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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2024.03.01. | 

【Vol.1】本格派コーヒーをシンプルな淹れ方で。ひまわり堂の珈琲急須『リドレス』がカフェタイムを豊かに。

ホッと一息つきたい時や誰かと過ごす時間、仕事や勉強など日常で当たり前のように親しまれるコーヒー。2023年「毎日をちょこっとHAPPYに」をモットーに、日常使いできるテーブルウエアや花器を開発・販売するひまわり堂が、そんな当たり前のコーヒーを、”当たり前じゃない方法”で美味しく淹れられる『珈琲急須』がクラウドファンディングで話題となりました。なんと今回は、その珈琲急須の第2弾『リドレス』が販売されるんです。第一弾と同様に先行販売として3月1日よりクラウドファンディングがスタートするということで、1月某日にコーヒーのスペシャリスト藤岡響さんを招いて行われた試飲会にお邪魔して、プロの率直な意見、美味しい淹れ方の極意などなどお話を伺いました。この記事では『リドレス』のリアルな使用感や使い方、美味しいコーヒーの淹れ方などの情報とともに『ひまわり堂』の想いをお届けします。

”こだわりたいけど難しそう”そんな人にこそ試して欲しい。
美味しいコーヒーを淹れるのに、専門的な知識や道具は不要。

今回の珈琲急須は洗いやすさへの配慮から蓋を無くしたのも一つの特徴です。ちなみに、商品名の『リドレス』は「Lid(蓋)」が「Less(無い)」ということが由来。使い方はこれまで通り、専門的な道具や知識は不要。挽いたコーヒー豆の入った『リドレス』にお湯を注いで抽出されるのを待つ。あとは好きなカップに注げば、豆本来のポテンシャルを引き出したまろやかで美味しいコーヒーを誰でも簡単に楽しめちゃうというもの。そんな『リドレス』は、本当は自宅で淹れるコーヒーも、こだわりたいけど難しそうだし、、そんな人にこそ使ってみてほしいという想いも込められています。

 

また試飲会で用意されたコーヒー豆は、『リドレス』と時を同じくして開発されたひまわり堂のオリジナルブレンド3種類で、今回のクラウドファンディングで『リドレス』と一緒にお届けする予定のもの。それぞれ個性が異なるブレンドは、香ばしさと穏やかな酸味のバランス型、オレンジのようなフルーティな香りと酸味のサッパリ系、香ばしさとチョコレートのような甘みを感じるデカフェとバラエティ豊かなラインナップ。どのブレンドもお客様に飲んで欲しいという自信作ではあるものの、スペシャリストの意見も踏まえて、お届けするに相応しいのか評価してもらうという目的も。

 

淹れる時のお湯切れが良く、コーヒーの粉もカップに入らない。
珈琲を淹れるのに適した形状で、洗いやすいもの良いですね。

試飲会が行われたSWITCH STAND HATSUDAIには、『リドレス』の実力を確かめるため、ひまわり堂を展開する株式会社共信の代表・古木亮さんが参加。コーヒーのスペシャルリストとして登場したのは、カフェ、コーヒーショップの立ち上げやトレーナーとして多くのバリスタの育成に携わり、2015年ブルーボトルコーヒー清澄白河店の立ち上げにも参画した藤岡響さんでした。これまで”急須は優れた器具、コーヒーを淹れることはできるだろうな”という認識を持ちながらも、サイズ感などの条件が合わないという理由から、急須でコーヒーを淹れたことは無かったという藤岡さんは、コーヒーだけでなくお茶のスペシャリストでもあります。今回の試飲会でどんな評価をされるのか。『リドレス』を手に取った藤岡さんが、一番美味く淹れるためには何がベストか、研究するかのように真剣な表情で試飲会がスタートしました。

 

早速『リドレス』にコーヒー豆を入れて、、と思いきや、まずは準備。急須でコーヒーを淹れるまでの工程はシンプルですが、コーヒー豆の扱い方、次にお湯の量、そして最後に浸す時間。これらのポイントをおさえておくと再現性が高く、より美味しいコーヒーを味わえるといいます。じっくりと時間をかけてレシピが決まったあとは、いよいよ『リドレス』が登場し、カップにコーヒが注がれていきます。

 

「自分が淹れているコーヒーも美味しいと思っていたけど、これは口当たりもまろやかで、香りも味も楽しめて本当に美味しいですね!」と『リドレス』を使って藤岡さんが淹れたコーヒーを口にした古木さん。オリジナルブレンドのそれぞれの特徴も堪能しながら、藤岡さんの感想に耳を傾けます。

 

藤岡さん:使用感としては、良い感じです。注ぎ口が広くて扱いやすいし、手入れもしやすそうです。コーヒーを抽出するのに温度も重要なので、蓋がない分、抽出中の温度が下がらないかと心配でしたが、そこも問題なく温度を保てていました。

 

オリジナルブレンドはそれぞれの特徴が異なるので、どれも違った味わいができて面白いですね。これは『リドレス』がコーヒー豆の味をうまく引き出しているともいえます。少し専門的な話になりますが、『リドレス』で淹れるコーヒーは、コーヒー豆をお湯に浸して抽出する浸漬法(しんしほう)というやり方なので、穏やかに成分が抽出されて、豆本来の味が楽しめるコーヒーを淹れることができるんです。そこで大事になってくるのが、水切れの良さという点です。浸す時間によって味が変化するので、カップに注ぐ時にお湯の流れが悪いとベストな状態で淹れるために調整する必要もあります。ただ、『リドレス』は水切れが良くて、そこの心配が必要なさそうです。

 

藤岡さん:口当たりがまろやかなのは、やはり金属のフィルターというのが影響しているんだと思いますが、驚いたのは、微粉(コーヒーの粉)が注いだコーヒーにほとんど入ってないところです。今回は細かく豆を挽いているので、多少入るかなと思いましたが、入らないほどメッシュが細かいのに、お湯が詰まることもなく、微粉も入らないのは優秀だなぁと思いました。

 

古木さん:嬉しいです、ありがとうございます!実はこのメッシュも職人さんがこだわったポイントなんですよ。コーヒーって本当に準備や入れ方でこんなに変わるのが驚きです、早く色んな人に飲んで欲しいですね。ちなみに、このオリジナルブレンドの中で、藤岡さんはどのブレンドが気になりましたか?もし、ダメなものもあれば、遠慮なくそれも教えてください!

 

藤岡さん:そうですねぇ、どれも特徴があって美味しいかったですよ。ダメというのは無いですが、”これ”というのも難しいなぁ。1番目は、バランスがよくて綺麗なコーヒーという印象、朝や昼などいつでもいけると思います。フルーティで酸味がある軽やかな2番目は、サッパリしたい時に気軽に楽しめますよね。3番は甘さとの対比が楽しめるし、夜でも本格コーヒーが飲みたいという人には良いですよね。シーンによってそれぞれ楽しめるブレンドだと思うので、3種類どれもありですね。

 

古木さん:おぉ!じゃあこれは、みなさんに3種類をシーンに合わせて楽しんでもらうしかないですね 笑

 

というわけで、オリジナルブレンドはどれも落第することなく3種類お届けできる!と古木さんが安堵したところで試飲会は無事終了。珈琲急須『リドレス』とオリジナルブレンドに出会える日が待ち遠しいですね!

 

1杯のコーヒーで伝える。職人の想いを伝える。
それぞれの立場から伝えるそれぞれの役割とは。
【バリスタ 藤岡響 × ひまわり堂 古木 亮】

試飲会を終えたお二人に改めてお話を伺う機会をいただきました。そこで今回は緊急対談ということで、ひまわり堂の「伝える職人」というコンセプトに着目し、メーカーとしての役割とプロダクトを使う側のバリスタとしての役割について「伝える」をテーマにそれぞれの視点でお話しいただきました。

 

メーカーとしての役割は、売るだけでなく、作り手の想いをちゃんと伝えること。

古木さん:私たちの役割は、一つ一つの商品をただ流通させるのではなく、プロダクトに込められた職人さんの想いや技術を伝えていくことだと考えています。企業から商品を仕入れていた頃は、一個一個の商品に対して商品のプロセスや説明も何もない中で入ってくるんですよね。それを販売する私たちも、購入したお客様もその商品は単なる道具でしかなく、感動や喜びはないなと思ったんです。一方で、産地や窯元さんを巡り、作り手の職人さんたちとコミュニケーションをとっていくと、商品に対する想いを知ることが多くなりました。その想いを知った上で商品を手に取ると、全く重みが違うんです。だから私たちはコンセプトに「伝える職人」を掲げて、職人さんも販売する私たちも、想いを知って購入して使う人もみんながHAPPYになれると信じてるんですよね。

 

藤岡さん:そうなんですよね、我々使用する側も作り手や想いが見えると、例えばコーヒーを提供する時にその想いを一緒に伝えられますし、お客さんにとってもプラスの価値を提供できると思います。でも、中々作り手が見えないんですよね、今ものもあふれているので、価格が安くて、それなりのデザインのものもある。意図的に想いなども伝えていかないと差別化が難しくて、消費者との距離も次第にあいてしまいますよね。

 

古木さん:そうなんですよ、価格が安くて、それなりに良いものもあるので皆さんそういった商品を手にとりやすいですよね。でも、私たちのものは、価格は安くないかもしれませんが、職人の想いや技術が詰まった商品だから、それだけ価値があるものだということ実感していただけると思ってます。業界の当たり前にしていけるように頑張ります。

 

場づくりの鍵となることが多いコーヒー。消費者と生産者を繋ぐのがバリスタの役割。

藤岡さん:コーヒーは場づくりの鍵になる要素として求められやすいんです。そんな現場においての、私たちバリスタの役割は、消費者と商品、生産者などを繋ぐことだと思っています。どこで、どんな過程で作られていて、生産者のどんな思いがあるものなのか、どんな風に保管されていたのか、お客様の手にコーヒーを届けるまでに、ものすごい道のりを経てくるんです。それを最終的にお客様に届けるのが、バリスタになるんですよね。この仕事には、その背景を受け止めて伝える責任があると思ってますね。今回は職人の技術によってできた抽出器具ですが、大体のプロダクトは、やはり大量生産というものが多いんです。でもメッシュ1つとっても職人さんがいるっていうのも、バリスタとして伝えていけることの1つだと思います。

 

古木さん:本当に伝えるって難しいですよね。でも藤岡さんのように、そんなふうに思ってくださる方がいらっしゃるから頑張れるんですよね。

 

藤岡さん:あと1つ思ったのは、今、日本茶を飲む文化もだんだん減少しているけど、コーヒーの需要は高くなっているんですね。日本茶を飲む人がいなければ、急須を作る職人さんも仕事がないわけで。でも、日本の茶室、和室で急須型の器具は違和感なく日本に馴染みますよね、だからコーヒーを急須で淹れるというのが生活者に根付いていくと、急須を作る需要も増えて職人さんの技術も受け継がれていくかもしれない。そうなると「日本のコーヒー文化=急須で淹れる」という独自の文化が海外に広まって、日本発の新しいコーヒーとして世界に発信できるプロダクトになる可能性を秘めてるなって、夢があるなって思いますよね。

 

古木さん:日本の文化=珈琲急須になったらすごいことですよね!確かに実際に職人さんは仕事が減ってどんどん潰れているので、今回のクラウドファンディングで話題になったら、蓋なしの珈琲急須は一気に増えると思うんですよ。ただ市場が活性化することは嬉しいことですが、一方で、懸念点としては安価で似たようなものが出てくる可能性もあります。だからこそ職人の技術力や想いを伝えるという使命を改めて感じました。

 

最後に「藤岡さん、一緒に急須をつくりませんか?お茶用でも珈琲用でも。産地を一緒に巡ったり、轆轤で作るいい職人さんもいるんです」と古木さんが勢いよく伝えると、「いやぁそれはやりたいです!やっぱりいつかは自分のプロダクトを持ちたいなって思ってますし、本当にそれはやりたいですね!」と嬉しそうに答える藤岡さん。この二人のコラボが実現する日も遠くないかもしれませんね。

 

次回は、今回の試飲会で淹れたバリスタ藤岡さんのレシピ基本編と応用編をお伝えします!
(つづく)

 

– Information –
ひまわり堂CAFE
https://himawaridou.com/
クラウドファンディング情報
https://timeline-media.jp/projects/90

 

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

モッテイクマガジンでは、イベントのレポートや新しい食のたのしみ方のアイデアを発信します。そして、生産者、料理人、生活者の想いをていねいにつないでいきます。 みんなとともに考えながら、さまざまな場所へ。あらゆる食の体験と可能性をきりひらいていきます。

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