SERIES
コーヒースタンドを起点とした場づくりの舞台裏
2021.09.28. | 

[Vol.3]フリースローのような、緊張感のあるチャレンジを。ONE_THROW東海林佳介×ツバメアーキテクツ山道拓人+鈴木志乃舞×Yuinchu小野正視

2021年8月25日のグランドオープンから約1ヶ月。「ONE_THROW」オーナーの東海林さんにとって、どんな1ヶ月だったのでしょうか。オープン当初の出来事について、そして今後の展望について、「ONE_THROW」の誕生に深く関わった3組の人々が語ります。

「こういう場所がほしかった」。嬉しい反響と、見えてきた課題

東海林さんに、オープン初日のことを振り返っていただきました。

 

東海林さん:オープン前日はかなり緊張していました。最初はお客さんはあまり来ないだろうと思っていたのですが、オープン初日、想像以上にお客さんがいらしたんです。一日中大忙しで、実はあんまり記憶がありません(笑)。その中でも「こういう場所ができたらいいなと思っていました」と嬉しい言葉もいただいて、いい一日になりました。

 

小野:「ONE_THROW」がすごいのは、オープン時だけでなく、その後もお客さまの数が順調に伸びていることです。もちろん東海林さんはその分大変だと思うんですが。

 

東海林さん:でも、バタバタ忙しくしている方が嬉しいんですよね。

 

小野:それを聞いて安心しました。とはいえ、フードやドリンクを提供して、バスケットコートにも気を配ったり使い方を説明するなど、オペレーション的には割と大変ですよね。課題に感じていることはありますか。

 

東海林さん:今、コートは15分で次のチームと交代というルールにしているんですが、実際のところ「交代です」って声をかけづらいですね。まあ、ある程度予想していたことではあるんですが。 それと、2組同時にプレイできることにしているんですが、順番だからといって、未就学児のいる家族と高校生グループが一緒にプレイを楽しむのは難しいですよね。そういう細かい難しさが見えてきたところです。

 

小野:ビジネスとしては、ルールをしっかり決めた方がいいんですよね。でも東海林さんは、多様な人たちに柔軟に対応しながら緩やかにルールを決めていきたいと考えています。オペレーションをサポートする側としては、もう少し東海林さんを楽にしてあげたいので、そこはせめぎ合いになりますね(笑)。

 

縁日やマルシェ。バスケ以外の楽しいことにも使えるように

順調な滑り出しを見せている「ONE_THROW」。東海林さんは、バスケ以外にもこの場を使っていきたいと考えているそうです。

 

東海林さん:近々、ここで縁日をやろうと思っているんです。

 

小野:それはいいですね! 東海林さん:現時点ではカフェ利用のみの方が大半で、ネットを越えてコートに入ってきてくださる方はまだまだ限られています。だから、バスケ以外の目的でコートの中に入るきっかけをつくって、少しずつなじんでもらいたいんですよね。地域の人にきていただくきっかけにもなると思いますし。

 

山道:設計の当初から、東海林さんはバスケ以外のことにも使える場所にしたいとおっしゃっていたんですよね。ですから、いろいろなことに使いやすいように、自由度の高い設計にしています。

 

東海林さん:イベントや教室など、いろいろできると、ここがさらに楽しい場所になってくるんじゃないかと考えています。

 

ONE_THROWの意味は「一緒にチャレンジしてみない?」

最後に、「ONE_THROW」に携わった3組のみなさんに、このプロジェクトを通して得たことやそれぞれの今後の展望を伺いました。

 

山道さん:こういう場をつくりたいと漠然と思っていても、無理だと諦めている人っていると思うんです。でも、「ONE_THROW」には、そういう人たちが真似できる部分がたくさんあるのではないかと思っています。

例えば、住宅地において高齢化や自動車離れで空いた駐車場をフードトラックが置ける場所として個人が貸し出したり、空き家をスケルトンにして店以外の遊び場のような新しい公共スペースとして活用するなど、ここではそういったことを想起させるような街の仕掛けのプロトタイプとして考えました。
ここは渋谷や新宿のような都心のど真ん中じゃなくて、住宅街なのもいいんですよね。自分の住む街を自分たちで変えようと思うきっかけになりそうです。「ONE_THROW」のような例ができると、感化され、新しいチャレンジをする人が出てくるはずです。そうやっていろいろな場が増えてきたら面白いですね。

 

小野:僕たちは、カフェのプロデュースを通じて、場づくりへの思いを持つ人をサポートしています。東海林さんとの取り組みは、飲食の経験がなくても実現できるという、ひとつのモデルケースになりました。

これからも、東海林さんのような人を増やすためのサポートをしたいですね。 そのためには、チャレンジしたい人の中にあるイメージをつかみ、なにをサポートすることで実現できるかを明確にしていくのですが、こういったサポートのプロセスをもっと多くの方が理解できるようにするのが、今後の僕たちの課題だと思っています。

 

東海林さん:店名の「ONE_THROW」には2つの意味があります。ひとつは「気軽に一回投げてみよう」という意味で、もう一つは、バスケットのフリースローのような緊張感のあるチャレンジを「一緒にしてみない?」というメッセージなんです。 バスケを始めるとか、コーヒー片手に街を散歩する楽しさを感じるとか。僕のように何かを始めてみるとか。

「ONE_THROW」が、チャレンジのきっかけが生まれる場所になればいいなと思っています。 僕自身の今後のチャレンジとしては、この街の流れを変えたいです。「ONE_THROW」があることで商店街が活性化したり、街の中の人の流れを変えることができたら嬉しいですね。

 

■座談会 メンバープロフィール

東海林 佳介(しょうじ・けいすけ)
ONE_THROW 代表
今ハマっていることは?ーキャンプとサウナ

山道 拓人(さんどう・たくと)
ツバメアーキテクツ代表取締役
今ハマっていることは?ードーナツ

鈴木 志乃舞(すずき・しのぶ)
ツバメアーキテクツ

今ハマっていることは?ー切り絵と版画

小野 正視(おの・ただし)
株式会社 Yuinchu代表取締役
今ハマっていることは?ーバスケ

 

– Information –

ONE_THROW
神奈川県川崎市多摩区宿河原3丁目8−3
JR南武線 宿河原駅 徒歩3分

https://www.instagram.com/one_throw0131/

ライター / 八田 吏

静岡県出身。中学校国語教員、塾講師、日本語学校教師など、教える仕事を転々とする。NPO法人にて冊子の執筆編集に携わったことからフリーランスライターとしても活動を始める。不定期で短歌の会を開いたり、句会に参加したり、言語表現について語る場を開いたりと、言葉に関する遊びと学びが好き。

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