一人ひとりに配膳する、
ケータリングの新しい形
これまでケータリングという形で、美味しくて新しい食を表現してきたMo:take。それを移動式で実現するのが「Mo:take FOOD TRUCK」です。お客様のもとへ、安心安全で美味しい料理を、まさにMo:take(持っていく)。
小野:「Mo:take FOOD TRUCK」で最初に行ったのは、東京の駒込でした。Mo:takeのメンバーのおじいちゃんが営むお米屋さんがあるんですよ。そのお米屋さんから、「店の前にキッチンカーを置いていいよ」と言ってもらったのですぐに伺い、お弁当を販売しました。お米屋のおじさん、おばさんが「美味しいご飯がきたよ」とご近所さんやお客様に声をかけてくれて、出店した3日間、毎日完売しましたね。しかも、2時間くらいで。とても幸先の良いスタートになりました。
事業プランとしては、日本全国、様々な地域の食材を使った食を届けたり、[Vol.2]でお話ししたTARPtoTARPさんのカレーのような商品を一緒に届けたいと考えています。これもケータリングの新しい形としてみなさんに利用していただけるようにしたいと思っています。
これまで展開してきたケータリングでは、大きなテーブルにみんなで集まって、楽しく料理を分け合うという場を作ってきました。体験としての食に価値を感じていただいている実感もありました。ですが、このスタイルは感染症対策とは相性が悪いんですよね……。これまでのスタイルのケータリングの需要が戻るまで、まだ時間がかかると思っています。
でも、感染症が落ち着いてきたら、きっと、社員みんなで集う機会をつくりたいと考える企業は少なくないはずです。その時に、「奮発して、会社にキッチンカーを呼んじゃおうか。盛り上がるよね!」という選択肢を提供したいと思っています。その企業のカラーや集いのコンセプトに合わせた「オリジナルキッチンカープラン」があったら、面白そうだなと思いませんか? 一人ひとりに配膳する、ケータリングのキッチンカーバージョンとして提案できればいいなと思っています。
withコロナの時代にリスクを回避しつつも楽しめる機能をどうやってつくるか。その形のひとつが「Mo:take FOOD TRUCK」だと思っています。いずれは行政やメーカーさんなどが、「Mo:take FOOD TRUCK」を使って地域の特産品や自社商品をプロモーションするような利用方法も提案したいですね。そのために、「Mo:take FOOD TRUCK」の車体はとてもシンプルなデザインにしています。トラック自体をラッピングすると、どの企業や団体のカラーにも染めることができるように。
人が集まるモノゴトに
助けられたからできること
これまでスペースを借ることで行っていたポップアップショップやイベントを、「Mo:take FOOD TRUCK」で行うことができるということでしょうか。不動産(動かすことができない場)だけでなく、モバイル(動く状態の場)という選択肢が増えたと言い変えることもできそうです。
小野:そうなんです。キッチンカー自体はそんなに珍しいものではありませんが、従来の使い方は、土地のオーナーさんと交渉して、「ここに複数台のキッチンカーを出します、それを取り仕切ります」といった事業モデルだったと思います。僕たちは、イベントや場のマネジメントではなく、キッチンカーを使ってコンテンツを作ります。「Mo:take」でやってきたことを、キッチンカーを活用してカスタマイズできると思うんです。
「Mo:take FOOD TRUCK」をきっかけに生まれた商品は、キッチンカーだけでなく、店舗やECでの販売もできますよね。
小野:そうなんですよ。これまでYuinchuでは、レンタルスペース事業で人を集めて、ケータリング事業で食をコンテンツ化して提供してきました。ずっと、人が集まるモノゴトに助けられてきたわけです。だからこそ今回、大ピンチではあるのですが、もっと個に対してアプローチしたいという気持ちが、コロナ以前から僕の中にあったことに気づくきっかけにもなりました。それが、いろいろな仕掛けをかけ合わせる「HYPHEN TOKYO」というブランド構想の元になっています。
OEM開発についても力を入れていきたいですね。クライアントのコンセプトを元に僕たちがディレクションすることでプロダクト化し、工場と組むことで量産できる体制を作る。それによって、工場にもクライアントにも喜んでもらいたい。そうやって生まれたプロダクトが消費者のもとに届く。こんな流れを生み出したいんです。
結局、withコロナの時代の戦略というよりも、以前からやりたいと思っていたことを始める機会になったのかもしれません。ただし、長期的な目標だったものが、もっとピッチをあげて実現しなきゃならない状況にはなりましたが(笑)。
キッチンカーはただ走らせるだけだと、利益率は高くありません。なんなら赤字になりやすいんですよ。だから、「Mo:take FOOD TRUCK」をきっかけに生まれた商品を店舗やEC、それ以外にも多彩なチャネルで販売するような総合的な戦略が必須なんです。そして、その全体像の設計が、僕たちの得意な部分なんです。
行きつく先は、
一人ひとりの思いにこたえること
坂本:こんな状況になったからこそ、世界中の人たちが、食の大事さに改めて気づいたような気がします。僕たちは今後、一人ひとりのお客様に対して魅力的なモノゴトを伝えていくことにこだわります。その第一弾として、「Mo:take FOOD TRUCK」を始めたんです。
二人の話が進む中で、「Mo:take(持っていく)」という意味にますます近づいているのを感じます。これまで、ケータリングサービスとして、人の集まる場所に食事を届けていましたが、今後は、個人の手元までリーチするということでしょうか。
坂本:どれだけ大人数でケータリングを楽しんでいただいても、結局、一人ひとりのお客様が楽しんでいるか、満足しているか、なんですよね。だから、ある意味では何も変わっていません。一人ひとりに、思いを込めたものを届けたい。withコロナの時代に届けるためには、キッチンカーが最適かなと思っているんです。
自分の住む街にキッチンカーがやってきて、ご近所さんが同じお弁当を買って帰る。何気ないその行為の中に、地域の人との触れ合いや共有体験があります。きっと「Mo:take FOOD TRUCK」は、こういった共有体験を作っていくのだと思います。
坂本:まさにそうだなと思います。今後、ケータリングの需要が戻った時にも、東京だけじゃなく、日本全国、オンラインも含めて、同じものを食べる共有体験を提供できると面白そうですね。たとえば、みんなでTARPtoTARPのカレーをオンラインで食べるパーティを開催しても楽しそうですよね。コロナ対策によって市民権を得たオンライン飲み会も、ただオンラインで飲むだけではなく、同じものをみんなで食べたり飲んだりできたら、もっと楽しい体験になりそうです。今回、そんな新しい機会にも気づくことができました。
小野:オンラインでもオフラインでも、「誰かと一緒に体験したい」という気持ちは消えない、ということかもしれないですね。
「Mo:take」は、今までは集団という場をメインにしてきましたが、それ以外にも、「一緒に楽しむ体験を作る」という意味では、まだまだやれることがたくさんありそうですね。
小野:まさにそうですね。
もっと多くの人に
思いとサービスを届けたい
「Mo:take FOOD TRUCK」の話から、「Mo:take」の新しい未来が見えてきたような気がします。
坂本:今回のコロナウイルスによって、結果的に、新しい届け方や新しいコンテンツを考えるきかっけになりました。
小野:「Mo:take」はケータリングサービスが軌道に乗りはじめた段階でした。今後さらに盛り上げていくための施策を打ち出した瞬間に、コロナにチャンスを奪われたような気持ちがなかったと言えば嘘になります。けれども、新しい届け方を考えるきっかけになったのは間違いありません。代表としても、もっと一人ひとりの元に届けたいという思いが、コロナによって強くなりました。
Yuinchuのキーワードは「心を動かす」です。何人の人の心を動かしたのか、そこにこだわっていきたい。でも、僕たちは照れ屋なので、裏方として、人々が感動している姿を見てニコニコしていたい。僕がいろんなパートナーとアライアンスを組み、坂本が食の形でパートナー企業の思いを表現する。このスタイルで進めていきたいですね。
コロナウイルスがあったからこその気づき。それを活かして新しいことにチャレンジしたいと話す坂本。そして、以前から温めていた、一人ひとりの方に寄り添うサービスを追求したいと語った小野。苦しい経験を糧に、「Mo:take」の未来は、食の世界にまた新たな表現を創造していくのでしょう。
遊び心と一人ひとりを思う温かい気持ちが掛け合わさった「Mo:take」のチャレンジに、これからも期待しています。
– Information –
Mo:take
https://motake.jp/