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美味しい科学 CAST × Mo:take
2024.12.03. | 

[Vol.1]『美味しい科学』 〜 醤油編 〜 大豆がお醤油に変わるまで。

東大CASTとMo:takeがお届けする「美味しい科学」第1回のテーマは「お醤油」です!お醤油は、知らない人はいないというくらいのメジャーな調味料。かけたり、つけたり、まぜたり、日本のお料理には欠かせないものですよね。でも、お醤油ってどうやって作られているか知っていますか?今日は、お醤油ができるまでのお話を、分かりやすく説明していきます。シンプルな素材がお醤油になるまでには、働き者の目には見えない小さな生き物たちの物語がありました。

お醤油が食べられるのは、微生物のおかげでした!

お醤油は、日本の食卓に欠かせない調味料。その歴史は古く、日本では様々な地域で発展をしてきて、その地域によって甘かったり、塩っぱかったり、色が薄かったりという特徴もあります。そんなお醤油を作っているのは「微生物(びせいぶつ)」と呼ばれる、目には見えないくらいとっても小さな生き物たちなんです。

ここでは、実際にお醤油の研究をして、自分でも作ったことがあるCASTの宮﨑さんの経験も交えながらお醤油のことをわかりやすくお伝えします。

 

−−お醤油ってそもそも何から、どうやってできているんでしょうか??

CAST・宮﨑さん:お醤油の主な原料は、大豆、小麦、塩です。そして微生物による発酵によって作られるんですよ。そもそも発酵っていうのは、微生物の働きによって食品の成分が分解されて、美味しさ(うま味)や香りなど人間にとって良いものが生み出されることなんです。つまり発酵は、微生物が“美味しいものを作るために働くこと”だと思ってもらえたらと思います!

細かく説明するとかなり難しいはなしになるので、ここではイメージしやすいようにわかりやすくお伝えしていきますね。

まず、大豆と小麦に「麹菌(こうじきん)」という微生物を混ぜて発酵(はっこう)の準備をしていくんです。そして、この麹菌ががんばって働いて、その後に働く微生物(乳酸菌や酵母)のエサを作ることで、お醤油ができていくんですよ。麹菌がいないと、今、当たり前に食べているお醤油やお味噌が作れなくなっちゃうんです!麹菌は、昔から日本の食卓を支えてくれているすごい存在なんです。日本を代表する菌ということで「国菌」にも認定されているんですよ。

 

−−ほぉ!わかりやすいですね!

CAST・宮﨑さん:大豆と小麦に麹菌を混ぜたものを「しょうゆ麹」と言って、「しょうゆ麹」に食塩水を加えたものを「もろみ」と言います。発酵が進んでいくと大豆や小麦がどんどん分解されてドロドロの状態になります。このまま半年〜2年ほど発酵させて最後に、この「もろみ」を絞ると、液体のお醤油が出てくるんです。そうして、殺菌したり、香りをもっと引き立てたりするために、最後に火を通してお醤油は完成するんですよ。

 

−−お醤油ができる前に火を通していたんですね!

CAST・宮﨑さん:そうですね!製品として販売されているお醤油の製造工程には、主に殺菌することを目的に「火入れ」という作業があるんです。この時に色、味、香りが整えられます。お醤油が黒いのはこの火入れの影響もあるんですよ。でも最近、生(なま)醤油というお醤油も販売されていますよね?
あの生醤油は、容器の開発が進んだ結果、殺菌のための加熱しなくても販売することができるようになったために生まれた醤油なんです。生醤油は加熱をしていない状態のものなのでサラッとした味わいになっていますね。

 

約半年をかけて醤油づくりがスタート!
もろみは生き物。大事に育ててこそ美味しい醤油になる。

さて、今回は誰でも簡単にお醤油が作れるキットを使ってお醤油作りに挑戦!まずは、もろみ作りからはじめます。準備したペットボトルに大豆、小麦、塩、麹菌に水を加えキャップを閉めたら仕込みは完了!

仕込んだ後は、発酵・熟成をさせていくために混ぜていきます。微生物たちを活動的にするために、仕込んだ日から1週間は、毎日混ぜてあげなければいけませんが、少しずつ回数を減らし、3ヶ月目からは1週間に1度ほどで良いそうです。

 

熟成のためには室温も重要!
醤油作りは手間暇かけて、大事に育てる。

−−醤油作りでのポイントがあれば、教えてください!

CAST・宮﨑さん:基本的には秋や冬でもすごく寒い環境じゃなければ室温で大丈夫だと思います。ただ、一回私も失敗したんですけど、室温が低すぎるとそもそも微生物が働いてくれないんです。。

麹菌が小麦に含まれるデンプンや大豆に含まれるタンパク質を分解して、それが発酵に大切な微生物たち(乳酸菌や酵母)のエサになります。でも麹菌は周りの温度が低すぎても高すぎても活動できなくなってしまうんです。だいたい30 ℃から40 ℃くらいで最も活発に働くと言われていますね。

「もろみ」は生き物なので空気の入れ替えも大事なんです。かき混ぜる時はペットボトルの蓋をはずして、ポコポコとボトルを押しながら、空気の入れ替えをしてあげましょう!

約半年後に、もろみを搾ったら完成です。搾る時は、麻袋やコーヒーフィルターを使って、この半年間を振り返りながら、じっくりと時間をかけて濾(こ)していくといいですよ。美味しいお醤油を作るために、手間暇かけて大事に育ててあげてくださいね。

 

こうして始まった醤油作り。約半年間かけてお醤油を育てていき、Mo:take MAGAZINEでも経過を見守っていきたいと思います!

次回のVol.2では、お醤油をつかって料理がどう美味しさに影響するのか、Mo:take STUDIO 代官山で実験を交えながら検証していきます!そこにはある科学的な反応が!一体どういうことなのか、次回もお楽しみに!

Vol.2はこちら

 

– Information –
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ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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