アサリとトマトのソースで旨みを足す
坂本:白身魚のポワレによく合う、アサリとトマトのソースを作りましょう。
石川:前回教わった白身魚のポワレ、このままでも十分美味しそうですが、さらにソースを足していくんですね。贅沢!
ところで、アサリってあんまり普段買わないです。普通のスーパーに売っていますか?
坂本:鮮魚コーナーにだいたい置いてあります。海水の入ったパック入りのものがあれば、それを買えば砂抜きしないで済みます。水に浸かっていないものは砂抜きをします。使う30分前に、海水の濃度の食塩水の中にアサリを入れて、砂を吐かせておいてください。
坂本:白身魚を焼いたフライパンに残ったオリーブ油を大さじ3程度、小鍋に移します。そこに、パスタの時にもお伝えした、ニンニクのみじん切りをオリーブ油につけたものを入れます。さらに、オリーブ油を大さじ1程度足します。
材料を入れたら、火をつけます。これも白身魚のときと同じで、初めは弱火です。
石川:ニンニクのいい香りがしてきました!
坂本:そしたら、アサリを入れます。アサリを入れたら中火にし、軽く炒めてから白ワインを加えます。
石川:アサリの口が開いてきましたね!
坂本:アサリが開いたら、ミニトマトを加えます。今回はミニトマトを使いましたが、普通のトマトを切って使っても大丈夫です。
坂本:ここに大さじ3の白ワイン(または水)を加えて、少しだけ煮込みます。今回はフレッシュにしたいので、長時間煮込まず、トマトの皮が取れてくるぐらいまでが目安です。
石川:水を入れると風味が薄くなりませんか?
坂本:蒸発させてしまえば風味は変わらないので大丈夫です。もう少し火を加えたいときは少し水を足す、という方法を覚えておくといいですよ。
トマトが煮えてきたので少しだけ潰してみますが……あれ?ひとつだけ硬いトマトがありますね。
石川:頑固な子ですね(笑)。こういう個体差があって、素材は面白いですね。
坂本:潰れないので、このまま行きましょう(笑)。料理は臨機応変が大事です。さあ、トマトをある程度潰したら、味を整えます。塩をひとつまみ振ります。
石川:「ひとつまみ」って、すごく迷うんです。いったいどのくらいが基準なのかと。
坂本:だいたい1gぐらいのイメージですね。2本指か3本指でつまむと1gになります。手の大きさによって変わるので、一度、2本指か3本指で摘んだ塩の量を計量してみて、自分の「ひとつまみ」を決めるといいですよ。
塩を振ってから、ソースにトマトの赤みが移ってきた頃合いで火を止めます。
坂本:では、お皿に盛り付けをしていきましょう。まず、ソースのアサリとトマトをお皿に敷きます。魚の座布団みたいなもんですね。
石川:盛り付けの高さを出すんですね。
坂本:そしたら、アサリに立てかけるように魚を置きます。皮目が上に来るように置いてください。ななめに置くとかっこいいですよ。
石川:レストランのお皿みたいな感じになってきましたね。
坂本:ここから、鍋に残ったソースを沸騰させて、バターを加えます。バターを加えたら、高速でかきまぜます。
石川:ちょっと白っぽくなりましたね。
坂本:味噌バターラーメンのバターのイメージです。バターが完全に溶け切ってしまうと油っぽくなり、バターの風味が損なわれるので、溶けかけのバターを全体の混ぜるイメージで。少し白っぽさが残るぐらいの感じですね。
坂本:出来上がったソースを魚の上からかけて、さらにパセリを散らし、胡椒を振って完成です!
お店でしか食べられない味が、自分でもできそう!
石川:では、さっそく味見をします!……本当にパリパリでフワフワですね。美味しい!!塩をたくさん振ったと思っていたんですが、食べてみるとちょうどいい塩加減です。ソースもよく絡んでいるし。
とにかくこのフワフワ感がたまらないですね。でも、皮や焼いた面はパリパリなんです。
坂本:2つの食感が楽しめるのがいいですよね。
石川:お店でしか食べられないお魚の味がします!でも、工程は本当にシンプルだったので、家でもできちゃいそうですね。アロゼ、楽しかったので家でもやってみます。
おまけ:冷凍の魚の扱い方
石川:今日は鯛を使いましたが、その他の魚でもポワレに向いているものはありますか?
坂本:赤身や青魚は香りが強いので、好みが出ちゃうと思います。料理に慣れていない人でも扱いやすいのは、やっぱり白身魚ですね。味がたんぱくなのと、身がある程度締まっているので。
石川:初心者は、素材の風味が強すぎない方が、失敗が少なそうですね。
坂本:今日は真鯛を使いましたが、鯛にはいろいろな種類があります。スーパーで見てみるのも面白いですよ。白身魚だと、他にスズキなどもいいかもしれませんね。タラだと少し柔らかすぎちゃうかな。
石川:今日は生の魚でしたが、冷凍した魚を解凍して使う場合、どうすれば美味しくできますか。
坂本:一番いい解凍方法は、冷蔵庫解凍ですね。料理の6時間前に冷蔵庫に移しておいて解凍します。
余分な水分を取る必要があります。塩を振って1〜2分置き、出てきた水分をペーパータオルで拭き取ってください。その時に塩分も一緒に取れるので、調理の時は改めて塩を振ります。
石川:意外と簡単なんですね!
白身魚のポワレ 「どこよりも細かい」レシピ
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どこよりも細かいレシピポイント
「ポワレ」は、油をかけながら焼く「アロゼ」という工程を含む料理のこと。身をつぶさずに、フワフワの焼き上がりが楽しめる。
<下準備>
1)(砂抜きが必要なあさりの場合)30分程度砂抜きをする
どこよりも細かいレシピポイント
海水と一緒にパック詰めされているものは砂抜き不要。乾いた状態で売っているものは砂抜きが必要。
2)ミニトマトのへたを取っておく
どこよりも細かいレシピポイント
ミニトマトでなく、トマトを切って使ってもOK!
3)ニンニクをみじん切りにし、オリーブ油につける
4)白身魚に切れ目を入れる
どこよりも細かいレシピポイント
うろこに対して斜めに、包丁も斜めに入れるのがポイント。火が通りやすくなる上に、見た目もきれい。
5)白身魚に塩胡椒をする
どこよりも細かいレシピポイント
塩は臆せず裏表にしっかり振る。胡椒はミルで挽くタイプがおすすめ。仕上げに散らすだけで、料理がグレードアップ!
<作り方>
1)フライパンにオリーブ油を入れ、魚を入れて火にかける
どこよりも細かいレシピポイント
最初は中弱火。シュッという小さな音がして、魚の周りに小さな泡が立ってきたら弱火にする。
2)オリーブ油を魚にかけながら加熱し(アロゼ)、焼き上げる
どこよりも細かいレシピポイント
・大きなスプーンで魚に油をかけていく。
・身の厚いところ、薄いところがあるので、熱が均等に行き渡るよう、油をかける回数で調整する。
・焼き上がりは魚の身の中の温度で確かめる。切り身の厚い部分の真ん中あたりまで金串を刺して3秒待ち、引き上げて手の甲に当てる。「あつっ」となればOK。
・金串を当てて「あつっ」となったら、アロゼは終わり。弱火のまま皮面を焼く。
・少し持ち上げて皮面を確認。ほどよい焼き色になっていたら火を止める。
3)アサリとミニトマトでソースをつくる
どこよりも細かいレシピポイント
・トマトは少しだけ潰してフレッシュな食感に
・素材に火を加えたいときに「白ワイン少量」または「水少量」を入れて煮込むテク
・「塩ひとつまみ」は個人差があるので、自分のひとつまみを一度測っておくとGOOD
4)ソースと魚を盛り付ける
どこよりも細かいレシピポイント
・アサリとトマトは魚の座布団。盛り付けの高さを出すため、皿に敷いて使う。
・魚はアサリとトマトに立てかけるように。斜めに置くとさらに立体感が出る。
・ソースにバターを入れる工程は、完全に溶けたバターではなく、少し白っぽさが残るぐらいの感じで。味噌ラーメンの「溶かしバター」をイメージすると◎