2019.09.26. | 

世界初の抹茶ラテアート選手権 投げかけた言葉は、「抹茶って何ですか?」 

今年5月、世界初の抹茶ラテアート選手権「Japan Matcha Latte Art Competition 2019」という、抹茶ラテのラテアート技術を競う大会が東京で開かれました。企画したのは、抽出舎の茶リスタ・小山和裕さんとバリスタの藤岡響さんらで作る実行委員会。初開催にも関わらず海外からの出場者もあり、会場が満員になるほど盛り上がったといいます。いったいどんな大会だったのでしょうか。

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決勝ラウンドはまさかのサドンデス 会場参加型で大盛り上がり

2019年5月23日、清澄白川のカフェ「THE FLEMING HOUSE」は、抹茶ラテのラテアートを描く選手と、その手元を食い入るように見つめる観覧者たちの熱気があふれていました。

応募者総数40名の中から、写真選考を通過した12人が出場した大会。予選を勝ち抜いた6人で競った決勝ラウンドは、審査員チケットを持っている観覧者約30人の投票で、1人のチャンピオンが決まるはずでした。

ところが、トップの2人がまさかの同数。急きょ、バリスタの坂東拓人さん(JOE’S CAFÉ)と、台湾から出場したCHIU HSIANG-ANさん(Yasumi Cafe)のサドンデスが開かれることになったのです。

 

小山さん:同数になることは、まったく予想していませんでした。司会のコーヒールンバ平岡さんに、「もう1回やります!」と慌てて伝えました。

審査方法も、予選ではお茶業界、コーヒー業界、ラテアート業界を代表する3人の審査員に採点してもらい、決勝ラウンドは審査員として参加できるチケット購入した観覧者に投票してもらったのですが、サドンデスは想定していなかったので……(笑) 観覧者全員に投票してもらうことをその場で決めました。

 

そして行われたサドンデス。観覧者が固唾を飲んで見守る中、わずか4票差で坂東さんが優勝するという、もう盛り上がるしかない! という結果となりました。

 

小山さん:1回目からこんなに盛り上がるとは思わなかったですね。コーヒーのラテアート大会では上位常連のバリスタの方が負けたりとか、結構番狂わせも多く、そういう時はどよめきも起こっていましたね。観覧者に投票してもらうという、観客参加型にしたのも良かったと思っています。

 

藤岡さん:今回は、一般的なコーヒーのラテアート大会では考えられないくらい、観客と選手の距離が近かったのも盛り上がった理由の一つだと思います。一般の人が審査の時もこれだけの距離で見ることができる大会は、他にはなかなかないと思います。

「コーヒーのバリスタが描いたら、どんな抹茶ラテアートができるだろう」

それにしても、なぜ抹茶ラテアート選手権を開こうと思ったのでしょうか。直接的なきっかけは、藤岡さんが「抹茶ラテアートは、コーヒーと同じようにやるとうまく描けない」と感じたことでした。

 

藤岡さん:コーヒーのラテと抹茶ラテに使うミルクの質感ももちろん違いますが、抹茶はコーヒーと違い油分を含んでいないので、描くときに流れてしまうんです。その難しさを感じていたので、ラテアートの大会に出場するようなバリスタたちが抹茶のラテアートで競い合ったら、どんなものができるのかな、と思ったんです。

 

小山さん:それを聞いて僕も、バリスタたちはそもそも何を使って抹茶を淹れるんだろうと疑問を抱きました。僕らは茶せんや茶器を使って抹茶を淹れているけれど、そもそも使う器具も違うだろうなって。抹茶ラテをやっているお店では、だいたい抹茶をスプーンで混ぜて作ったりしています。だったら、使う器具も自由にして大会をやったら面白いかもしれないって。

 

そこで大会では、5分間の持ち時間の中で使う道具は自由にし、抹茶・牛乳・お湯は規定量を準備しておく形で行いました。素材の配分も自由、時間内で何杯作っても自由。最も完成度の高い1杯を審査員の前に出す、というルールにしました。

そんな自由さの中でも、小山さんと藤岡さんがこだわって定めたルールが一つだけあります。主催者側が用意した抹茶を必ず使ってもらうことです。そのために、写真選考で残った12人には練習用の抹茶をわざわざ郵送したほどでした。

「本物の抹茶を知ってもらいたい」 ルールに込めた思いとは

必ず規定の抹茶を使ってもらうーー。そこには、「本物の抹茶を知ってもらいたい」という、小山さんと藤岡さんの強い思いがありました。

 

小山さん:今回、大会冒頭の挨拶でみなさんに「抹茶って何ですか」と問いかけました。改めて抹茶について考えてほしいし、本物の抹茶を伝えたい、という強い思いが根底にあったからです。

日本では抹茶の存在は知っている人が多いと思うんですが、お店によって抹茶やラテに甘みがついていたり、そもそもドリンク用ではなくお菓子などで使う加工用の抹茶を使っていたりします。海外で抹茶として出されるものを、「そもそもそれは抹茶なのか?」と疑問を抱くようなお茶のこともありました(笑)。

コーヒーの大会の規定には「コーヒー豆を使用する」とは絶対に入らないところ、「抹茶」の規定を入れたのは、本物の抹茶を使った競技を通して、抹茶の本質に触れてもらえると思ったからです。本物の抹茶を使って抹茶ラテアート選手権でいい結果を出すためには、抹茶の本質を見ていかなければいけませんから。

 

実際、今回大会に出場された方から「自分たちが使っている抹茶と全然色が違う」という声も聞きましたし、品質の違いについてはみなさん感じるところや気づきがあったようです。

日本茶の淹れ手として、“抹茶風”のドリンクではなく、本物の抹茶を伝えていきたいーー。今回の抹茶ラテアート選手権が、その大きな第一歩となったのは間違いありません。


この秋、第2回目となる抹茶ラテアート選手権を開催します!
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Matcha Latte Art Competition 2019 Autumn

開催日/11月21日(木)

会場/dotcom space tokyo

東京都渋谷区神宮前1丁目19−19 エリンデール神宮前B1F

9月30日(月)から競技者の参加募集がスタートします。その他、詳しい情報は下記のSNSから随時発信しますので、ぜひご覧ください。

https://www.facebook.com/MLACJAPAN/

https://www.instagram.com/matchalatteart_japan/
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– Information –

株式会社抽出舎

東京都杉並区善福寺3-16-13

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Satén japanese tea

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<火~木、土日>10:00~21:00 

<金>10:00~23:00

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Japan Matcha Latte Art Competition
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平地 紘子

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身