国分寺産の野菜、「こくベジ」がSWITCHに届くと、必ず1つはびっくりするような大きさの野菜が紛れ込んでいます。何度見ても度肝を抜かれるのが、ズッキーニ。輪切りではお箸で掴むには難しい大きさなので、半月切りか、いちょう切りにします。それでも大きい。
国分寺市北町にある鈴木農場の鈴木さんは、そんな大きなズッキーニを作っている農家さんです。鈴木さんは、いろんな種類のお野菜を少しずつ作っています。
畑におじゃまするたびに何かしらのお土産をくださる鈴木さん。先日畑に伺った時には、たくさんの間引き大根をいただきました。紅芯大根、紫大根、ビタミン大根と、小さくても色とりどりの大根が、目を楽しませてくれます。
もう少しすれば、去年も楽しませてもらったカラフルな大根の季節がやってくるということです。このように、畑の様子を見せてもらい、「来月はこの野菜が収穫できるよ」と教えていただけるのは、地産地消だからこそ可能なコミュニケーションなのではないでしょうか。
大根畑の隣に、今は何も植わっていない畑があります。夏にはそこに、大きなひまわりの迷路がありました。
広い広い畑に、びっしりと迷路状に植えられたひまわり。「迷路状に植える」と言っても、種の状態もまちまちで生育が天候にも左右されるため、蒔いた種全てを同じように成長させるのは難しいのです。丁寧に面倒を見ないと、よけいな隙間のない迷路は完成しません。
鈴木さんは迷路の作成スキルが非常に高く、SWITCHスタッフ全員で迷路に挑戦したものの、全員でのゴールは夢のまた夢(笑)。狭いくねくね道を大きな葉をかき分けながら、自分よりも遥かに背の高いひまわりに埋もれ、日没後まで大騒ぎしました。まさか、国分寺でこんなにも自然と一体になるような体験ができるとは思ってもいませんでした。
野菜を栽培するための畑の土壌づくりとして、あらゆる植物が緑肥として利用できることを鈴木さんは教えてくれました。緑肥の元としてひまわりを選んだ理由は、
「子どもたちのためです」と鈴木さん。鈴木さんは、これまで、小学校や中学校の課外授業での受け入れや学童農園を通して、地域の子どもたちの農業の学びを支えており、国分寺の小学生とは顔なじみです。農を通して地域の大人と子どもが関わり合うということが、ここでは当たり前のように根付いているようでした。
子ども達だけでなく、鈴木さんの畑にはたくさんの人が出入りします。こくベジプロジェクトへの参加も、多くの地域住民との繋がりを生みますが、それだけではありません。野菜の収穫や試食など、鈴木さんが開催する畑でのイベントはいつも賑わいを見せています。
なぜ、そこまで地域密着の姿勢を続けていけるのでしょうか。「農家として消費者に近い場所にいるからこそ、消費者の喜ぶことをしたいんだよね。」と鈴木さんは言います。つくった野菜を食べてくれる人が身近にいるからこそ、すぐに反応が返ってくる。その信頼関係に鈴木さんの野菜もまた、支えられているのです。
国分寺の農家さんは、鈴木さんのように、いつおじゃましても歓迎してくださる方ばかりです。1日に何軒も農家さんをまわるこくベジ配達便に乗せてもらい、「お久しぶりです!」と伺うと、畑を散策しながら収穫状況や野菜の成長ぶりをにこやかに話してくれます。その場でもいだ野菜を食べさせてもらったり、お土産もいただいたり(笑)。いつだって楽しませてくださる方ばかりなのです。
一方で、食事の感想を直にお客さんから聞くことのできる私たち飲食店も、食材や旬のメニューなどのお話をネタに、お客さんとコミュニケーションをとることをとても大切にしています。農家さんと飲食店という、消費者との関わり合いを心がける双方の歩み寄りが、こくベジが市内取り扱い店100店舗を超えるまでに行き渡っている秘密なのかもしれませんね。
私がSWITCHから国分寺を知りはじめて、まだ1年半。こくベジを信頼し、思いを込めた料理をお客様に振る舞えるのは、野菜の美味しさもさることながら、こういった日々の情景が浮かびあがるからこそです。つくり手を知り、心から「いただきます」が言える、そんな「食べる」のその先が見えるお店でありたいものですね。
– Information –
店舗名:SWITCH KOKUBUNJI
住所:東京都国分寺市南町3-22-31 島崎ビル201
マッサージ屋さんの入っている建物2階
連絡先:050-1709-0492
営業時間:火-日 11:00-19:00
定休日:月 (月祝は営業、翌水曜が休み)