生産者と消費者をつなげるパイプとしての役割
坂本:僕は料理のプロですから、美味しいものを創るのは当然だと思っています。そこに、いかに楽しさをプラスできるかが大切。食べる楽しさが会話の種になることで、人と人が食を通してつながっていく。そんなメニューがMo:takeらしさだと思っています。
だから、味はもちろん、ビジュアルや意外性には徹底的にこだわります。たとえば、見た目は土だけれど食べると美味しい“食べれる土”は、大きな話題になりました。
坂本:開発の過程は試行錯誤の連続で、苦労もあります。でも、お客さんには、気軽にその食材を楽しんでほしいという想いでメニューを創っています。
一方、生産者さんに対する想いは真剣そのもの。
坂本:どんな食材も、生産者さんたちはいろいろな想いをもって、精魂込めて食材を育てています。でも、その想いは消費者のみなさんには届かないことも多い。だから、メニュー開発を通して生産者さんと消費者のみなさんをつなげるのが僕の役割だと思っています。メニューを通して食材のもつストーリーを紹介したり、食べ方を提案したり。
一日限定のイベントでお出しするメニューも、飲食店でずっと提供するメニューも、どちらも生産者さんが手間ひまをかけて育ててきた食材を使っています。だから、僕たちも同じように手間ひまをかけて向き合っています。真剣勝負です。
10人に丁寧に伝えることを大事にしたい
Mo:takeでは、生産者さんたちの要望にあわせて、メニュー開発はもちろん、PRを含めた食の総合プロデュースを行なっています。そして、提供場所にもかなりのこだわりがあります。
坂本:Mo:takeは、体験型のケータリングを得意としています。Mo:takeを運営するYuinchu(ユインチュ)は、今回「KIKURAGEバーガー」を販売した表参道のキャンピングトレーラーカフェ「エアストリームガーデン」のほか、カフェや飲食店を数店舗経営していますし、レンタルスペース事業も手がけているため、パーティ利用のお客様に提供することもできます。だから、生産者さんたちの想いや食材の魅力にぴったり合うカタチで、消費者のみなさんに届けることができるんです。
きちんと食材と向き合っている生産者さんたちの作るものは、どれも本当に美味しい。坂本はそう言います。その美味しさを消費者の人たちに気軽に体験してほしい。食べる楽しさを感じながら。
坂本:不特定多数に向かってなんとなく伝えるのではなく、10人の消費者にきちんと伝わることを大切にしたいと思っています。そして、興味を持ってくれた10人を通して、さらに多くの方に伝わっていくといいですよね。その方が、食材がもつ美味しさやストーリーに興味を持ってくれる人が増えると思うんです。
SNSを使って「KIKURAGEバーガー」をPRしたのは、その食材に適しているから。SNSありきではなく、あくまでも有効なツールの一つだと思っています。根本にあるのは、生産者さんと食べる人をつなげたいという想いなんです。「KIKURAGEバーガー」のように、対人販売が適していると思えばそうしますし、試食を配ったほうがいい場合はそうします。
食材や生産者さんたちの想いにあわせて、生産者さんと消費者のみなさんにとって一番いい方法を実践していきたいです。
全国のおいしいものを発掘する旅へ
生産者と消費者のみなさんを、Mo:takeらしく楽しくつなぐ。そんなメニュー開発を実現している坂本とMo:takeのまわりには、これまでつながってきた生産者さんたちとの信頼関係の輪が広がっています。
坂本:たとえば、どこかの企業さんからケータリングのご依頼をいただくときも、「じゃあ、この生産者さんの食材を加えさせてもらおう」というふうにコラボレーションしています。今後もいろいろな生産者さんたちとつながれたら、もっとおもしろいことになると思っているんです。
とてもいい食材があるけれど、どうすればいいのかわからない。そんな思いをもっている方がいたら、ぜひご相談いただきたいですね。一緒にその食材を広めていきたい。一人でも多くの消費者の方に楽しんでもらいたい。
まだ世に出ていない、いい食材との出会い。普段は生産者さんたちから紹介を受けることが多いけれど、いずれはMo:takeを飛び出して日本津々浦々へ足を運び、美味しい食材を探したいという思いも、坂本の中でふくらんでいます。
坂本:たとえば、旅の様子をブログでリアルタイムで実況して、そこで出会った美味しくておもしろい食材を東京に持ち帰って、それを使ったパーティやイベントをしたいですね。Mo:takeのセントラルキッチンで、ゲストのみなさんに料理をふるまうんです。
「これ、絶対におもしろいと思うんですよね。でも、本当に実行するかどうかは僕次第かな(笑)」と愉快そうに話す坂本。その視線の先には、きっと、いつでも生産者と食べる人の満足そうに笑っている姿が映っているのでしょう。そんな関係からつくり出される食の未来は、やはり明るく楽しいことが詰まっていると予感させてくれるのです。(おわり)