2019.05.02. | 

[Vol.1]家族でつくり、家族で伝える梅干しの魅力 – 紀州福の梅本舗みやぶん –

「おいしい!」「梅干しって、こんな料理にも使えるんだ!」 各地のマルシェで森本奈津子さん、健太さん姉弟と出会った人たちは、ワクワクしながら「紀州福の梅本舗みやぶん」の梅干しを手に取ります。その梅干しは、二人の両親ともう一人の弟さんが、和歌山の地で丹精込めて作ったもの。その味と品質の高さ、梅干しを使ったレシピの豊富さに、じわじわとファンが増え続けています。笑顔が素敵な奈津子さんと健太さんに、「みやぶん」のお話を聞かせて頂きました。

目を合わせるから、できる会話がある
2人が大好きな、マルシェの醍醐味

白干梅は鶏肉と一緒に炊き込むとお子さまも喜びますよ」「かつお梅はクリームチーズと相性バッチリです!」

お客さんに梅干しの美味しい食べ方を伝える二人の目は、いつもキラキラ輝いています。「みやぶん」にはオンラインショップもありますが、2人は4年半前から変わらず 毎月定期的に二子玉川や代官山、勝どき、横浜などのマルシェに出店し続けています。

 

奈津子さん:オンラインでも販売していますが、実際に梅干しを味わってもらうことができ、お客様の意見も聞けるのはマルシェだからこそ。人と話すのが好きな方が多いので、青空の下で何気ない会話を楽しめるのがマルシェの醍醐味です。

地域や会場によって客層も違うので、家族連れが多いところでは 梅干しを丸々一粒入れた炊き込みご飯の作り方をご案内したり、年配の方が多い時には「焼き梅にして、緑茶と一緒に摂ると体が温まりますよ」とオススメしたりもしています。逆に「こうやって食べたら美味しかったよ」と、お客さんからレシピを教えてもらうことも多いんです。それを試してまた他のお客様にご提案したりもできるので、すごく魅力的な場所ですね。

 

さらに、家族で作った梅干しを、姉と弟で販売しているからこそ広がる会話があると言います。

 

健太さん:普通に販売しているとお客さんの目線は商品にしかいかなくて、僕たちの顔はなかなか見てくれないんです。でも、「実は家族でやっていて、私たち姉弟なんです」と言うとそこで初めて顔を上げ、「顔がそっくりだね」と目を合わせてくれます。そこからどんどん、会話が弾んでいくんです。

オンラインショップとウェブサイトもまもなくリニューアル予定で、SNSにも力を入れています。でも、対面で販売できるマルシェはこれからもずっとやめないと思いますし、これからは、さらにいろんな地方にも出店してみようと思っています。

 

 

梅干しには、可能性がある
そして、究極のものづくりだ

今や、“梅干しの魅力を笑顔で伝えるプロ”として活躍している二人ですが、20代の時は奈津子さんはジュエリーの仕事、健太さんは飲食の仕事と、まったく別の仕事をしていたといいます。二人が家業を手伝おうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

 

奈津子さん:ジュエリーというものづくりの仕事は、ある意味幸せを届ける仕事だと思っています。手にすると嬉しいですからね。けどある時、和歌山の自然が育んだ南高梅を使って、独自の製法で家族が作り続けてきたこの梅干しを、世の中に広め、各家庭の食卓へお届けすることって、私達兄弟にしかできないことで、究極のものづくりなんじゃないかと気づいたんです。

さらに、まだまだあるだろう梅干しの可能性を見つけ出し、広げることにも面白さを感じました。

また、私たち兄妹は20代から東京を拠点に生活してきたので、梅干しを通して、和歌山の魅力や良さを、東京の人たちにお伝えできたらいいなって考えました。「みやぶん」の梅干しをきっかけに和歌山に興味を持ち、和歌山に来る人が増えたらいいなって思いながらやっています。

 

健太さん:僕は長男なので、30歳になったら会社をやめて家を継ごうと思っていたんです。でも、姉ともう一人の弟と3人で話をした時に、僕よりも弟の方が 職人肌で、繊細な梅干しの製造に向いているよね、という話になりまして。それで弟が 和歌山に戻り、僕と姉が東京で営業的な動きをすることになったんです。パッケージのデザインやSNSでの情報発信なども、姉がやってくれています。

梅干しってこれからも絶対になくならないものだと思っているんですよね。もっと言うと、なくならないどころか、これからは世界にも広がっていくと思いますし、すごく大きな可能性があると思っています。

 

 

梅干しを作っているのに、

食卓には梅干しがのぼらない

2015年から本格的に東京で「みやぶん」を展開し始めた二人ですが、一つ、克服しなければならないことがありました。それはなんと、梅干しを 好きになること! 実は森本家の食卓には、ほとんど梅干しが並んだことがないというのです。

 

健太さん:実家の隣が工場で、親父もお袋もいつも味見しているので、家に帰ってまで食べることがないんですよ。そういう環境で育ってきたので、僕たちも梅干しを食べなかったんです。僕なんて梅干しのにおいがダメで、正直言うと、梅干しが苦手でした。

でも、自分たちが良いと思わなければ、お客さんに伝わるわけがないですよね。だから食べ始めましたが、やっぱり最初は苦手で。最初は、カツオ梅のカツオだけ食べていたくらいです。けど、今では梅干しは美味しいと思えるようになり、日々、パスタに使用したり、薬味と使用したり、食卓に梅がないと逆に寂しく感じるようになりました。

 

そういうお二人を見ていると、梅干しが苦手な時期があったからこそ、苦手な人でも食べやすい食べ方をよく知っているし、伝えることもできているんだと感じます。ところで、二人の苗字は「森本」なのに、お店の名前が「みやぶん」なのはなぜでしょう?

 

奈津子さん:よく聞かれます(笑)。江戸の終わりから明治にかけての頃だと思いますが、おじいちゃんのおじいちゃんに文蔵というものがいて、どうやら地域の人気者だったそうなんです。そして、実家がお宮さん(神社)の前にあるので「宮前の文蔵」と呼ばれるようになり、省略されて「みやぶん」って呼ばれてたそうです。それがそのまま屋号になり、

地域がらお互い屋号で呼ぶことが多かったので、私たちは小さい時から「みやぶんの娘」「みやぶんの長男」と呼ばれてきたんですよ。

 

“宮前の文蔵さん” だから、みやぶん。江戸〜明治時代から引き継がれてきているとても貴重な屋号です。元号が「平成」から「令和」になっても、時代を超えてずっと引き継いでいってほしいと思います。

 

次回は、5/7(火)に公開予定です。「紀州福の梅本舗みやぶん」の梅干しの味の秘密やこだわり、そして、梅干しの作り方や効能などについて、詳しくお伝えします。みやぶんでは、梅干しを漬ける時に、あるものを一緒に漬けるんだそうですよ!(つづく)

 

 

– Information –

「紀州福の梅本舗みやぶん」

https://www.miyabun-ume.com

オンラインショップ:https://www.miyabun-ume.com

Facebook:https://www.facebook.com/miyabun.ume/

Instagram:https://www.instagram.com/miyabun_ume/

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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