、お子さんも一緒に参加していただきました。
管理栄養士に限らず、子供がいるフリーランスの方は仕事で苦労が多いという話を身近でもよく聞きます。プレゼンターを依頼した栄養士さんからも、お子さんを預けられる場所があったらいいなと伺って、託児スペースを設けました。一緒に遊んでいるのはスタッフとして参加したHarmoのメンバーです。そうやって、リアルな姿を見てもらえることが、来場する人たちにとってもいい影響を与えたと思います。

 

丹下さん:また、対談形式で前でお話いただくだけではなく、おひとりおひとりのブースを作って展示をお願いしました。どうして栄養士という道を選んだのかがわかるように、これまでの人生を年表にまとめ、どんな風に働いているのかわかるように、今現在のタイムスケジュールをつくっていただきました。年表とタイムスケジュールの2点は皆さん共通で、それぞれ作成していただきました。

 

丹下さん:あとは自由にご自身を表すものを色々と展示していただきました。たとえば、この写真の管理栄養士さんはメニュー開発の仕事をしながら、器を作って販売もされているかたです。なので、自作の器を展示されていますね。

 

−−イベントのお客さんはやはり学生さんが多かったのでしょうか?

丹下さん:学生さんと社会人の方、両方ですね。栄養士として働いていても、転職を考えている人はとても多いので。だいたい100人ぐらい来ていただいたと思います。このようなイベントは他で聞いたことがなかったので、どのぐらいの人数の方に集まっていただけるのか心配だったのですが、盛況でほっとしました。

 

−−現役で活躍する栄養士さんの対談にこれだけ充実した展示があると、栄養士の資格を取った後、どのように働いてどのように暮らすのか、学生さんにも具体的にイメージできますね。

丹下さん:そうだと思います。ライフスタイルのような話までリアルに聞く機会は本当にないので。

 

−−この美味しそうなご飯は?

丹下さん:これはスタッフ用のご飯なんです。私はヴィーガンイベントの開催もしているのですが、イベントのスタッフにはご飯を食べる時間や休憩時間が全く無かったりします。スタッフとして参加しても楽しんでもらいたいなと思ったので、ヴィーガン料理が得意なメンバーに調理をお願いしました。

 

−−お客さんとして参加された方も、スタッフとして参加された方も、忘れがたいイベントになったんじゃないでしょうか。

丹下さん:全員楽しんでほしいなという思いがあったので、もしそうだったら嬉しいですね。

 

オンラインは継続しつつ、今年は全国でリアルイベントを開催したい

−−今後もリアルのイベントは増えていきそうですか。

丹下さん:メンバーは全国にいるので、色々な方にお話を伺うイベントは今後もオンラインで継続しつつ、徐々にリアルイベントを増やしていくつもりです。

特にやりたいのは食の産地を回る地域ツアー。一昨年高知でやったのですが、現地に集合し、食材や生産地のこと、生産者さんのことについて学んだり、一方で渓流を登るシャワークライミングで自然を満喫したりしました。リアルでは、体験を重視したイベントを開催していきたいですね。

 

−−もう予定が決まっていたりしますか。

丹下さん:2023年に決まっているのは富山です。循環型農業をされている農家さんを見学して、生きてる状態の鶏をさばいて調理してみんなで食べる、という、命と向き合うような食の学びをしたいと考えています。

 

業種の壁を崩して、お互いを理解することが大事。「栄養士」枠を外すHarmoの進化

−−Harmoの今後の展望について、構想があれば聞かせていただけますか?

丹下さん:実は今年から、Harmoの内容から「栄養士」という枠をなくそうと考えています。

社会に出て感じたことのひとつに、業界がきれいに縦割りされてしまっているなという感覚があります。例えば、私がカメラマンとして活動している間、現場で管理栄養士さんに会ったことがないんです。それぞれまったく違う世界にいるのが、考えてみたら不思議だなと。

業種の壁を崩して色々な人とコミュニケーションを取って、お互いを理解することが大事だとずっと思ってきた割に、今自分がHarmoでしていることも「管理栄養士」という枠で括ってしまっているなと気づきました。その枠を少し緩めて、食に興味を持つ色々な人に入ってもらって、お互いのことを知るようにしたいと思っています。

 

「食に興味がある」という軸で人々が集まり、互いに学びあえる場所にHarmoを進化させたいという丹下さん。柔らかな印象でありながら、思ったことを躊躇なく実現していく、やはり実行力あるリーダーなのだと感じますが、

 

丹下さん:私は前に出るのが苦手で、裏にいたいタイプなんです。自分では、メンバーの皆さんが活躍する舞台を作っているようなイメージですね。

自然体で軽やかに思いを現実化していくのが、新しいリーダー像なのかもしれません。食を軸とした人と人とのつながりがHarmoを媒介としてどんどん生まれていく。そんな未来がとても楽しみです。

 

– Information –
食卓写真家

Harmo
「食」の体験型オンラインスクール
公式サイト/Instagram/Twitter

ライター / 谷井 百合子

会社員からライターへ転向。腰の軽さで興味に乗っかる行動力で、ビジネストレンドやブックレビュー、食や旅にも題材を広げている。 目についた野菜を連れて帰り、レシピをググって調理するのが楽しいこの頃。

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