「レシピの行間を伝えたい」
インスタライブで気づいた料理への想い
「すでに今年一番影響を受けたといってもいい人、そして感謝したい人」「『好きを仕事にする』料理家SHIORIさんのインスタライブが有益すぎて感動!」
今春、新型コロナウイルスによる自粛期間中にSHIORIさんが始めたインスタライブが話題となりました。
インスタグラムやTwitterに並ぶコメントを見ていると、毎日3食、家族のために食事を作っている母たちにとってSHIORIさんが料理を作るインスタライブの配信がどれだけありがたいものだったかが伝わってきます。
SHIORIさん:自粛期間中に家族みんなが3食を家で食べる状況になり、ただでさえ忙しいお母さんはメニューに悩んだり、買い物に調理に片付けと、一気に仕事量が増え疲労の声が聞こえてきました。そんな時、レシピを提案するのが私の仕事なので、何か役に立てる事があるのならこんな時こそ動かなくては!という想いで始めました。
私自身、レシピ本「作ってあげたい彼ご飯」の出版がきっかけで今があるんですけど、インスタライブをやってみて、私が本当に伝えたいのは、隠れたレシピの行間だったんだなと実感するようになりました。行数が限られている雑誌や本のレシピでは書き起こせないことがたくさんあるんですけど、でも実は、おいしさの鍵は書ききれていない部分にこそあるんだなって。
オウンドメディアでは、レシピに込めた想いとか本当に伝えたいことをつらつらと話しながらやれるので自分にとってもすごくありがたいですし、逆に生徒さんもそれを魅力に感じて喜んでくれているみたいですね。お互いがハッピーなので、このメディアをこれからも育てていきたいなと思っています。
SHIORIさんの言葉が、
多くの女性の心に響く理由
SHIORIさんが好きな料理を仕事にして生きていこうと決めたのが20歳。料理家のアシスタントとして働きながら「若い子が作る若い子のためのレシピ本を22歳までに出す」というビジョンを描き、見事にそれを実現しました。それどころか、著書は累計400万部を超える大ヒットとなりました。
SHIORIさんのインスタライブを視聴している人たちは、美味しい料理の作り方を知りたいだけでなく、プロの料理家になるため、そしてなってからも自分に課してきたことなど、SHIORIさんの経験に基づく仕事観や人生観や、決して妥協しないその信念に裏打ちされた言葉に触れることも楽しみにし、たくさんの刺激を受けているようです。
SHIORIさん:20歳の時、若い子が作る若い子のためのレシピ本にするためには、ギリギリ学生とも言える22歳がリミットだと思ったんです。だから22歳までに絶対に出版する、私の猶予は2年間しかない。だったらその期間死ぬほど努力をしようと決め、実際にやり抜きました。
多くの人が、夢ややりたいことを持っていると思うんです。でも、実現の仕方がわからないが故に「あの人は人脈があったからできたんだ……」とか「あの人は才能やセンスがあったから……」などと、諦める言い訳を先に探してしまうことって少なくないと思うんです。
私もコネも人脈も特別なものも何もないどこにでもいる女の子でした。もし何か違うものがあるとすれば、みんなが続けられないことをコツコツ続けてきたこと。地味だけどそれに尽きると思うんですね。
コロナにより暮らしの価値観が大きく揺さぶられはじめた当時、多くの人が不安を抱え仕事や生き方そのものを変えたいと感じている人も多いのでは……と思いました。
「好きを仕事にする」というインスタライブでの発信の背景には、私の経験を通して、悩んでいる人の背中を少しでも押すことができたらいいな、という想いもありました。
結婚したら私はどうなる?
不安を払拭するために起こした行動
「成し遂げたいことがあるのに途中でブレて諦めてしまったら、その夢は途中で終わってしまいます。諦めないことしか、その夢をつかむ道がわからなかったんですよね」と、語るSHIORIさん。
自分が描いた夢に向かって迷わず進み続けているように見えますが、そんなSHIORIさんでも、先が見えなくなって不安に駆られた時がありました。
SHIORIさん:2007年にレシピ本を出して、2011年に結婚した時です。私がレシピ本のターゲットとしていたのは料理初心者の女の子で、私自身が同じ立場であることが強みでもありました。だけど結婚したら同じ目線でいられなくなるし、主婦の料理研究家もたくさんいます。私はどうなっちゃうんだろう、と焦りを感じました。
同時に、料理で好きな人を喜ばせたいという情熱だけで走り続け、求められるがままにアウトプットし続けていたら、自分がどんどん干からびていくのも感じていて。本来、女性が大きな幸せを感じるはずの結婚というタイミングで不安がピークになっていましたね。
そんなSHIORIさんが決めたことは、自信をつけるために経験を積むこと。年に数回、1〜2ヶ月のスパンで仕事を休んで世界各国へ行き、料理の勉強をするようになったといいます。
SHIORIさん:4、5年の間にいろいろな国に行って勉強し、その経験こそが私の視野と知識、経験を広げてくれました。そのターニングポイントがなかったら今の私はないと思っています。
11/24(火)に公開予定の次回は、結婚に次ぐ女性の大きな転機、出産を経て変化したSHIORIさんの食や環境に対する意識の変化についてお聞きします。(つづく)
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