2021.10.19. | 

[Vol.3]地元の役に立っている未来が、僕らには見えている Unsungs&Web 有井誠 × Yuinchu 小野正視

株式会社Unsungs&Webの事業「F STAND」と、ポップアップイベントや商品開発を得意とする 株式会社Yuinchu が共同で始めた新たなプロジェクト「F STAND プロジェクト」。Unsungs&Webの有井誠代表と、Yuinchu代表の小野正視による対談の最終回は、旬や一番美味しい果物の見分け方から、プロジェクトの次なる展開についてお聞きします。

一つの品種のピークは、本来たったの2、3日

ーー今回のポップアップイベントで、一番大変だった点を教えてください。

 

有井さん:仕入れですね。桃の場合、一人の生産者さんの一つの品種はピークが2、3日しかないんです。

 

小野:思った以上の短期間でしたね。

 

有井さん:イベントの1週間前に「来週の水曜日がイベントなんですけど、どの品種になりますか」と聞いたら「まだちょっとわからんな」と言われて(笑) 

2、3日前になっても「まあ、たぶんあの品種あたりになると思うけどね」って。でも、品種が決まらなかったらお客さんにも伝えられないですし、メディアも含めていろんな調整が大変でしたね。

どうしても持っていきたい品種があったんですけど、それも「いやあ、ちょっと今週、温度が高くて熟しが進んじゃってるから、難しいかもねー」と言われたり。なかなか綱渡りでした。

 

小野:仕入れは本当に大変でしたよね。有井さんには、もう感謝しかありません(笑)

 

有井さん:スーパーだと、ハウスものから始まって全国の色々な品種をリレーしていくので、1、2ヶ月の間は店頭に桃が並んでいたりしますけど。一つの品種の生物学的な旬は、本来とても短いんですよね。

旬を外した方が高く売れるのでそのために品種改良が行われていますが、早生品種は、実は正直そんなに美味しくないんです。やっぱり本来の旬で食べるのが抜群に美味しい。

 

究極の目標は、鳥がつついた“選ばれし桃”を高く売る

 

有井さん:ピークの時期であっても、収穫の前日に雨が降ると桃の場合は味が薄くなっちゃうんですよ、水分が多くなって。

 

小野:そんなにダイレクトに味に影響するんですか。

 

有井さん:農家さん自身はもちろん分かりますし、僕が食べても「水っぽいな」と思います。でも、農作物が常に100%ということはあり得ないので、当たり前の現象ではあるんですが。

 

小野:消費者も、そういうものなんだって楽しめるようになるといいですよね。食べた人が「今回、ちょっと水っぽいね」と気づいたら、生産者から「お、よくわかったな」とかね(笑)。

 

有井さん:実は桃で一番美味しいのって、畑で鳥がつついたやつなんですよ。それは桃に限らず、どの野菜でも果物の農家さんでも、みんな「虫と鳥は美味しいものをわかっている」と言います。明日収穫しようと思っていると、まさにその日の朝にはつつかれてるって。

 

小野:美味しい桃を見分けるものすごいセンサーですね。でも、つつかれてしまうと売り物にはならないんですよね。

 

有井さん:地元ではつつかれたところを切って食べますが、それはもうずば抜けて美味しいんですよ。A級品と比べものにならないくらいに美味しい。だから鳥が突いた桃をより高く売る、というのがF STANDとしては究極の目標ですね。

 

小野:それすごい!鳥が突いたものを食べられる日が楽しみですね。

 

有井さん:もちろん、翌日にはグジュグジュになっちゃうのでその日中に食べないといけないんですけどね。

 

小野:これ、F STANDでしかできないことですね。鳥に選ばれしもの。いいなあ。

 

自治体と連携し、課題解決のソリューションにしていきたい

ーーでは、最後に今後の展開について教えてください。

 

小野:F STAND プロジェクトは、今回の南アルプス市の生産者のように、「いいものを作っているけれどあまり知られていない」といった課題を持っていたり、明確にやりたいことを持っている人たちへのソリューションだと思ってやっています。

生産者なのか、農産物を媒介に地域を盛り上げたい自治体なのか、次は「一緒にやりたい」という人たちと一緒に、課題を解決するためのプロジェクトを進めていきたいですね。

 

有井さん:まず、桃の次はブドウですよね。ブドウの食べ放題に加えて、その場でブドウのフルーツサンドを作るという、僕が別の産地ツアーで出会ったことのある食べ方をイベントでやってみたいですね。

小野さんも言うように自治体、特に僕の地元であり、果物販売に意欲のある南アルプス市と一緒にできたらいいなと考えていますし、他の場所でも、東京の近郊圏であれば、朝一に収穫したものを都内に届けたり、都内でプロモーションをしたり、産地ツアーにつなげたり、という展開ができると思っています。

自治体の役に立つイメージが僕らには見えているので、自治体とはぜひ連携していきたいですね。

 

小野:ぜひやりましょう!対象になる自治体や生産者が具体的にいると、お互いさらにチームワークを発揮できると思います!

 

 

– Information –
F STAND プロジェクト
https://fstand.jp/fstand-project/

F STAND
https://fstand.jp

ライター / 平地 紘子

大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身