塩を振って締めると、きゅっとなる刺身
下条さん:では先ほど塩を揉み込んでおいたお刺身を切っていきます。
谷井:塩を振って15分から最大1時間ぐらい置く、とのことでしたが、1時間も置いてしょっぱくなったりしないんですか??
下条さん:大丈夫ですよ。ただ、長く置く場合は冷蔵庫に入れてくださいね。
表面に水分が出てきたら、キッチンペーパーで拭き取ります。
新鮮なお魚ほど水分は出にくいのですが、特に今回のようなお刺身の盛り合わせパックなどのカットされているものは断面から水分が出やすいのでしっかりと水分を拭き取って下さい。
谷井:なるほど!塩を振って締めると「きゅっとなる」って、余分な水分を出すってことなんですね。
下条さん:きゅっと締まった感じがして、ぷりっと感が出てきます。タルタルって、中にはすごく細かく切る場合もあるのですが、日本はお魚が新鮮で美味しいし、特に今回は歯ごたえとか食感をちゃんと残したいので、7mmから1cm角ぐらいに切っていきます。
谷井:いつも自分でお刺身を切る時、そんな風にすーっときれいに切れないです。微妙に、ぐにゃっとなっちゃうのですが。
下条さん:包丁全体を使うイメージで引くのがコツかな。包丁を手前に引いて、スライドさせて切ります。
谷井:包丁全体を使って、引いて、スライドさせる。なるほど!力で押して切ろうとしてました。
下条さん:慣れもありますよね。包丁全体を使ってスライドさせると、切り口がきれいで余分な水分も出にくくなります。もしも包丁が切れにくいなと感じたときは、ホームセンターとかに包丁用のシャープナーが売っていますよね。溝に刃を通すタイプの。あれでシュッシュッと10回ぐらい通すだけで変わりますよ。
谷井:そうなんですね!やってみます!
刺身の状態で味の入り方は異なる
味見をして、塩分を整える
下条さん:では、次に調味料が入ったボウルに、先ほど切ったお刺身と紫玉ねぎ、大葉、スプラウトを入れて、和えます。
谷井:やっぱり、調味料は先に混ぜておいた方がいいんですか?
下条さん:そうですね。あらかじめボウルの中で調味料を混ぜてから具材を入れて和えた方が、混ぜすぎないので美味しく仕上がりますよ。
谷井:わかりました!
下条さん:全体を均等にしっかり混ぜ合わせて、和えたら味見をします。うん、今回はこのままで大丈夫かな。
谷井:もし薄かったら、お醤油を足す感じですか?
下条さん:そうですね、お醤油かお塩で調整します。お刺身の状態によって、味の入り方が毎回違うんです。今日のは、味がぐっとすぐに入ったみたいですが、下ろしたばかりのお刺身だと、味が入りにくいので少し醤油を足すことが多いです。
谷井:お刺身の鮮度によって、ちょうどいい味つけも変化するのですね。しっかり味見します!作ったらすぐに食べた方がいいのでしょうか?
下条さん:翌日でも美味しいんですが、和えてから少しなじませて、当日のうちに食べるのが一番美味しいです。
谷井:よかった!食べる直前まで混ぜない方がいいのかなと思ってました。むしろ、しばらく置いておいていいんですね。
下条さん:作り置きで大丈夫ですよ。よく混ぜ合わせたら、できあがりです。
セルクルは手作りできる
お皿に合わせて大きさをイメージ
下条さん:では、盛り付けに入ります。本当はセルクル型があるといいのですが、ない方も多いと思うので、アルミホイルで作ります。
谷井:今回は器にさっと盛るのではないのですね。セルクル型、円形の型ですよね、聞いたことはありますが、持っていません。アルミホイルで作れるんですね!
下条さん:私もフードコーディネートなどのお仕事の現場で、セルクル型がない時にはこうやって、アルミホイルで代用しています。
谷井:アルミホイルで輪っかを作るんですね・・・何センチぐらいの円ですか?
下条さん:使うお皿と盛り付けたい大きさに合わせて、適当で大丈夫です。
谷井:盛り付けるお皿を先に決めて、イメージするのですね。あっという間にできましたね。
下条さん:お皿に置いて、タルタルを詰めていきます。
谷井:中に詰めていけばいいんですか??コツはありますか?
下条さん:そうですね、軽く押さえながら、隙間なくしっかり詰めていくイメージでやると型崩れせず、きれいに仕上がります。
谷井:なるほど!
下条さん:詰めて、上の表面を平らにしたら、上に引き上げて外します。
谷井:型を外すのはドキドキですね。・・・わー、きれい!サーモンのオレンジと、青じその緑と、紫玉ねぎ。見栄えがしますね!
下条さん:今回は型を少し高めに作りましたが、もう少し大きめに型を作ると、低くなって崩れにくくなります。
谷井:型を使って盛り付けることで、一気におしゃれ感がアップしましたね!お箸で食べるお惣菜から、ビストロの一皿みたいで、カトラリーも変えたくなる感じです。
下条さん:緑の葉っぱを添えると見栄えがさらによくなります。今回は残ったスプラウトを散らしましょう。
ワインでも焼酎でも、
なんにでも合う万能おつまみ
谷井:しゃれたおつまみだ〜!完璧ですね。キレイだし、すごく美味しそうです!お酒は何に合わせましょう?
下条さん:結構なんでも合うと思います!スパークリングとか白とか、ワインはもちろん、柚子胡椒が入っているからオレンジワインにも合うと思います。そして、焼酎にもいいと思います。
谷井:確かに何でもいけそうですね。このまま食べても、バケットに乗せたりしても良さそうですね。
下条さん:パンにも合うし、実は白いご飯ともすごく合うんです。
谷井:それすごく合いそうです!ごはんのおかずとしても食べたい気がします。
谷井:では、いただきます。おいしいです!柚子胡椒の香りと辛さが凄くいい感じですね。そして、オイルの馴染みがいいというか、口の中がとろっとまろやかです。
下条さん:油っこくないですよね。
谷井:はい、やわらかい味わいです。塩分もちょうどいい!ご飯にもパンにも改めて合うっていうのが凄くわかります。だし茶漬けにしても美味しいかも!
下条さん:良さそうですね!今回は盛り合わせのお刺身を使いましたが、鯛だけとか、一種類で作ってみてもおいしくできると思います。
谷井:なるほど!
下条さん:大葉の他にも、香味野菜としてみょうがとかセロリのみじん切りを、パクチーを使ってもいいですよ。
谷井:アレンジが自由自在ですね。また違う味わいになりそうですね!
下条さん:ごま油をオリーブオイルに変えても美味しいです。
谷井:少し洋風な感じがアップしそうですね。色々試してみたくなりました。お刺身って、わさび醤油で食べるという一択だったのですが、今日で世界が広がりました!
下条さん:よかったです!
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「刺身の柚子胡椒タルタル」「どこよりも細かい」レシピ
<材料 2人分>
・刺身(ブリ、サーモン、鯛等)100g
・紫玉ねぎ 50g
・大葉 10枚
・スプラウト 1株
・a
おろしニンニク ほんの少々
おろししょうが 小さじ1/4
ごま油 大さじ2
レモン汁 醤油 砂糖 各小さじ1/2
柚子胡椒 小さじ1/4〜1/3
・塩 小さじ1/4
・醤油 適宜
<作り方>
①刺身は塩を振って15分おく。水気を拭いて1cm角に切る
◎どこよりも細かいレシピポイント
・刺身は、盛り合わせでも1種類でもよい。さくをスライスしてもよい。
・塩を振ったら、揉み込む。
・刺身を切る時は、包丁全体を手前に引き、スライドさせるように切る
・包丁はシャープナーで切れ味をよくする
②紫玉ねぎはみじん切りにして水に15分さらす。
◎どこよりも細かいレシピポイント
・さらした後、ザルにあげて流水で洗ってからキッチンペーパーで包んで水気をしっかり絞る。
・新玉ねぎでもよい。普通の玉ねぎの場合は、半量をセロリのみじん切りにする
③大葉、スプラウトはみじん切りにする。
◎どこよりも細かいレシピポイント
・大葉は洗ってよい。洗った後、水に濡らしたペーパータオルで挟んでタッパに入れ、冷蔵庫で保存すると長持ちする
・香味野菜として、ミョウガやセロリのみじん切り、パクチーなどを使ってもよ
・スプラウトの種類は自由。例:大葉、ブロッコリー、マスタード、カイワレなど。アルファルファのような小さすぎるものは避ける
④ボウルにaを混ぜる。刺身、②、③を加えて和える。味を見て薄ければ醤油で整える。
◎どこよりも細かいレシピポイント
・ごま油はオリーブオイルに代えてもよい
・柚子胡椒は冷凍すると長期保存が可能。使う分だけ、ジャリジャリとスプーンでかき出す
・おろしニンニクの「ほんの少々」とは、耳かき1杯分程度の量
・新鮮な魚ほど水分は出にくく、刺身の盛り合わせパックなどカットされているものは断面から水分が出やすいなど、刺身の鮮度によって、味の入り方も異なる。必ず味見をして、足りなければ醤油か塩を加えて調整する
・マグロの色は黒くなるので早めに食べるに越したことはないが、より味が馴染んで美味しく食べれる。
・セルクル型を使って皿に盛り付けると見栄えがする。型がなければアルミオイルで作る。しっかり隙間なく詰めると型くずれしない。
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-infomation-
下条さんの新著「うちで乾杯 ほろ酔いつまみ」(成美堂出版)
今回ご紹介いただいた「刺身の柚子胡椒タルタル」のように、シンプルな食材の組み合わせが絶妙な、家飲みにぴったりのおつまみがたくさん紹介されています。分量と時間が的確で、手順が究極にわかりやすいレシピは「お酒を飲みながら、ほろ酔いでも作れる」ものばかり。ひとつひとつのレシピに添えられたPointは、下条さんならではの、より美味しく作るコツが詰まっていて、必読です。