
お米を買うのではなく、「待つ人」になる
「確穂米」は、信頼する農家が育てるお米を収穫前から一年分確保し、収穫後、毎月精米したお米を受け取る仕組みです。
一般的には、収穫されたお米が流通し、店頭に並んでから私たちは購入します。
確穂米では、その順番が少し違います。
まだ田んぼでお米が育っている段階から、「この農家のお米を食べたい」と決めておく。
すると農家にとっては、お米をつくるその先に「待ってくれている人」がいることになります。
食べる側にとっても、市場に並ぶたくさんのお米からその都度選ぶのではなく、毎年同じ農家が育てたお米を食べ続ける関係が生まれます。
「安いから買う」「高いから買わない」だけではなく、
「この人がつくったお米を、これからも食べたい」
そんな選び方があってもいいのかもしれません。
お米が店頭から消えた日
この仕組みが生まれた背景には、株式会社ゆうきが長年大切にしてきた、生産者とのつながりがあります。
2001年に農産物の産地直送事業からスタートした同社が、「食の安心」について改めて深く考えることになったのが、2011年の東日本大震災でした。
当時、東京都世田谷区大原で八百屋を営んでいた同社。
震災による流通の混乱で、それまで当たり前のように店頭に並んでいたお米が消えてしまったといいます。
そんな状況のなか、お米を用意してくれたのが、日頃からつながりを築いていた農家でした。
食べるものが安定して届くことは、決して当たり前ではない。そして、その安心を支えているのは、商品そのものだけではなく、つくる人との関係なのかもしれない。
その経験は、「安心は、信頼できるつながりから生まれる」という考えへとつながっていきました。
そして2024年以降、米の価格や流通が大きく揺れ動くなかで、もう一度問い直します。
食べる人が安心してお米を食べ続けるためには、まず、つくる人が安心して米づくりを続けられなければならないのではないか。
その問いから生まれたのが「確穂米」でした。

「もう一度、蛍が見られる田んぼに」
そして、この仕組みの向こう側には、実際に田んぼに立つ人がいます。
長野県佐久市で米づくりを続ける、市川裕也さんです。
家族が守ってきた田んぼを受け継ぎ、15年以上にわたって米づくりに向き合ってきた市川さん。
市川さんが目指しているのは、たくさんのお米を効率よくつくることだけではありません。
その想いを象徴するように感じたのが、
「幼い頃に当たり前のように見ることができた蛍を、もう一度この土地に戻したい」
という言葉でした。
市川さんが取り組む「生きもの田んぼ」では、農薬・除草剤・化学肥料を使わず、米ぬかやもみ殻など、田んぼから生まれたものを再び土へ還しながら米を育てています。
そこにはカエルやトンボ、メダカなど、さまざまな生きものが暮らします。
お米をつくる。
田んぼを守る。
生きものが戻ってくる。
そして、そのお米を誰かが食べる。
一杯のご飯からは見えにくいけれど、その向こうには、そんな風景が広がっています。

『ゆうきやの確穂米®』を〝今〟届けたい理由
今回、Mo:take MAGAZINEがこの取り組みに惹かれたのは、「一年分のお米を予約できる」という便利さだけではありません。
食べる人の選択が、つくる人の安心につながる。
そして、つくる人が田んぼに立ち続けられることが、私たちがこれからもお米を食べられる未来につながっていく。
そんな関係を、目に見える形にしようとしていることでした。
普段スーパーでお米を手にするとき、その田んぼの風景や、つくっている人の顔まで想像することは、それほど多くないかもしれません。
でも、「どのお米を買おう?」
から、「誰のお米を食べ続けたいだろう?」へ。
ほんの少し問いを変えるだけで、毎日の食事と農業との距離も変わってくるような気がします。
100年先の食卓というと、ずいぶん遠い未来に聞こえます。
けれど、その未来をつくっていくのは、今日食べる一杯のご飯なのかもしれません。
「ゆうきやの確穂米®」という取り組みが、いつもの食卓の向こう側にいる人や田んぼに目を向ける、ひとつのキッカケになりそうです。
-infomation-
株式会社ゆうき