SDGsのイベントにも登壇。
食の可能性は広い
小野:SDGsがテーマのトークショーに呼んでいただいたことがあるんですよ。8組くらいプレーヤーがいて、僕はMo:takeの代表として登壇しました。坂本も、食の世界を深掘りするトークセッションのパネラーとして登壇しました。SDGsというテーマのイベントで僕たちに声をかけてくださったことが不思議な気もしたんですけど、僕たちのサービスがSDGsの課題解決に役立つものだと認識されているんだと思うと、うれしかったですね。
小野:このイベントは、貸し会議室やイベントの事業を行うインフィールドさんという企業が主催したものです。僕たちもレンタルスペース事業をしていますが、単にライバル視するのではなく「もっと連動して、一緒にコンテンツを作っていきましょう」と言ってくださり、「場づくりには食が欠かせないよね」と共感しあえる関係です。
坂本:Mo:takeを通して、食というコンテンツは、いろんな業種の人といろんなモノゴトを生み出せるんだと気付かされました。大きな可能性を感じたんです。
坂本は、中でもラントリップさんのとの取り組みが印象に残っていると話します。ラントリップは、箱根駅伝に出場した経験のあるランナー、大森英一郎さんが立ち上げた企業です。自身の経験から、走ることをもっと楽しむための事業を行っています。そして、ラントリップさんのイベントにて、Mo:takeの料理を大勢の走者たちが囲んだそうです。
坂本:ラントリップさんとは、「走り終わった時、ゴール地点に何があるとより楽しんでもらえるか」について、ディスカッションするところからはじめました。一人でイベントに参加しても、そこで新しいコミュニティができて、情報交換できる場をつくりたいよねって。この経験から、食はほかの分野の人たちのコンテンツとかけ合わさった時に、数倍、数十倍、魅力的なものができるんだろうと思ったんです。
正直に言うと、僕は走ることにそんなに興味を持っていませんでした。でも、参加者のみなさんがゴールした時の晴れ晴れとした表情を見たり、楽しそうにご飯を食べている顔を見ているうちに、「僕も走ってみようかな」と思えたんですね。食はきっかけづくりにもなると感じました。
食というコンテンツがあるから、
やりたいことが今できる
小野:アパレルブランドのDRESSSENさんとのコラボレーションも印象的でした。僕は代表の後藤順一さんのお人柄とエプロンのファンだったんです。DRESSSENさんのエプロンは、太めの英字ゴシックで力強く描かれたメッセージが特徴的なのですが、後藤さんが作る世界観、素材へのこだわりなど、話を聴けば聴くほどのめり込んでしまうような魅力を持っているんです。僕自身が魅了されている人やプロダクトと何か一緒にやりたいと思ったとき、「食や場づくりなら任せてよ」と言えるので、実際のプロジェクトになっていくんですよね。「後藤さんを彷彿させるようなコーヒー豆をうちが開発しますよ」と最初に提案したとき、後藤さんがとても喜んでくれたことを今も覚えています。
小野:後藤さんはもともとアパレルの仕事をしていたのですが、40代になってからフードコーディネーターに転身し、エプロン専門ブランドを立ち上げたという経歴の持ち主です。そこで、坂本とディスカッションをして、彼のエプロンに合う食事を作って、期間限定のPOPUP SHOPでエプロンの展示・販売とともにお客様に食事をしてもらうプランを立てました。こんなふうに、Mo:takeに手伝わせてもらえるなら、きっと彼らの想いを数倍にして伝えることができる。これがMo:take PLUSで提供できる価値なんです。DRESSSENさんとのイベントでは、その可能性をすごく感じました。
面白いことをしている人や企業と、「一緒に何かやれたらいいですよね」という話になることはよくありますよね。でも、具体的な話になることは少ないかもしれません。そんなとき、小野と坂本なら、食という誰もが喜ぶ可能性のあるコンテンツで手伝うことができると言えるのではないでしょうか。
小野:DRESSSENさんとのコラボレーションは、食の部分だけでなく、POPUP SHOPでエプロンを販売し、オリジナル商品として開発をしたコーヒー豆とビールも提供しました。それによって、DRESSSENさんとMo:takeにしかできないコラボレーションが生まれました。これをきっかけに、ケータリング事業だけでは叶わなかった思いが、この数年でどんどん実現できるようになってきました。そういう意味で、DRESSSENさんとの関わりは印象に残っていますね。
ファンの「ちゃんと知りたい」に
丁寧に応えるのがMo:takeマガジン
坂本:Mo:take MAGAZINEは、食にまつわるいろんな人たちが取材にご協力くださっています。僕も一読者として楽しんでいます。以前、Mo:take MAGAZINEに登場してくれた「まめちゃん」こと、お豆腐プロデューサーの工藤詩織さんもそうですが、その人がどんな思いでどんな活動をしているのか、それが丁寧に取材されて伝えられることって大切ですよね。僕はまめちゃんに会うまでは、豆腐のことも、日本全国に300種類以上も大豆があることも全然知りませんでした。
大学では日本語教育を専攻し、文化交流の仕事に就きたかったまめちゃん。そのツールの一つとして出会った豆腐に魅了され、お豆腐プロデューサーになったという経歴の持ち主です。そんなお話も取材だからこそ聴けたことなのかもしれません。
小野:Webメディアを作ると、ユーザーを増やすためにSEO対策をしたり、広告出稿に注力する企業が多いと思うのですが、Mo:take MAGAZINEはファンマーケットを大切にした情報発信を心がけています。Mo:take MAGAZINEは、食やライフスタイルの分野ですでにファンを持っている方たちのことを丁寧に伝えることができるメディアだと思っているからです。インタビュイーのみなさんのファンが「やっと、あなたのことをちゃんと知ることができました」と思えるような。インタビュイーの方々のファンマーケティングとして活用してもらえるし、僕たちもMo:takeのファンマーケティングとして活かすことができる。彼らのファンの方がMo:takeのファンになるかもしれないし、Mo:takeのファンも彼らのファンになるかもしれない。
Mo:takeを通して出会った人たちを取材し、丁寧に記事を作る。取材をされた方たちは情報拡散の協力をしてくれることも。お互いにとっていい関係がMo:take MAGAZINEという世界で広がっています。
料理で生産者と生活者をつなぎ、
思いを翻訳する
坂本:「けものカフェ」というイベントをお手伝いしたことがあります。その名の通り、イノシシや鹿の肉を使った料理を提供するイベントです。今、獣害問題が全国各地に広がっています。簡単に言うと、地域の開拓などで山の中に食べ物がなくなった動物たちが人里に降りてきて、食べ物を食い漁るという問題なんです。動物たちは駆除のため銃殺され、産業廃棄物として処理されます。はじめてその問題を聞いた時、生き物なのに、人間の生活を邪魔するからって、それでいいの?と思いました。そして、こういう問題は、何が正しいのか、間違っているのかではなく、まずはこういう問題があると知ってもらうのが大事なのかなと思ったんです。
獣害問題に取り組む南伊豆の森守さんは、「やっぱり、お肉として流通させるのが良いのではないか」とおっしゃっています。人間が食べることで新しい経済が生まれる。それこそ食物連鎖ですよね。そのためには、安全なお肉だと証明するための検査が必要になります。森守さんは自分で検査場や処理場などを作って、それを実現させたんです。今は流通の事業者と話を進めているのですが、僕ができることとしては、食というコンテンツを通して、世の中に獣害問題を知ってもらうことかなと。そこで「けものカフェ」というイベントを開催したんです。
最初は野生のお肉に難色を示すお客様もいたんですけど、ただ食べ慣れていないだけなんですよね。実際に口にすると、「こんなに食べやすくて美味しいんですね」と必ずといっていいほど言っていただけました。ほんの少し、その方たちの心を動かせたのかなと思いましたね。
では実際、坂本はどんなスタイルでお客様に提供したのでしょうか。
坂本:「けものカフェ」を開催した場所は、表参道のコーヒースタンドと、恵比寿のダイニングバーです。お店に合わせてそれぞれ別の料理をつくりました。表参道では手にとりやすいホットドッグとバーガー形式に。恵比寿ではお酒と一緒に食べられるよう、スパイスを効かせたジビエ煮込みや、ソーセージのグリルなどで提供させていただきました。
場所の雰囲気に合わせたり、そこに集まる人たちが、「食べてみようかな」、「体験してみようかな」と思えるように。それを考えるのが坂本の役割ということでしょうか。
坂本:そうですね。翻訳というか。生産者と消費者の思いを食という形で通訳する、パイプ役が僕の役割かなと思っています。
様々な出会いから可能性を広げていった、Mo:take、Mo:take PLUS 、Mo:take MAGAZINE。これから食の世界にどんな彩りを作ってくれるのでしょうか。次回(12/10)では、今後の展望について小野と坂本が語ります。二人のチャレンジはまだまだ続きます。(つづく)
– Information –
Mo:take
https://motake.jp/