2019.07.09. | 

[Vol.2]温度を伝えあう食卓と、人とのつながりを大切に、 生活に根ざしたデザインを発信するーサーモメーター ー

”温度を伝えあう食卓”を中心に、そこで生まれた人とのつながりから、さまざまな仕事や企画を生み出している「surmometer inc.」。2回目の今回は、会社の隣で営むうつわ屋「工藝 器と道具 SML」や、社外の人も一緒に取り組んでいるという「GRAYSKY project」などについて、代表の山本加容さんと、ビジネスパートナーの宇野昇平さんにお聞きします。

常に半歩先、一歩先を提案する

その視点を持ち続けたい

目黒川から代官山方面に奥まった通り沿い、サーモメーターの隣にある「工藝 器と道具 SML」。取材にお邪魔した時は、企画展「ミントチュチュレザーwith河原崎貴」の搬入真っ最中。

鳥取県米子市に工房兼店舗を構える「ミントチュチュレザー」川口淳平さんの革や帆布を用いたバッグや小物、金工作家の河原崎貴さんにがこの展示に合わせて製作したという「SMLオリジナルフライパン」などで、店内が彩られていました。

 

宇野さん:うつわ屋をはじめたきっかけは民藝にありますが、今は作家ものも、デザインものも扱っているし、バッグなども扱っています。普通、うつわ屋というと敷居が高いと感じる人も多いんですが、このお店には「初めてお茶碗を買いに来ました」というような方たちにも来てもらいたいと思っています。

気をつけているのは、売れるから仕入れるのはやめよう、ということ。10年もやっていると、売れるものやお客さんから求められているニーズもわかるんですが、生活に寄り添うんじゃなくて、半歩先か一歩先を行く、「こういう生活って面白くない?」という提案をしていきたいという思いがあって。その視点を忘れないようにやっていますね。

 

黒く光った鉄製のフライパンの取っ手に、ミントチュチュレザーのカバー。その斬新な組み合わせはまさに、生活者の一歩先をいく提案ではないでしょうか。目にした瞬間、欲しくてウズウズしてきました。

 

 

空がグレイな日本海側の、豊かな食文化を伝えるプロジェクト

さて、次は日本海地域から豊かな暮らしを学ぶ「GRAYSKY project」について。新潟で生まれ育った私からすると、「グレイスカイ」というネーミングは、「おお!」という感じ。冬のどんよりした低い空は、私の中ではどちらかというと負のイメージと直結するからです。

 

山本さん:私が金沢出身で、子どものころから空がグレーな印象があったんです。でも、うつわの窯元さんが山陰など日本海地域に多くあるんですよね。それに、40歳をすぎてから日本酒にすごくハマったんですが、臭くて美味しいつまみが全部、日本海側地域のものだったりして、日本海地域の食文化はすごいなって感動したんです。

だって、フグの卵巣を食べるとか、東京の人は知らないですよね? そういう豊かな食文化をもっと伝えていきたいなと思ったのと、窯元さんの後継者問題とかさまざまな課題を聞くうちに、何か貢献できないかなという思いが出てきてスタートしました。Webサイトで日本海地域の魅力や文化を発信したり、イベントを開催しています。

昨年は山形の東北芸術工科大学の友人にお声がけいただいて、左市(あてらいち)というマルシェへの出店やセミナーでのトークをやらせてもらったり、大学の講義にも飛び入りで参加させてもらったり。旅行し、学びながら現地の人と交流できて、すごくいい時間になりました。

 

山本さんの話を聞いていると、グレーな印象の日本海側に、わくわくを感じてくるから不思議です。視点を変えると、それまで見えていなかった魅力が見えてくる。あらゆることに対して、そんな視点を持つとすべてが楽しくなるだろうな、と思わされました。

 

 

大切なのは、誰とやるか、誰から買うか
みんなの心と財布を豊かにしたい

話を聞いていくうちに、vol.1冒頭で山本さんがおっしゃった「プライベートと仕事の境界はまったくないですね」という言葉がまさにその通りだと実感。いろんな企画や仕事のアイデアが浮かんだり、話を持ちかけられたりする中で、やるかどうかの基準はどこにあるのでしょうか。
 

山本さん:私の中に「これをやらない」という選択肢はないんですよ。すべて、人です。

この人が作っているから買いたいし、やったことがないことでもやってみたいと思うし、自分が役に立てることがあれば役に立ちたいと思うし。

誰とやるか、誰から買うか。やっぱり人ですね。それはいつも同じ人とだけつるんでいる、というわけではなくて、直感というか、初めて会った人とでも「この人と何かやってみたい」ということもたくさんあります。

 

さらに山本さんは、こう言います。

 

山本さん:最近、心の中でいつもつぶやいているのは、「心もお財布も豊かに」ということ。お仕事でいくら心が豊かになっても、お金がどんどんマイナスになってくるとつらくなるし、スタッフに笑顔でいてもらうためにもやっぱりお金は必要です。

自分たちもお客さんも、その先の消費者もユーザーも、みんなが心もお財布も豊かになれるお仕事だったらいいなって思っています。

 

何より人を大事にし、互いの豊かさを大切にし、そのためにはお財布の豊かさも欠かせない。だからこそ、山本さんと宇野さんの周りに、どんどん人と人との縁がつながっていくのでしょう。

7/16(火)に公開予定の最終回は、そんなお二人が現在進行形でやっている人気のイベントや、のこれからについてお話を聞かせていただきます。二人の頭の中には、どんな未来が描かれているのでしょうか。




– Information –

surmometer inc.(サーモメーター 株式会社)

東京都目黒区青葉台1-15-1 AK-Iビル 1F

https://www.surmometer.net

 

工藝 器と道具 SML

東京都目黒区青葉台1-15-1 AK-Iビル 1F

http://sm-l.jp

Instagram:https://www.instagram.com/sml_nakameguro/

 

ちんぷん館 TOKYO

東京都江東区清澄2-5-3

Facebookhttps://www.facebook.com/chinpunkan/

 

GRAYSKY project

https://www.graysky.life

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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