
三重といえば「つ」! 街を代表する一品。
そして、三重といえば県庁所在地を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? 「つ」というたった一字が珍しい津市に、今回紹介したい地元の人々が誇るソウルフードがあります。それは、見た目は大きくてインパクトたっぷり、けれど一口食べればどこか懐かしく、心がほっとする味わい。いまでは津を代表するご当地グルメとして全国的にも紹介されるようになってきた「津ぎょうざ」です。
津ぎょうざの特徴は、直径15センチもある大判の皮で具を包み、油でカリッと揚げたインパクト抜群な見た目です。豚ひき肉、キャベツ、ニラ、ニンニクなど、一般的なぎょうざの具を皮にたっぷり包んだら、しっかり口を閉じて170〜180℃の油で約5分、表面がきつね色になるまでじっくり揚げます。
揚げたての皮はパリッと音を立て、中にはジューシーな肉と野菜の旨味がぎゅっと詰まっています。ボリューム満点ながらも軽やかな食感と、素朴でどこか懐かしい“おかずの味”。外はサクサク、中はふんわり、対照的な食感が楽しめるのも魅力です。

本当は子ども向け? きっかけは学校給食!
津ぎょうざ誕生のきっかけは、意外にも「学校給食」でした。昭和50年代、子どもたちに食べごたえのある人気メニューを出したいという思いから、市の栄養士が考案したのがはじまりです。一般的な餃子の約2倍にもなる大きな皮に具を包み、油で揚げるーーこのメニューが、育ち盛り、食べ盛りの子どもたちの心をつかまないはずがありません。
しかも、この作り方ゆえ、時間が経ってもカリッとした食感を保ち多少冷めてもおいしい……以来、市内の学校給食では定番メニューとして長年にわたり提供され、世代を超えて受け継がれてきました。
そして、平成に入ると、津市ではこの定番給食メニューを地域ブランドとして広める動きが出始めました。市民の有志や飲食店、行政が力を合わせ、「津ぎょうざ小学校」というユニークなPR団体を設立。名前のとおり、「校長」「生徒」「給食係」などの役職を設け、イベントや祭りで楽しく津ぎょうざを広める活動を行いました。
2008年の津市合併を機に、市の一体感を生み出す“まちのシンボル”として注目され、全国イベントへの出場で話題を呼びました。地元では毎年「津ぎょうざまつり」も開かれ、屋台で揚げたての津ぎょうざを頬張る子どもたちの笑顔で溢れます。

「懐かしいもの」から「街の誇り」に。
これらの活動を通して、津ぎょうざは“懐かしい給食メニュー”から“市の誇り”へと成長しました。子どものころ食べた味を、大人になってもおいしく食べ続けられる幸せ。地元の人にとって大切なふるさとの記憶であり、観光客にとっては旅の思い出になるソウルフードです。
津駅周辺の居酒屋や食堂では、揚げたての津ぎょうざを提供する店がたくさんあり、最近は冷凍のお土産商品も登場、県外からもファンが訪れるほどになりました。
もし三重を旅するなら、伊勢神宮、松阪牛に並ぶもう一つの名物として、ぜひ津ぎょうざを味わってみてください。学校給食とは思えないビールとの抜群の相性の良さだけでなく、津の人々の温かさと街の歴史が包まれていることを感じること間違いなしです!