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Food Experience Story
2024.11.21. | 

[Vol.1]喜びをシェアするファミリーレストランを。たからもの・和田訓一

みなさんは、小さい頃に食卓で親が食べているものがうらやましくなってしまい、分けてもらったらおいしくて感動した経験はありませんか?大人になった今でも好きな食べ物にはそんな小さい頃の食体験がきっかけになっていたりするものもあるはずです。

小さなお子さんがいる家庭での食卓は悩みがつきもの。「子どもに何を食べさせてあげるべきか」「子どもが好き嫌いせずに食べてくれるか」そんな悩みを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか?

「家庭の食卓は、家族みんなで過ごす大切なひととき。」そう語るのは、小田原で“おとなとこどもが、おそろいの食事を楽しめるファミリーレストラン”をコンセプトにした「Family Restaurant Ne;(ネ)」のオープンに向けて準備を進めている、株式会社たからもの・和田訓一(わだ・のりかず)さんです。

和田さんは現在、「たからもの」だけでなく、新卒から勤めている企業の会社員でありながら新しい挑戦をはじめています。その背景には、一体どんなストーリーがあるのでしょうか?今回から3回にわたって、お届けしていきます。

幼少期から変わらずに大切にしていることは「遊び心」。

「たのしみだね。」「おいしそうだね。」おとなとこどもがおそろいの食事を楽しめるファミリーレストラン『Family Restaurant Ne;』は、会話の語尾に付く「ね」という言葉の響きと、食べることは生きる上で欠かせない「根」となる営みだからこそ食べることを好きになって欲しい。という想いから名付けられたそうです。

名付け親である和田さんは、新卒で入社した会社で広告業界に現在も関わりながら、起こした会社「株式会社たからもの」で、これまでとは異なった業界「飲食業界」へと一歩踏み出しました。

 

−−今日は新しい概念のファミリーレストランを手掛ける和田さんの想いやルーツがどんなところにあるのか。そのあたりを掘り下げて聞いていきたいと思っています!早速ですが、まず幼少期の和田さんは、どんな少年だったのか、教えていただけますか?

和田さん:僕は自然環境に恵まれている小田原で生まれ育ちました。だから、小さい頃はよく外で遊んでいて、楽しいことが大好きで、よく遊ぶ子どもでしたね!登下校では山道や川辺を探検して秘密基地を作ったり、放課後はみかん畑を鬼ごっこのフィールドにしたり、そこにある自然のなかで自分たちでどんどん遊びを作っていました!

子どもの頃はとにかく、そうした外遊びを通して友達とはいつも自分たちが“ワクワク”できる瞬間を追い求めていた気がします。

そして、小さい頃の色んな経験の延長線上で、今もずっと私生活も仕事も「何がやれたら楽しいかな?」「ワクワクするかな」っていうことばかり考えています!(笑)

 

−−子どものころに自然の中で楽しいことを見つけて遊ぶ経験は貴重ですね!そうした経験が今の和田さんに繋がっているんですね。ちなみに、好奇心旺盛の子ども時代の夢はありましたか?

和田さん:はじめは医者になろうと思っていました。僕は医者の孫として生まれ、父は別の仕事をしていたので後を継ぐなら自分が継ぐことになる、という責任を子供ながらに感じていたんです。そして、小さい頃から病院で患者さんのために働く祖父母の姿を見ていて尊敬もしてました。でもお医者さんになるのは簡単なことではないので、そのために遊ぶことや当時やっていた大好きなバスケを我慢して、中学受験に集中してとにかく頑張って、進学校に入学したんです。

 

−−外遊びが大好きな少年から、少しずつ大人になる瞬間ですね!そうした使命感を持ちながら着実にその道に向かっていったわけですね!

和田さん:そのはずだったんですけど、、ある時、自分が病院を継いでからの未来を想像してしまったんです。祖父母の病院は1階が病院、2階が自宅でしたから、病院を継ぐとなると毎日1階で診察をして、2階の自宅に帰っていくルーティンになる。考えれば考えるほど、「これは自分にとって楽しいのかな」とか「これでいいんだっけ?人生って。」って考えるようになってしまったんですよね。

そうして自分の未来をもう一回考え直してみると“今いる世界から飛び出したい、もっと広い世界があるはず”だと思うようになっていき、少し外の世界もみてみようという想いも芽生え始めて、高校時代にカナダに留学する経験をさせてもらいました。

カナダは通っていた学校のサマースクールで最初行ったのですが、移民の人々が多い国で、中国系やヨーロッパ系の人、本当に色んな人が英語を話しながらみんなで一緒に暮らしてる場所で、実際に生活してそこで自分が日本人としてどういうカルチャーショックを受けて帰ってくるのか知りたかったし、いろんな人の生き方を一度見てみたかったんですよね。

その時の留学期間は2年半ほどでしたが、今までにない新鮮な体験が多く、すごく刺激になりましたね!

−−そうだったんですね!自分の気持ちに正直になって、将来にきちんと向き合った結果の留学だったんですね。そうした経験をすることで自分の現在地が見えたりしますよね。

 

自分にとっての失敗も、笑顔で背中を押してくれた母。

−−医療業界を一度は志したものの、そこから自分と向き合って様々な経験をされてこられたと思います。そんなワクワクや楽しいを大事にする和田さんは、今広告業界にいらっしゃるということですが、今の会社に入社するまでのお話も少し教えていただけますか?

和田さん:大学生活も色々ありましたが、今の自分になるまでに大きく影響したのは就活での出来事ですね。僕は留学も含めて色々と経験をしてきたものの、当時は、“これがしたい”という明確なものがなかったんです。結果的に、自分はどんなことやってきて、どんなポテンシャルを持っている人間なのかをアピールして、挙げ句の果てには「俺という人間を採りたければ、どうぞ採用してください」みたいなスタンスで割と尖ってたタイプの就活生でした。(笑)

もちろん、うまくいくわけなく(笑)、社会勉強の一環で世の中にどんな仕事があるのかを知りたいという理由から、最後は人材業界の会社を受けていました。

 

−−そのスタンスはかなり尖ってましたね!(笑)でもその個性と持ち前の好奇心、行動力で内定を?

和田さん:まぁなんとか。。。本当に滑り込みという状況ではありましたが、内定をいただきましたね。
ところが、入社する直前で、1単位落として大学を卒業できないというありえない事件を起こしてしまいました。。。(笑)
しかもその1単位というのが留学で磨いていたはずの英語なんです!(笑)

 

−−これはかなりの事件ですね!

和田さん:はい、もうさすがにこれはやばい!って思って、親に言う前に、当時内定をいただいた会社の人事の方に相談をしたら、「うちに入社したいという気持ちがあるなら待ちますよ!」って言ってくださったんですよね。

 

−−それはすごい!きっと和田さんの人柄というか誠意が届いたんですね!

和田さん:もう本当にありがたくて。。でもここで厄介なのは自分の気持ちなんですよ。
ありがたいなっていう気持ちを持ちながらも、どこかモヤモヤしてしまっていたんです。。。その時、僕の中では就活に対して煮えきっていないというサインだと思ったんですよね。結果的に、人材系の会社には話し合って丁重にお断りして、もう一度しっかりと就職活動に向き合ってみることにしたんです。

 

−−なるほど、ある意味ではこの結果が改めて自分の将来を見つめ直すきっかけになったわけですね。そうして、その一年で向き合った結果どうなっていったのでしょうか?

和田さん:自分の求めてた働き方は何なのか、自分自身と再度とことん向き合いました。
そして、自分の好奇心やワクワクする気持ちを満たしてくれそうな、思いっきり魂を注いでやれるような仕事って軸で考えたときに、飛び込んでみたいと思ったのが広告業界でした。

そこから、自分が目指してみたい広告業界を知ろうと思い、気になった広告会社のOBに片っ端から会いにいってお話しさせていただき、自分がやってみたいと思っていることがズレてないかを確認して、「よし!大丈夫そうだ!」と確信がもてたところで、初めて両親に「すみません、単位落としました!」って謝罪しに実家に帰りました。(笑)

 

−−親への謝罪、、これはかなり勇気が必要な瞬間ですね!単位を落としたと伝えた時の、ご両親の反応はいかがでしたか?

和田さん:父は「馬鹿野郎!今すぐ会社に謝ってこい!」とブチ切れでした。(笑)でも、それを横目に見ていた母が怒るでもなく優しい顔で「これは神のお告げよ。いいじゃない、それは多分そういう運命ということなのよ。だから自分の思うようにもう一度やり切ってみなさい、そして結果残しなさい。」って言うんです。この時のことが一番僕の記憶に残っている母のエピソードですね。そうして、背水の陣でスタートした2年目の就活で、今の会社とご縁がありました。

 

−−良いお話しですね!厳しくも見守るお父様と大らかに包み混むようなお母様に支えられて、悔いなく就活をやり切ることができたんですね。

小さい頃から楽しいことが大好きで、自分の気持ちには正直に生きてきた和田さん。社会人となって広告業界でバリバリと働く一方で、転機となる出来事があって、地元小田原でファミリーレストランを開業することに。

次回は、社会人として働きながら新しい挑戦を始める和田さんが、なぜ地元の小田原でファミリーレストランをはじめようとしているのか、そして何が和田さんを突き動かしているのかを伺っていきます。

Vol.2はこちら

 

– Information –
Instagram(たからもの)
Instagram(Family Restaurant Ne;)

ライター / Mo:take MAGAZINE 編集部

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