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食を起点としたコト起こしの舞台裏
2023.08.01. | 

[Vol.1]地元、香川県での開業を目標に、カレーイベント100回開催に挑戦中/ほみカリー ほみさん、なみさん

全国各地のカフェやイベントで、カレーを提供している「ほみカリーの百日是香日」。オーナーのほみさんは西日暮里の駅前のスパイスカレー屋「SPICESH(スパイセッシュ)」で3年店長を務めたあと、2023年春に独立。将来的に地元香川県でカレー屋をオープンすることを目標に、100回の間借り営業やイベントに挑戦しています。

ほみさんの夢に伴走するのは、同郷で大学からの親友、管理栄養士のなみさん。今回、二人がタッグを組み、「SWITCH STAND HATSUDAI」にて、ポップアップ「ほみカリーの百日是香日withなみ」を開催し、スパイス弁当を販売しました。ほみさんのカレー修行の日々や、独立への思いをうかがいます。 

大学4年間、カレー屋でアルバイト。卒業後はカレー修行のために東京へ

−−まずは、ほみさんの経歴を教えてください。

ほみさん:香川県出身です。広島の大学に進学して、4年間、「nandi(ナンディ)」というカレー屋さんでアルバイトをしていました。もともとカレーが好きだったのですが、アルバイトをしながら、自分でもカレーを作ったりスパイスのことも勉強するように。大学卒業後、東京の株式会社HAGISOに就職し、23歳で西日暮里の「SPICESH(現在は閉店)」の店長をやらせていただきました。

 

−−大学卒業後、地元ではなく上京されたのは何かきっかけがあったのですか?

ほみさん:大学2年の時、島根県で開催されたイベントに「nandi」も出店したのですが、その時、HAGISOも出店していて、イベント中にそのスタッフさんと仲良くなったんです。以降、連絡を取り合うようになり、「いつか人と人をつなげる仕事がしたい」「いつか自分のお店をひらきたいけれど、その前に東京のお店ではたらきたいと思っている」ということを話したところ、「大学を卒業したらうち(HAGISO)に来ない?」と声をかけていただきました。

 

−−人とのつながりでやりたいことが実現していったのですね。

ほみさん:そうですね。nandiが今年のC!C!C!に出店した時は私が手伝いに行きました。SPICESHのスタッフとも、旅行に行ったり、ほみカリーのイベントを企画、運営してもらったりして、いまもつながっています。

 

23歳でスパイスカレー屋の店長に。4年で100人以上の常連客ができる

−−就職してすぐにSPICESHの店長を任されました。大変ではなかったですか。

ほみさん:そうですね。運営は初めてでしたし、メニューの作成や売上管理からスタッフの育成まで一人でやらなければならない事が多くて大変でした。でも、アルバイトの子たちと年が近かったので、みんなが「良いお店を作っていこう」とサポートしてくれました。

 

−−カレー修行はどうやってしたのですか?

ほみさん:nandiでの経験もありますが、基本的には独学ですね。本を読んだり、教室に行ったりして勉強しました。

 

−−オリジナルカレーはお客さんにも好評だったとうかがいました。

ほみさん:ありがたいことに、多くの常連さんに「食べやすい」「おいしい」と言っていただきました。味はもちろん、お客さんとの交流も大切にしていたので、そうやっておっしゃっていただけることは嬉しかったですね。「スパイセッシュ」は駅前に構えたカウンターメインのお店で、お客さんとの距離が近かったんです。お店をお客さまにとって居場所の良い場所にしたかったので、仕事や学校帰りに寄っていただいて、「今日の疲れがとれるよ」、「この店は居心地がいいね」と言われたことが励みになりました。

 

−−SPICESHでの経験で今のほみさんに影響を与えていることはありますか。

ほみさん:SPICESHでは、これまでに勉強してきたことを活かしてオリジナルカレーを作り始めました。その時に意識したのが、スパイスの良さを活かしつつ、スパイスを強調しすぎず、味わいが出るようにすることです。最近、スパイスは注目されてきているものの、日本人の食卓には調味料として、まだまだなじみがありません。スパイスを強調しすぎると、かえって苦手意識を持たれてしまう時もあります。なのでカレーにはスパイス以外にも、出汁や味噌などの発酵食品を隠し味に、バランスのよいカレーを作ることを心がけました。そのときの工夫は今の「ほみカリー」にもつながっています。

 

コロナ禍を経て独立。「もっと外に出ていきたい」

−−フリーランスへの転機は何がきっかけだったのでしょうか。

ほみさん:SPICESHを始める前から、3年ぐらいで独立したいと思っていたんです。店を構えていると、どうしても日々お店を回すことが優先になります。充実はしながらも、もっと外に出て、知らない人や場所と出会いたいという気持ちが強くなっていきました。SPICESHは私の株式会社HAGISOの卒業に伴い閉店することになり、卒業後ほみカリーとしての活動を始めました。

 

−−独立への不安はありませんでしたか?

ほみさん:独立したら、全てを自分でプロデュースすることになるのは不安でした。常連さんには、閉店の1か月前から手紙を渡して伝えました。みなさん、「残念だけどがんばって。イベントやるなら行くよ」と前向きに応援して下さったことが励みになりました。

 

−−独立してから約1か月ですね。その間の活動を振り返っていかがですか。

ほみさん:お店を守ることではなく、自分自身で何をやっていこうかを考えて動けるようになったので、当初の不安はすぐにワクワクに変わりました。C!C!C!やnandi、HAGISOなどで繋がってきた人からイベントによく声をかけてもらうようになり、いろんなところで自分の力を試せるのが嬉しいですね。スケジュールを追いかけて来てくれる人もいるんです。もっとしんどいのかなと思っていたのですが、描いていたイメージより楽しくやらせていただいています。いろいろな皆さんが楽しんでくださっていることにやりがいも感じています。

 

次回は8/3(木)に公開予定です。

次回は、ついにスタートした「ほみカリーの百日是香日(ひゃくにちこれこうじつ)」への思いと、7回目となるイベント「ほみカリーの百日是香日withなみ」についてうかがいます!

 

– Information –
カレーイベント「ほみカリーの百日是香日」は不定期に開催中。
開催日時、場所はインスタグラムでお知らせします!

Instagram:ほみカリーの百日是香日

 

プロフィール

ほみ(右)
本名:田頭美穂。香川県出身。地元香川県でのお店をオープンすることを目標に百回の間借り営業やイベントに挑戦しています。

なみ(左)
本名:井上奈美。香川県出身。管理栄養士。食の大切さを伝えるためにデザインの力でできることを考え、ほみさんとともに活動中。

ライター / 黒澤 真紀

愛媛県生まれ。5年間の都内学習塾勤務を経て、2011年にフリーライターに転身。ウェブや雑誌のインタビュー記事、教材や試験問題の作成や小論文の添削などを担当する。高校生と中学生の息子とのおしゃべりが大好き。

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