2019.03.05. | 

[Vol1.]エプロン1枚でカッコイイ自分になる。“Let’s change an apron” -「DRESSSEN」後藤順一

パッと目を引く、シンプルで心に刺さるメッセージ。クラフト感のあるカッコ良さ。これまでのエプロンのイメージをガラっと変えたのが、2015年にスタートした人気のエプロンブランド「DRESSSEN」です。ブランドを手がける後藤順一さんに、DRESSSENの誕生秘話やこれからの展開についてお話を聞かせていただきました。

人任せにせず、すべての人に自分で対応したい

DRESSSSENのエプロンが一般の人にも広く知られるようになったきっかけは、“逃げ恥”こと、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)。新垣結衣さんが演じた主人公のみくりが「YES! GOOD! JOB」や「TRUST ME」のメッセージが入ったエプロンをしていたことで話題になりました。ブランドを立ち上げてまだ半年ほどの頃です。

 

後藤さん:今振り返ると思うんですが、ドラマのお声がかかったのはインスタグラムの押し上げが大きかったですね。帆布の生地で、しかもローマ字でメッセージが書いてあるようなエプロンがそれまで市場になかったものですから目新しかったんだと思います。すごく影響力のある方が「こんなの買ったよ」と上げたりしてくれて。インスタを中心に広めて頂いたおかげで色々なお声がかかり、今に至っています。

 

メディアやSNSで話題になり、仕事が増えて忙しくなっても、DRESSSENのすべてを一人でやっているという後藤さん。昨冬、表参道の「the AIRSTREAM GARDEN」や福岡で開いたポップアップストアも、一人だけで行ったそうです。

 

後藤さん:忙しくはあるんですが、やはりすべてのお客様一人一人に私自身が対応させていただきたいという思いがあるんです。人に頼むのではなく、心を込めて自分の手で、と。

 

DRESSSENがたくさんの支持を集めるのは、後藤さんのその思いが直接の会話やメールのやり取り、そしてエプロンを通して伝わっているからなのでしょう。

 

 

「DRESSSEN」というブランド名に込めた想いとは

DRESSSEN。ドレッセン、ではなく、ドレスセンと読みます。15年ほど前から温めていたというブランド名で、DRESS + SEN =DRESSSENだそうです。ドレスはなんとなくわかりますが、SENってなんでしょう。

 

後藤さん:東京に出てきて30年になりますが、サーフィンもあって地元の伊豆には定期的に帰ります。スーパーとかで中高時代に憧れていたマドンナ的存在の先輩や、ヒーローだった先輩に会うことがあるんですが、その時に髪も服装も完全に“オフ”だったりすると、ちょっと残念な思いをするんですよね。5年間の憧れもその1回で消えちゃうというか、がっかりしそうで声もかけられないんです。

もし「あの人いつもカッコイイよね」と憧れられる存在でありたいなら、例え病気で入院したとしても、休みの日に家で過ごしている時でも、昼夜問わず一生気を張っていかないといけない。それが、一生続く線に見えたんです。だから、SEN。エプロン1枚、ミトン1枚でも、カッコを気にしてもらえたらな、という思いを込めてつけました。

 

 

もう一つの肩書きは、フードコーディネーター

後藤さんにはもう一つ、フードコーディネーターという肩書きがあります。フードカルチャーマガジン「RiCE」では毎号、特集内の写真で魅せる8ページ「On The Table」でフードスタイリングを担当。食材や食器を集め、コーディネートして、文章も書いています。

 

後藤さん:その号のテーマに沿って、サンドイッチやカレー、日本酒といったフードやドリンクをコーディネートさせてもらっています。「R¡CE ¡S BEAT¡FUL」というオリジナルエプロンも作って頂き、連載している二階堂ふみさんにも誌上でエプロンをつけてもらったりもしています。

元々、独立した時にはフードコーディネーターを本業にするはずだったんですが、今はDRESSSENが本業ですね。DRESSSENがなければ今ごろ、フードコーディネーターの名刺を持って死にものぐるいで営業していたでしょうね。

 

「RiCE」のページはとても素敵で、後藤さんならフードコーディネーター1本でも名の知られる存在になっていたんだろうな、と思わせてくれます。フードコーディネートだからこその発想で、きっとこれからも、新たなものが生み出されていくことでしょう。

 

次回は3/12(火)に公開予定です。
フードコーディネーターとして独立した後藤さんがなぜ、エプロンを作ることになったのか。そもそも、20年間ファッション業界にいたという後藤さんがなぜ、フードコーディネーターになろうと思ったのか。DRESSSENのエプロンが生まれるまでをひも解いていきます。(つづく)

– Information –
オンラインストア:https://dresssenstore.com

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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