2018.10.30. | 

[Vol.1]“食べる楽しさ”をみんなでシェアする。体験型ケータリング「Mo:take」

様々なシチュエーションに合わせて美味しい「本物」を届けるというコンセプトのもと、東京を中心とした関東近郊にてケータリングサービスを提供している「Mo:take」。今回は、Mo:takeのフードクリエイター坂本英文(さかもと・ひでふみ)と、Mo:takeを運営する株式会社Yuinchuの代表小野正視(おの・ただし)に、Mo:takeの現在地についてお話をうかがいました。

わくわくするような、まだ経験したことのない食体験を

見た目は土(!?)だけど食べると美味しい“食べられる土”、鹿やイノシシ、ラム、牛の4種類のハンバーグから選べる“動物バーグ”など、遊び心いっぱいの「体験型ケータリング」を展開しているMo:take。そこから派生したメニューのプロデュースや、法人や個人のお客さんのプロダクトのプロデュース、自社商品の開発、そしてECサイトでの販売や卸なども行っています。

食を通して「体験」をプロデュースするそのスタイルに対して、魅力を感じた企業や人から声がかかることも多いそうです。では、Mo:takeが考える「体験」とはどんなものなのでしょうか。

 

小野:食事って生きてくうえで当たり前の行為なのですが、当たり前だからこそ楽しみたいし思い出に残るといいなと思っています。具体的に言うと、「五感で感じること」を大切にしています。そのほうが記憶に残るし、まわりの人にも「こういう体験したんだよ」って伝えられる。一つのコミュニケーションのきっかけになると思うんです。

 

坂本:ケータリングって基本的にイベントやパーティーなど、人がたくさんいる場所で提供することが多いので、そこでは確実に会話が生まれるわけじゃないですか。そういう場に五感を刺激する「まだ経験したことのない食体験」があったら、普通に料理があるよりももっとコミュニケーションが生まれやすいと思うんですよね。

美味しいをべースに、驚きの発見を

非日常を楽しめるMo:takeの「体験型」というキーワード。どんなきっかけで生まれたのでしょうか。

 

坂本:「飲食店ごっこ」をしている友人を見たときの気づきが大きいですね。飲食店に勤務している人にとって当たり前の「ビールサーバーでビールを注ぐ」ということも、それを経験したことのない人たちにとっては「やってみたい」ことなんですよね。そういうごっこ遊びみたいなものをやっている人たちを見て「素敵だな」って思ったんです。うちのケータリングやサービスを注文してくれたらこういう体験ができますよっていうプランを作りたいなって。「自分で体験してもらう」ことで食事としての価値が上がるんじゃないかと思ったんです。

 

小野:人を驚かせたいという気持ちも強かったですね。「美味しいよね」は大前提なのですが、「何これ!?」っていうコメントが欲しかったというか。

 

坂本:お客さんにとって「わー凄い!!」っていうものが一番最初に来ないと楽しくないと思うし、食べたいと思わないんじゃないかっていうのがあって。第一印象でどれだけインパクトを残せるかっていうところは一番考えている部分でしょうか。

 

でも、見た目だけを重視して味は二の次、のような料理だけは作りたくない。美味しいというベースがあって、その表現方法としてどうお客様に驚いてもらったり、喜んでもらうのか。そう考えながら作っているのだと坂本は言います。

Mo:takeでは、食にまつわるプロデュース事業も積極的に行っています。現在地を語るうえでは外せない活動です。

 

小野:今だとカフェなど店舗のプロデュースが増えています。内装やコンセプトだけでなく、その店舗に卸すコーヒー豆や茶葉まで僕たちのテイストがきちんと入ったものを伝えたいので、焙煎士さんや日本茶を扱える人達とディスカッションしながらMo:take COFFEEやMo:take JAPANESE TEAという商品を作って提供しています。最近では、「私達はこういうことをやっているから、こういう思いを込めたコーヒー豆、オリジナルブレンドを作ってほしい」といったオーダーが少しずつ増えてきています。それって、今まで僕らがプロデュースしてきたものに乗せていた想いがしっかりと伝わっていたからこそのオーダーだと思うので、うれしいですね。

 

坂本:プロダクトやメニューのプロデュースって、ケータリングとは形は違うのですが、根本はまったく同じだと思っています。つまり、「お客さんが求めているもの」をいかに形にしてMo:takeから発信するかだと思っています。

 

小野:僕は料理人ではないけれど、坂本と仕事をしてきたこの10年の中で、プロデュースやメニュー考案に必要な感覚みたいなものはかなり共有できるようになってきたかなと思っています。たとえばオーダーしてくれたお客さんが、見栄えのビジュアルにこだわっているのか、味のきめ細やかさにこだわっているのか、またはパフォーマンスなど出し方にこだわっているのかが、僕が一人で打ち合わせに行っても料理目線で理解できるようになりました。そのおかげで坂本にも精度の高いオーダーができる状態になってきたんですよ。でもそれって、このプロデュース事業の中で生まれた土台ではなくて、もともとやっていたケータリング事業の時からお客さんの求めているものをしっかり読み解くことを2人でやってきたからだと思っているので、坂本の言う「根本は同じ」というのはとてもよくわかりますね。

 

次回は11/6(火)に公開予定です。
「体験型」という、あるようでなかったケータリングのかたちをつくってきた坂本と小野。料理やお客さんへの思い、そして2人の信頼関係の深さがうかがえるインタビューになりました。次回は、2人がケータリング事業を始めるにいたった経緯を紐解いていきます。(続く)

ライター / たかなし まき

愛媛県出身。業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。人の話を聴いて、文章にする仕事のおもしろみ、責任を感じながら活動中。散歩から旅、仕事、料理までいろいろな世界で新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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