2019.07.02. | 

[Vol.1]温度を伝えあう食卓と、人とのつながりを大切に、 生活に根ざしたデザインを発信するーサーモメーターー

食やお酒にまつわる楽しそうな企画をやっているけれど、もともとはデザインが本職で、さらには器のお店とスナックもやっていて、地域にフォーカスした活動などもしているという、一言では説明できないけれど、とても魅力的な会社が中目黒にあります。「surmometer inc.」。会社のことがもっと知りたくて、代表の山本加容さんと、一緒に会社を立ち上げた宇野昇平さんに、お話を聞いてきました。

食べることとお酒が大好きだから、think “hot” table

中目黒は目黒川の川沿いから、さらに代官山寄りに奥まった通り沿いに「サーモメーター 」はあります。入り口はお店になっていて、それが「工藝 うつわと道具 SML」。取材に伺った日は、ちょうど2日後に始まる展示会に向けて、作品の搬入の真っ最中でした。

 

山本さん:サーモメーター が企画デザイン会社で、うつわ屋の「SML」、そして清澄白河ではスナック「ちんぷん館 TOKYO」をやっています。社外の人と「GRAYSKY project」という日本海地域から豊かな暮らしを学ぶプロジェクトもやっていますし、個人活動として私は熟女イベントをやったり、宇野はDJもやったり。プライベートと仕事の境界はまったくないですね。

 

そんな多彩な活動の中でも、2人が大事にしているのが社名のサーモメーター の由来にもなっている「温度」だそうです。

 

山本さん:Webサイトのテーマが「think “hot” Table」です。もともと私もスタッフも、食べることとお酒がものすごく大好きなので、“温度を伝え合う食卓”みたいなところを大事にしてやってきたんです。

 

そして、その食卓で生まれたつながりを大切にしてやってきたら、食のイベントだったり、レシピブックのデザインだったり、お料理教室の会報誌のディレクションだったり、食関係のお仕事のお声かけをいただくことが増えてきた感じですね。

 

 

サーモメーター  は幻の文房具ブランド「スコップ」から始まった

常に笑顔で、好きなことや仕事に対するあふれ出す思いを語ってくれる山本さんに対し、隣で静かに見守っているかのような温和な雰囲気の宇野さん。2人が一緒に仕事をするきっかけは、あるライフスタイル系の新規雑誌の立ち上げに参画したことだったそうです。雑誌が立ち上がってもそこで終わることなく、2人は事務所をシェアすることになりました。

 

山本さん:2人ともグラフィックやウェブのフリーランスのデザイナーで、当時は互いに色々迷っていた時期だったんですよね。たまたま文房具の話で盛り上がって、文房具のブランドをやろうってことになったんです。「スコップ」っていうブランド名まで決めて、油紙に包んだスコップを100人ぐらいに送ったりしてね(笑) 

結局それは実現しなかったんですけど、2人でマンションの一室を借りて、そこからスタートしました。

 

宇野さん:最初は、デザインとか映像とか、アパレルショップのショーウインドーの企画から、お店のBGMの選曲までやってましたよ。それも、ショーウインドーの相談で来たお客さんが「なんでこんなにCDがいっぱいあるんですか? じゃあ選曲もお願いします!」って。

当時なんて僕たちいつも飲み歩いていて、ほとんどの仕事は飲み屋で取る、みたいな感じで(笑)

 

山本さん:それは今も変わらないんですけどね(笑) でも、本当にまあ最初の10年ぐらいは毎日ケンカしてました。睡眠不足すぎてイライラしてたのかもしれないけど。

 

宇野さん:怒りでボールペンを折ったりもしてましたね。同じ方向を見てるんですけど、お互いプロセスが違うんですよね。だから僕たちのケンカを見てる人は「二人とも同じことを言ってるよ」って(笑) 

 

 

仕事とは、人と人とのつながりからしか生まれない

そんな2人の最初の事務所には、クレーンで吊り上げてベランダから入れてもらったバーカウンターがあったそうです。そこが打ち合わせスペースであり、仕事をする場所だったとか。

 

山本さん:バーカウンターと、ステレオとか音響にだけお金をかけた事務所でしたね。気づいたら一緒に飲みたい人や話したい人が夜な夜な集まったり、事務所での飲み会がイベント化したり。47都道府県をテーマにした飲み会も毎週やっていました。

 

宇野さん:毎日8時になると知らない人たちがいっぱい入ってきてお酒飲んでいて、スタッフは端っこの方で仕事してたりとかね。

僕たちは営業活動というものをしたことがほぼないんですけど、結局仕事っていうのは人と人とのつながりでしかないな、ということに最近気づきました。多分、僕たちがいろんなことをやってるのも、人とのつながりを作っていきたいという気持ちがすごく強いからだと思うんです。というか、それしかないよね、というところだと思います。

 

山本さん:スタッフにも、人生は人脈で決まるから、と言っています。20代の時にはただの飲み友だった人が、今はお店を経営していて仕事をくださったり、本当にほぼお酒のつながりですからね。

 

宇野さん:ペーペー同士で飲んでたのに、僕らぐらいの歳になると部長とか社長になっている人も当然いたりするからね。

 

温度感のある食卓を囲み、お酒を飲みながら広がっていった人脈と、そこから生まれた仕事やイベントの数々。

7/9(火)公開予定の次回は、お二人が手がける仕事や企画、イベントについてより深く、掘り下げてお聞きしていきます。(つづく)



– Information –

surmometer inc.(サーモメーター 株式会社)

東京都目黒区青葉台1-15-1 AK-Iビル 1F

https://www.surmometer.net

 

工藝 器と道具 SML

東京都目黒区青葉台1-15-1 AK-Iビル 1F

http://sm-l.jp

Instagram:https://www.instagram.com/sml_nakameguro/

 

ちんぷん館 TOKYO

東京都江東区清澄2-5-3

Facebookhttps://www.facebook.com/chinpunkan/

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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