2020.06.16. | 

[第5回]めんどくさい料理を、たのしい料理に変えるコツ:日々の料理をもっと軽やかに

みなさん、日々の料理をたのしんでいますか。「たのしいどころか、めんどくさい……」と感じている方もいるのではないでしょうか。そこで、料理をもっと気軽にたのしむコツを、フードデザイナーの蓮池陽子(はすいけ・ようこ)さんから教わる連載です。料理をたのしむには、誰かに「おいしい」と言ってもらうことが大切です。そんな体験が重なるうちに、めんどくさい料理がたのしい料理に変わっているはずです。

4月から始まった緊急事態宣言に伴い、ご家庭で料理をする機会が増えた人が多いと話題になりました。私も4月早々に料理リレーというレシピを紹介したり、Zoomで料理教室なども行いました。家で過ごす時間をもっと楽しんでほしいとの思いは、他の料理家さんやSNSでレシピを投稿していたシェフたちも同じ気持ちだったと思います。

ただ料理も長期戦になってくると、疲れてしまいます。(昔の人に怒られそうですが…)それにちょっと目先の変わった料理は美味しいものの、毎日では飽きてしまうし、作り手にとっても負担です。それは、料理を生業としている私も同じなのです。仕事で色々な料理を作っているからでしょうか、自分だけの食事は素材がよくわかるものが好きです。
「切る」「茹でる、蒸す」「漬ける」というシンプルなものが、メンタルにもフィジカルにも負担がないと思います。

「切る」だけのものはトマト、きゅうり、水ナス、新生姜、レタス、キャベツ、玉ねぎ、アボカド、豆腐、モッツァレラなどです。手でちぎるだけでもいいのはトマトや水ナス、モッツァレラなど、豆腐やアボカドもスプーンで崩すだけでもOKです。それならラクで楽しいし、お子さんも手伝いやすいですね。

「茹でる 蒸す」
枝豆、そら豆、アスパラガス、スナップエンドウ、葉物野菜、芋類、ネギ類、鶏肉、豚肉、魚(干物も)、豆腐、卵、キノコ類 ほぼなんでもOK

「漬けるだけ」ぬか漬け各種、キャベツやきゅうり&ミョウガの塩もみ
長芋や大根の味噌漬けなど、ヨーグルト漬けもあります。

「切る」「茹でる 蒸す」はお好みの調味料①〜⑤の組み合わせで何でもOK

①ベースとなる調味料
ー塩、味噌、醤油など
②コクを出すオイル系
ーオリーブオイル、ごま油、(マヨネーズ)など
③酸味で味を引き締めるもの
ー酢、レモン、柚子など
④旨味をたすもの
ー各種だし、魚醤(ナンプラー、ヌクマム、いしる、コラトゥーラ、しょっつる、あゆ、鮭の魚醤もあります)
⑤薬味
ー七味、柚子こしょう、カレー粉、青のり、ごま、薬味(大根おろし、大葉、ミョウガ、ネギ、生姜、ニンニク)、ハーブ

料理というほどの料理ではないですが、組み合わせで無限大に楽しめます。
切って、蒸している間に調味料を準備すればそれでおしまい。
蒸籠(せいろ)があればそのまま食卓にも出せます。もしかしたらホットプレートでもできるかもしれませんね。
とてもシンプルに食べるなら、塩とオリーブオイルでもいいですし、暑い時期にがっつりとした味わいが欲しければ、醤油とごま油に薬味を加えて。
塩分控えめな人は、だしをたっぷりかけて。もちろん市販品のポン酢やタレ、ドレッシングでもいいですが、市販品は味が濃いめで飽きてしまいがちなので、自分で合わせるのをお勧めします。

作りすぎて余ったら、冷蔵庫で保存して、翌日違う味で楽しめばいいですしね。肉ならニンニク醤油に漬け込んでお弁当にしてもいいと思います。

あとはお漬物(日本のサラダです)とお刺身でも買ってくれば十分すぎる。
「もう疲れた!」という時はとにかく「作らなくちゃ」という義務やら呪縛から自分を解き放つことが何よりも大事だと思います。

気負わず、日々を軽やかに過ごせますように。

ライター / 蓮池 陽子

東京・雑司が谷出身。ビストロ勤務の後、料理教室で講師を務める。アウトドアで山菜や貝などの山や海の恵みを採取する中で、美味しい物の背景には“美しい自然”や“たくさんの物語”があることに開眼。現在は”食の物語を紡ぐしごと”をコンセプトにケータリング、料理教室、フードコーディネート、メニュー開発、執筆などを行う。

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