2021.10.05. | 

[Vol.1]“完熟を攻める”F STAND のテーマは「美味しさのおしつけ」Unsungs&Web 有井誠 × Yuinchu 小野正視

今年の夏、極完熟の桃を味わうイベント「桃祭り2021」が中目黒のカフェ「OPEN NAKAMEGURO」で開かれました。株式会社Unsungs&Webと株式会社Yuinchuが共同でスタートした「F STANDプロジェクト」の第一弾です。完熟した桃の体験したことがないおいしさに会場は至福感であふれました。このプロジェクトについて、Unsungs&Webの有井誠代表と、Yuinchu代表の小野正視が語ります。

桃でお腹がいっぱいになった「夢のような時間」

ーーOPEN NAKAMEGUROで開かれたPOP-UPイベントでは、桃好きな人にはたまらない、極完熟の桃の食べ放題などが行われたそうですね。まずはイベント当日の様子を教えて下さい。

 

有井さん:初日限定で行った桃の食べ放題は、予約で枠が全部埋まって満席だったんですけど、ご来店のみなさんがSNSで「桃の食べ放題って夢のような時間だった」「桃でお腹いっぱいになるなんて初めて」と、書いてくださったんです。産地だと桃の食べ放題はごく身近にある夏の風物詩的なものですが、こんなに喜んでいただけて、東京でやって良かったなと思いました。

桃だけではなく、日本にネクタリンを広めた農家さん一押しのスイートネクタリンも、農家さんの思いを託されて販売したところ、食べた人の多くがお土産として買って帰ってくださって。箱で買ってくださった方もいたんですよ。

 

小野:2日目以降は、カフェメニューとして桃3種のオープンサンドと、スイートネクタリンのソーダ「生ネクダー」をそれぞれ2日間ずつ提供しました。

とにかく素材の良さを全面に出すことを意識して商品開発したので、生ネクダーは、スイートネクタリンをその場でそのまま生搾りにしたジュースに炭酸水を入れたシンプルなもの。オープンサンドも、桃そのものの味わいを生かしながらも、よりオープンサンドとしておいしく楽しんでもらえるように数種類のクリームと合わせて提供しました。

商品開発を売りとしているYuinchuとしてはこれまでにないほどシンプルなものにしましたが、それはF STAND(エフスタンド)さんが提供する桃のおいしさに驚いた僕が「採れたて本来の桃のおいしさを知ってもらうためにも生で食べてもらいたい!」と強くリクエストしたことなんです。できるだけ生に近い状態で提供することを、今回とても大切にしました。

 

本当においしい果物の味を、私たちはまだ知らない

ーー「F STANDプロジェクト」は有井さんのUnsungs&Webの事業「F STAND」から始まっていると伺いました。プロジェクトについてお聞きする前に、まずは事業としての「F STAND」について教えて下さい。

 

有井さん:Unsungs&Webの事業「F STAND」は、収穫から48時間以内、超完熟の果物を買うことができる果物無人販売所です。F STANDのテーマを一言でいうと、「おいしさの押し付け」だと思っています。

 

小野:おいしさの押し付け、いい言い方ですね!

 

有井さん:僕たちが普段スーパーなどで手にする果物は、生産者→農協→青果市場を経由して、小売店に着くまでに3、4日程度かかっています。さらに小売店の棚に陳列されてお客さんが購入するまでの時間も店によって異なります。

つまり、買った人が果物を口にするまでに収穫から1週間程度かかることもザラなんです。そうすると、生産者は7割ぐらいの熟し度で出荷せざるを得ません。当然、完熟を待って収穫し、すぐに食べるものとは、味も香りもまったく違います。

僕は山梨県の南アルプス市出身なので、地元では果物を買ったことがありませんでした。祖父母もブドウ農家でしたし、他の果物も周りの農家さんからもらって食べていました。なので大学で上京してスーパーで買った果物が美味しくないことに驚いたんです。

 

小野:それまですごく良い果物を食べていた分、味のギャップに驚いたんですね。

 

有井さん:百貨店で5,000円するシャインマスカットも、収穫から5日〜1週間程度経っていることも多々あります。でもそれは、日本全国の果物をいつでも近くのスーパーや百貨店で好きな時に買えるという、「消費者主導の流通」を突き詰めた結果だと思うんです。

 

朝一に収穫した完熟の果物を、車で都内の無人販売所に届ける

ーー全国どこのスーパーでも、好きな時に好きなだけ果物を買える一方で、私たちは本当の美味しさを知らないままに食べているということですね。

 

有井さん:流通の仕組みを否定するわけではないですが、僕らは産地でしっかり完熟したものを食べたらどんなに美味しいかを知っているので、それを食べてもらって「どうだ、美味しいだろう!」と言いたいだけというか、「おらが村のうまいコレ、食べてみろ」という気持ちです。

F STAND では、山梨で朝一番に収穫した果物を僕らが車で取りに行って、車で昼までに東京に運んで、都内数カ所に置いてある無人販売所「F STAND」に並べます。

消費者は、わざわざそこまで行かないといけないし、現金も使えず電子決済のみですし、買いに行っても売り切れていることもある。買う人には負担を強いています。

 

小野:シンプルだけど時間も手間もかかるし、ある意味便利な現代社会とは逆をいくシステムですよね。

 

有井さん:基本的にいつどの果物が並ぶかははSNSで発信しています。一番美味しい状態で食べてもらうにはこの形が一番かなと思っています。

生産者からしっかりとした値段で仕入れているので、ブドウ1房が2,000円を超えたり、桃2つで1,000円を超えたりして、結構高いです。でも、ここまで完熟にこだわって攻めていくと、食べた人もそうですけど、何より生産者さんが喜んでくれるんですよ。いつも、最適とは言えない時期に出荷せざるを得ないジレンマが相当あるのだと思います。

なので、お客さんから頂いた「こんな美味しいの食べたことなかった!」「本当はこんな香りがするんですね」という感想をフィードバックすると、生産者さんは本当に喜んでくれます。

 

 

次回は10/12(火)に公開予定です。有井さんと小野の出会いや、F STAND プロジェクトが目指すものについて語っていただきます。(つづく)

 

– Information –
F STAND プロジェクト
https://fstand.jp/fstand-project/

F STAND
https://fstand.jp

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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