淹れ手だからこそ向かえる次の可能性
西荻窪駅からほど近い路地にある「Satén japanese tea」はこの春、1周年を迎えました。「この1年で本当に大きなことをいろいろとやらせていただきました」と話す小山さん、3年目、4年目に向けて、お店や抽出舎から発信していきたいことはより具体的になってきているようです。
小山さん:これは日本茶に限らずですが、ものには作り手さんがいらっしゃいます。響さんとお店を出すと決めた時から、作り手さんの思いや産地のことを日々伝えられるお店や場をつくりたいと話していましたが、現実的なものになってきたという手応えを感じています。だから、その先を考えた時に、じゃあ次は?となったら地域につながってくるんです。僕がお茶専門の淹れ手だからかもしれないけれど、お茶の問題にはどうしても地域の問題も関わってきます。問題が少しでも解決して、地域が活性化するような商品を開発できたらいいなと思っています。これは抽出舎のビジョンとしてすごく遠くに見ていたのですが、この1年ですごく近く感じられるようになりました。これからはその動きを加速させて、地域コミュニティにも入っていけたらと考えています。
人の想いを抽出できるといいですよね。お店が完成する前、ある人にそんなことを言われて、その時は自分たちがそんな存在になれるのかまだわからなかったけれど、今は自信が持てるようになりました。地域の人の想いをものに変えるとか、プロデュースさせていただくとか、そこに関わる人たちの想いを引き出せたらいいなと思っています。
「美味しい」がつなぐ、人と人の想い
小山さん:あとは、やっぱりドリンクに人の想いを注ぎ込んだり、そんな飲みものがそろった場をつくったりすることが僕らはできるので、それをお店のコンセプトや立地などに合わせてプロデュースできたらいいですよね。カフェを主体にした地域づくりということにも可能性を感じます。コミュニティをつくる時って、そのツールとしてカフェが選ばれることが多いと思いませんか?
たしかに、誰かと会って話をする時というと、その間には必ずといっていいほどドリンクがあります。初めて入ったカフェだった場合、メニューを見ながらどれにしようか迷って、選んで、届いた時に、見た目が思っていたよりも美しいと「わあっ」と心が躍る。美味しいとすごくうれしい。話が弾むことも多いように思います。
小山さん:地域のコミュニティに入っていくことは、今、抽出舎が目指していることです。そして、お茶の生産地や生産者さんの想いにつないでいきたいです。
特集「Road to “ Leaf to Relief ”」をはじめます
最後は、この特集「Road to “ Leaf to Relief ”」のお話です。前回の記事から始まったこの特集、小山さんと藤岡さんはなぜ始めようと思ったのでしょうか。そして、どんな連載になっていくのでしょうか。
小山さん:「Satén japanese tea」の開店からこの1年間で、自分たちが思っていたよりもずっと早く、お店と抽出舎の大事な軸の部分を強くすることができたと思っています。店舗のプロデュースをさせていただいたり、抹茶ラテアート選手権のような大きなイベントを開いたり、事業の幅を広げることもできました。
今度は、いろいろな活動を含めて、自分たちのことを自分たちの言葉で伝えられる場を育てていきたいと思っています。それが、特集「Road to “ Leaf to Relief ”」です。
今、僕も響さんも、「Satén japanese tea」のポップアップショップとして都内でドリンクを出す機会がとても多いのですが、そういったことや店舗プロデュースのこと、抹茶ラテアート選手権のことなどいろいろ発信できたらいいですね。僕、今度、台湾に行くのですが、そういった旅の話も写真と一緒に紹介したりして、抽出舎のことを知っていただけるような連載にしていきたいです。
抽出舎を知ることは、この世界にこんなにも丁寧にお茶を淹れてくれる人がいるんだということを知ること。そしてこんなにも美味しいお茶が飲める自分は、なんて幸せなのだろうと気付けること。茶葉を作ってくれている人や生産地に思いを寄せ、さらに美味しさを堪能できること。そんなつながりを想像するとその世界に惹き込まれそうになります。
特集「Road to “ Leaf to Relief ”」、これから始まります。どんなコンテンツが発信されるのか、どんな日本茶の魅力に触れられるのか、お楽しみにしてください。
– Information –
株式会社抽出舎
東京都杉並区善福寺3-16-13
Satén japanese tea
東京都杉並区松庵3-25-9
<火~木、土日>10:00~21:00
<金>10:00~23:00